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アイドルでは異世界を救えない

作者: マノイ

「あー!また滅亡したーー!」


 悔し気に両手で地面を叩く小さな女の子。

 目の前の小さな泉には、荒廃したどこかの世界が映し出されている。


「せっかく手塩にかけて育てたのに、まさか邪神認定されるとは……」


 彼女は世界を創り育て慈しむ存在。


 女神と呼ばれる者だ。


 己の役割を果たすべく、いくつもの世界を創り愛を込めて育てるものの、そのことごとくが滅亡の結末を迎えた。


 科学が大幅に進歩した世界による最終戦争。

 魔族と人族の永遠に続くかと思えるほど長い争いの末の共倒れ。

 差別が横行する世界を嘆いた者達による邪神召喚。


 そして今回は世界を自らの手で導こうと細かく信託を授けたが、悪しき心を持つ者達があろうことか女神のことを邪神だと騒ぎ立て革命を起こし、戦乱の世の中が続いた上で緩やかに滅亡した。


「もうどうしたら良いのよ……」


 女神の力で直接悪しき者達を滅ぼせば良いと思う人もいるかもしれない。だが女神が過去に悪即滅の世界を創ったところ、心清らかな人物が数百人しか残らず滅亡したのだ。その時のトラウマがあるため、悪を容易に断罪することが出来ないのである。


「やーめた。気分転換してこよっと」


 世界創生は気分で止められるものではない。女神として生を受けた以上、世界創生と管理は義務なのだ。

 とはいえ仕事漬けで、しかも失敗続きとなれば精神的によろしくない。少しばかり休憩したところで叱るものなど居ないのである。


――――――――


「なぁなぁ、委員長も明日遊びに行こうぜ!」

「いこいこー」


「ごめんなさい。明日は無理なんです」


「うっわ即答!ぴぇん」

「お~よちよち」


「ご、ごめんなさいっ……」


「きゃはは、冗談だって」


 ところ変わって、とある高校の一室。


 委員長と呼ばれた女生徒は、眼鏡をかけていて大人しく真面目な陰キャタイプ。制服のブレザーを着崩すことは無く、髪も染めず、スカート丈も学校指定通り。雰囲気は図書委員キャラと被るが、誰に対しても面倒見がとても良いため人気があり、毎年クラス委員長に推薦されている。


 一方、声をかけて来た二人組は陽キャタイプ。可愛さ重視のファッションで学校でも遠慮なくアクセ類を身につけ、成績はお世辞にも良くはなく、いつも楽しく遊び尽くしている。


 水と油のような相反する見た目の彼女たちだが、かなり仲が良い。

 というよりも委員長はクラス内のカーストに関係なく仲が良いのだ。


 それは全て、委員長の面倒見の良さと、付き合いの良さの賜物である。


「そいえばミカも明日はダメって言ってたっけ」

「あれでしょ、なんとかってアイドルのライブ」

「そうそう、それそれ。だからさっき猛ダッシュで帰ったのかー」

「んじゃ来週にする?」


 遊びの誘いを断ったとしても『付き合いが悪いダメ女』として爪弾きにされることが無いくらいには信頼関係を結べている。


「うん、来週なら大丈夫」


「りょ。んじゃ今日遊ぼうぜ」


「ごめんなさい、今日は明日の準備があって……」


「ぴぇん」


「その代わりに耳寄りな情報。駅前のマリイのとこに例のクレープ屋が今日来るって」


「マジ!?」


「うん、昨日偶然店長さんに会ってね、教えてもらったんだ」


「よし、行くぞちぃ」

「何してんの早く!」

「ってもうあんなとこに、悪ぃ委員長、情報あんがと。また来週~」


「はい、また来週」


 委員長は、彼女たちと一緒に遊ぶことが嫌いではない。むしろいつも明るい彼女たちに元気を貰っており、とても楽しんでいる。


 委員長の凄いところは、クラス中の誰に対しても同じように楽しめて、かつ楽しませてくれるところ。その上で困っていたら手を差し伸べてくれるクラスの核となる存在。つまりは委員長なのである。


 さて、そんな委員長が楽しいお出かけを断ってまでやらなければならない用事とは……


――――――――


「ついに……ついにこの日が来たああああああ!みぅたんの舞闘館ライブっっっっ!」


 Tシャツ、パーカー、トートバッグ、リストバンド、帽子、タオル、ペンライト。

 ライブグッズに身を纏った委員長は、いわゆるガチオタ勢だ。


 お小遣いは全て『みぅたん』のグッズにつぎ込み、足りない分はバイトで稼いでいる。


 今日は待ちに待った一大イベント。

 最推しアイドルである「サクナ美雨」の初の舞闘館ライブ。あらゆるアーティストがこの会場でのライブ開催を目標とする夢の舞台。彼女がついにその切符を手に入れた日なのだ。


 みぅたんをデビュー当時から推していた委員長は、幸運にもアリーナ席の前寄りのチケットをゲットし、ここ数か月はこのライブのことしか考えられないような状況だった。


「はぁ~本当にここでみぅたんがライブやるんだぁ……」


 今回のライブグッズは既に購入済であり、開場と同時に中に入る。献花の写真を撮ったり、会場内の雰囲気を味わってから自席へと向かうと、入場直後で閑散としているにも関わらず、すでに自分の隣の席には人が座っていた。


「今日はよろしくお願いします」

「は、はい、よろしくお願いしますっ」


 ライブ中はテンションが爆上がりして迷惑をかけてしまうかもしれないため、事前に挨拶して好感度を上げておくことは重要だ。しかも良く見るとグッズ類を身につけてない普通のファンの様子。せっかくならばそういう人にも楽しんでもらいたいので、彼女が『どこまでなら』問題ないかを会話しながら探らなければならない。


「今日はお一人ですか?」

「はい、そうなんです……」

「(あれ?)」


 これから待ちに待ったライブが始まると言うのに、どことなく物憂げな女性の様子が気になった。


「元気が無いようですが、もしかして体調が悪いのですか?」


 ライブで体調が悪いというのは致命的だ。体力をとても消費するイベントなので、体調はなるべく万全で迎えるのがマナーだ。もし途中で倒れでもしたら、本人が辛い思いをするだけではなく周囲の人にも迷惑がかかってしまう。


「心配してくれてありがとうございます。体調が悪いわけじゃないんです。ちょっと不安で……」

「不安、ですか?」

「はい、実はこの席、本当なら私の友達が来るはずだったんです。でも急遽行けなくなったから代わりにどうぞってチケットをくれたのです。ただ……実は私、何も知らないんです。アーティストのこともライブのことも何もかも。それで周りに迷惑をかけてしまったらどうしようって」


 ライブは開催日の数か月前からイベント告知がされ、チケットもかなり早い段階で売り出される。当日券が販売されるイベントもあるにはあるが、良い席を確保するには最速の販売タイミングで申し込んで抽選に当選しなければならない。


 当然、イベント当日は他の予定が入らないように調整をするが、冠婚葬祭や仕事の大トラブルなど、どうしても突発的な事情で参加出来なくなることもある。今回のイベントは「サクナ美雨」にとって一大イベント。彼女の友人は良席チケットを無駄にするなんて出来ず、泣く泣く親友に託したのだろう。


「絶対気に入るからって押し付けられちゃって……何かご迷惑をおかけしたら申し訳ありません」

「なるほど、そのパターンですか」


 自分が楽しめないことよりも、他人のことを心配してくれるあたり、この女性はかなり人が良いのだろう。


「それなら開演まで私が色々と教えてあげましょうか?」

「よろしいのですか?」

「ハイ!どうせなら、あなたにもたくさん楽しんで欲しいですから!」


 開演までまだ二時間はある。

 それまでの間に自分が知っている「サクナ美雨」の魅力や注目の曲、みんなでノるポイントなどを可能な限り教えて、予備のグッズも貸してあげることにした。


――――――――


「ええっ!?最初のシングルが三十二枚しか売れなかったのですか!?」

「そうなの!全国巡って路上で手売りしてたんだよ。それが今ではみぅたんの代表曲になってて、憧れのこの会場で披露されたら泣いちゃうかも」

「うう……わ゛かりまずぅ」


 ちなみに、委員長は幼いころ偶然「サクナ美雨」の路上ライブを目撃して、あまりにも気に入ったためなけなしのお小遣いで三十二枚中の一枚を購入したのだ。いわゆる最古参ではあるが、アピールをするとウザがられることもあるため、なるべく言わないようにしている。


「そろそろ開演の時間だね」

「もうそんな時間でしたか。色々と教えてくださり本当にありがとうございました。これなら楽しめそうです」

「うん、あなたの友人の言う通り、私も絶対気に入ると思うから……あ、でも私がうるさかったらごめんなさい」

「そんな滅相も無い!私のことは気にせず全力で楽しんでください。あなたが「サクナ美雨」のことをどれだけ好きなのか、とーーっても伝わってきましたから。きっと、あなたのことが途中で目に入ったとしても、楽しそうな姿を見て嬉しくなると思いますよ」

「あはは、なんか照れくさいや。ありがとう。それじゃあライブ楽しもうね」

「はい!」


 開演まで残り十分。

 会場内にライブの注意事項が流れ、すでに満席となった会場のざわめきが徐々に大きくなっていく。このどことなくそわそわした空気を堪能しながら、委員長はライブを全力で楽しむための心の準備を済ませるのだ。ガチ勢なのである。


――――――――


「ああ……みぅたん……エモ……テラエモ……」


 ライブが終わり、放心状態となって座る委員長。

 飛んで笑って叫んで泣いて……様々な感情が目まぐるしく溢れ出たせいか、精も根も尽き果ててしまったのだ。


 そのためか、委員長は隣の女性がいつの間にか居なくなっていたこと、そして居なくなる前につぶやいた次の一言にも、気付かなかった。


「これだ……これだわ!」


――――――――


「いやぁ、気分転換先ミスったかなぁって思ってたのに、まさかまさかの大正解だったよ」


 またまたところ変わって女神の住処。


 連続する世界滅亡に嫌気がさした女神が気分転換先として選んだのが日本。好みの娯楽が充実しているということでこれまで何度もお忍びで訪れたことがあるのだが、今回は今まで体験したことのない新たな娯楽に手を出してみようと思い、アイドルのライブを選んだ。


 とはいえ、前知識など何も無い状態。チケットは女神の力で極悪転売ヤーを懲らしめて手に入れたものの、どうやって楽しめば良いか分からず段々と不安になって来た。


 女神の力を使って知識を予め手に入れておくべきか、それとも知識なしで新たな刺激をゼロから楽しむべきか、悩んでいたところで親切な女の子が楽しむポイントを教えてくれたのである。


「愛と希望に満ち溢れたアイドルこそが、滅亡した世界に足りないものだったのよ!」


 これまで聖女や勇者のようなアイドルに近い存在はいたが、人間の浅ましさによって必ず悲劇的な末路を迎えていた。だがそれは、彼らの『強大な力』に恐れをなしたからこそだ。


「何も力を持たないタダの人間が想いを歌に乗せて真摯に伝えるだけで、これほどの幸福感を得られることになるなんて知らなかったわ」


 誰かを煽動するような意図があるわけでも無く、邪悪を倒すといった強い意思があるわけでもなく、世界中の人々を守るという慈愛の心があるわけでもない。誰もが抱く当たり前の想いを音と言葉という形にしているだけなのだから、それが恐れられて潰されることはないはずだ。


「さっそくアイドルの準備をしなくっちゃ。どこの世界にしよっかなぁ」


 まだ滅亡していない幾つかの世界を水面に映し出す。どの世界も大小さまざまな対立があり、決して平和とは言えない状況だ。


「ド定番のここにしようかしら。ここを収められたら何処の世界でも大丈夫よね」


 女神が選んだのは日本的に言うと剣と魔法のファンタジー世界。


 ちょうど勇者パーティーが魔王城に乗り込もうとしているタイミングだ。お互い同族を殺されていて憎しみ合っており、女神が介入したとしても簡単には収められない状況になっている。


「肝心のアイドルはどうしようかしら。まだそこまで詳しくないのよね……本職を転移させるのが一番かしら」


 思い描いたのは「サクナ美雨」


 自分が知っているアイドルオブアイドル。その崇高なアイドル魂があれば、異世界を変えてくれるだろう。


「でももし失敗して死んじゃったら、みぅたんのライブが見られなくなるかもなのよね……」


 ガチオタへの足を踏み出した女神にとって、推しアイドルに危険なことはさせたくない。というよりもむしろ、単なる一女神ごときが触れるなんておこがましいとさえ感じていた。それに、みぅたんのライブをもっと日本で堪能したいというのも、彼女を使わない理由としては大きかった。


「もう一度日本に行ってまたあの子にアドバイス貰おうかしら」


 水面に映る数多の世界は消え、委員長がアップで映し出される。


「あの時のお礼も言わないとだからね」


 委員長が幸せそうに放心していたというのもあるが、ライブ後にお礼を言えなかった事が心残りであった。


「この子が好きそうなものはっと……あれ、あれあれ?なぁんだ、それじゃあ彼女でいいじゃない!」


 女神の力を利用して委員長について調査する。お礼のプレゼントを決めるための調査であったが、その過程でとある事実を知ってしまった。


 委員長の受難が決まった瞬間であった。


――――――――


「はぁっはぁっはぁっ、これを防ぐのか、魔王っ!」

「ふぅっふぅっ……良い一撃であった勇者よ!」


 闇の森の奥深くに位置する魔王城は、勇者渾身の光魔法により崩壊し、辺り一面瓦礫と化している。


 これまでに受けたダメージと魔法力の減少により疲労が激しい勇者。

 光魔法を真っ向から喰らったため、ダメージが大きい魔王。


 満身創痍な二人が、決着をつけるべく対峙している。


「散って行った仲間たちの無念、ここで晴らす!」


 今は亡き仲間たちや国民の姿を思い描き、勇者の体に再度力が漲る。


「それはこちらも同じこと。同輩たちを殺した貴様らを、決して許すわけにはいかん!」


 殺されたのは魔族側も同じ。

 四天王を始めとした仲間たちの無念を想い、魔王の気力が迸る。


 言葉のやりとりは既に何度もやってきた。

 どちらが正しくてどちらが間違っているかなど問答するタイミングではない。どちらも退けず、ここで終わらせるしかないのだ。


 びゅう、と風が吹き、勇者のマントと魔王の闇の衣がたなびいた。


 光り輝く剣と漆黒の闇に彩られし剣。両者がそれを強く握り駆けだそうとした瞬間。




 突如大地が揺れ始める。




「な……貴様の仕業か!?」

「何を言う、お前の仕業だろうが!?」


 この場には勇者と魔王しかいない。仲間も配下もすでに斃れている。となると互いに相手が仕掛けたことかと思ったが、反応から察するに違うようだ。


 相手から目を離すことは出来ないが、この異常を放置することもできない。


 焦る二人の目に、とんでもないものが映り込んだ。


「「はぁっ!?」」


 周囲の全ての瓦礫が地面に吸収されるように消え、二人の真横の地面が広範囲でせり上がってきたのだ。


「まさかリッチがまだ生きて……!?」

「まさか賢者がまだ生きて……!?」


 土魔法によるものだと判断した二人は、お互いすでに亡くなったはずの仲間がまだ生きているのではないかと推測したが、彼らの気配は感じられない。


「まぁいい、奇妙だけど辺りに気配はない。お前で無いというのなら、このまま決着をつけるのみ」

「ふん、それもそうだな。このような出来事、その身を裂くことに何ら支障も無いわ!」


 地面は一メートルほどせり上がった状態で停止し、その後動きが無いため、二人は気を取り直して決戦を再開する。集中が切れかかっていたため、再度精神を研ぎ澄ませようとしたところ、今度は不思議な音が鳴り響く。


「「お前の仕業かっ!?」」


 恒例の擦り付け合い。

 この奇妙な出来事は、二人の決戦を見守ってはくれないようだ。


 もちろん無視して相手に斬りかかることは可能だ。しかし実力が拮抗し、ほんの少しでも油断した方が命を落とす段階を迎えている状況で、不安要素を抱えたまま動くことは出来ない。


 敵、せり上がった地面、音。


 すべてから注意を逸らさないように、残された精神力をギリギリまで研ぎ澄ませる。


 何かを激しく叩くような音。心臓を揺さぶるような重低音。耳の奥まで流れ込んでくる重なり合う振動音。暴れ回るような激しい音の中に、澄んだ音色も含まれている。


 耳を凝らして聞いていると、同じリズムの短い小節を何度も繰り返していることが分かる。


 二人がどうすべきか答えも出ないまま様子をうかがっていると、事態が大きく動き出す。


 二人は気付いていなかったが、広範囲でせり上がった地面のうち、五か所が穴になっていた。そのうちの二か所を埋めるべく、再度地面が盛り上がる。


 ただし、その地面の上には人が乗っていた。


 いや、正確には一か所はベースを持っている人が、もう一か所は魔族とドラムセットが乗っていた。


 先ほどから鳴り響く音の一因は彼らによるものなのだろう。


「パラディン!?」

「アラクネ!?」


 見覚えのある存在が、見覚えのない楽器を演奏しながら登場し、混乱する勇者と魔王。


「「生きていたのか!」」


 勇者一行が魔王城の落下する天井トラップにひっかかり、後一歩で潰されるところを支えたのがパラディン。


『ここは俺に任せて先に行け!』

『お前を置いて行くなんて出来ない!』

『早くしろ!もうもたない!』


 というテンプレのやりとりを経て勇者たちがトラップ部屋を抜けた瞬間、爆音と共に天井に潰されてしまったはずだった。


 一方、アラクネは魔王軍四天王の一角。


 フェロモンを使った誘惑は男女問わず効果があり、勇者たちが同士討ちするよう仕向けたが、寡黙で戦いにしか興味のないバトルマスターには効果が無く、斧技の奥義により両断されて倒されたはずだった。


「お前が居てくれたなら心強い!一緒に魔王を倒そう!」

「生きていてくれて本当に良かった。お前が居れば勇者など恐れるに足らず!」


 戻って来いと手を差し伸べる勇者と魔王だが、パラディンもアラクネも彼らのことを見向きもしない。


 元々イケメン紳士で女性からの人気が高いパラディンは、その男性フェロモンを全力で振りまくかのようにギターをかきならす。


 アラクネは両手だけではなく下半身の蜘蛛の足の部分でもドラムスティックを装備し、荒々しくリズムを刻んでいる。搦手が得意な普段のアラクネとは明らかに雰囲気が違っていた。


「パラディン!どうした!」

「アラクネ!何をやっている!」


 これではまるで何者かに操られているようだ。


 勇者と魔王は再度振り出しに戻る。


「「お前のせいか!」」


 だが彼らの驚愕はまだまだ終わらない。


 残りの二つの穴からも地面がせり上がってくる。


 もちろん、人と魔族を乗せて、だ。


「賢者……っ!生きてっ……くれたのかっ……!」

「アークデーモンっ……よくぞ無事でっ……!」


 パラディンとアラクネの時とは違い、今度は感極まって涙を流しそうになる勇者と魔王。宿敵の前だというのに、思わず感情が溢れてしまったのも当然のこと。


 賢者は勇者の想い人であり、アークデーモンは魔王が生まれた時から仕えてくれた一番の忠臣なのだ。


 魔王との決戦前、四天王筆頭にして最強のアークデーモンと勇者一行の戦いは熾烈を極めた。いつ終わるとも分からない戦いに終止符を打ったのは賢者による命を燃やした一撃だった。


「ごめんね、勇者。世界をどうか……」

「魔王様っ……申し訳っ……」


 アークデーモンを撃破した勇者だが、大きすぎる代償として愛する賢者を失ってしまった。


 この戦いですべての仲間を失い、一人となってしまった勇者だが、最早退けるわけがなく、激情と共に魔王に立ち向かったのだ。


 しかしそんな彼らの想いはどこ吹く風。


 賢者は巧みな指さばきでキーボードをかき鳴らし、アークデーモンは巨体に見合わぬ繊細なタッチでベースを鳴り響かせる。


「そんなっ……賢者まで支配されているというのか!?」

「アークデーモン程の実力者を縛る技をこいつらが持っているだと!?」


 勇者と魔王がかつての仲間たちの変わり果てた姿に動揺し、こうなったら力づくでも取り戻そうかと『ステージ』に登ろうかと思った瞬間、それまで変わらなかった曲のリズムが変化した。


『うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』

「「!?!?」」


 ステージの方を向いていた勇者と魔王は、真後ろから突如大量の叫び声が聞こえて来て驚きのあまり振り返る。これまで誰も居なかったはずのそこには、大量の人と魔族がひしめき合っていた。


「騎士団のみんな、無事だったか!……でも」

「お前たちも無事で何よりだっ……でも」




「「なんで一緒に盛り上がっちゃってんの!?」」




 勇者一行を信じて送り出してくれた各国の騎士団たち、そしてそれを迎え撃った大量の魔族たち。消耗戦となりお互いのほとんどが死に至ったはずだが、何故か彼らが入り混じって立っている。


 ゴブリン、オーガ、トロール、ビッグスライム、アルラウネ、ワイバーン、その他多くの魔族が、楽しそうに人間と一緒に声を上げている。良く見ると肩を組んでいる者達もいる。


「それにその光の武器は一体っ……」

「お、お前たちそんなものを装備して平気なのかっ!?」


 魔王軍の大半は光属性に弱い。それゆえ光属性に関する武器防具を装備することは出来ないはずなのだが、彼らはその手に様々な色で光る謎の棒を持っていた。ペンライトなどこの世界には無いのだから、その正体を分かるはずがない。


 誰もが自分たちの言葉に反応してくれず困惑する勇者と魔王に、ようやく対応してくれる相手が現れる。


「勇者殿」

「マオウサマ」


「騎士団長!」

「サイクロプス!」


 騎士団長は軍のリーダーとして活躍した存在であり、サイクロプスは四天王の一角。彼らは勇者や魔王を無視しなかった。これでようやくこの謎の事態が解明されるかもしれない。


「「一体これは……」」

「「これを(コレヲ)」」


 だが彼らはたった一言を伝えると、群衆の中に戻ってしまう。


 勇者と魔王、彼らの手に光の棒を握らせ、首にタオルをかけて。


「「……」」


 もう言葉が出ない二人とはうってかわって会場のボルテージは最高潮。


 アラクネがドラムスティックを掲げて打ち鳴らすと、騎士団と魔王軍は一斉にクラップ(手拍子)をやり始め、曲調がフィナーレに向かってより激しいものへと変化する。


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお』


 曲が終わり、一瞬の静寂の間が訪れた後、新たな曲が演奏され始めると同時に、最後の穴から地面がせり上がってくる。


「「今度は誰だ!?」」


 また亡くなったはずの仲間が登場するのだろう。

 会場内の異様な雰囲気にあてられたのか、勇者と魔王は奇妙な緊張感に襲われていた。


 そして時間をかけてゆっくり上って来たのは、薄いピンクとブルーが中心でフリルが沢山の可愛らしい衣装を着た女の子だった。


「みんな~今日は私のライブに来てくれてありがと~」


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお』

『来たあああああああああああああああああああああああああああ』

『ゆぅたあああああああああああああああああああああああああん』

『ゆぅちゃああああああああああああああああああああああああん』


 推しアイドルの登場に会場内は阿鼻叫喚の坩堝と化した。




「「誰?」」




 全く見知らぬ少女の登場により、更に困惑する勇者と魔王。

 だが誰も彼らの心が落ち着くのを待ってはくれない。


「それじゃあさっそくだけど最初の曲に行くね。『恋するわ・た・し』」


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお』

『来たあああああああああああああああああああああああああああ』


 ゆぅたんと呼ばれるアイドルの合図と共に、勇者も魔王も聞いたことのない曲が流れ始める。


『ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!』


 前奏のリズムに合わせて騎士団と魔王軍が声を揃えて掛け声をあげ、いつの間にか勇者と魔王の隣に立っていた人物(魔族)が奇怪な叫び声をあげた。


「「

 言いたいことが あるんだよ

 やっぱりゆぅは かわいいよ

 好き好き大好き やっぱ好き

 やっと見つけた お姫様

 俺が生まれて きた理由

 それはゆぅと 出会うため

 俺と一緒に 人生歩もう

 世界で一番 愛してる

 あ・い・し・て・る!

」」


 ガチ恋口上と呼ばれるものである。


「リッチいいいいいいいいいいいい!?」

「バトルマスタあああああああああ!?」


 ひたすらに魔法の神髄を極めるべく研究に没頭していたリッチと、己を高め武技を極めんとストイックに鍛えていたバトルマスター


 寡黙だった彼らの面影は見る影もなく、デレデレと緩み切った表情を見せている。


「お前本当にあのリッチなのか……?」

「アラクネのフェロモンさえ凌駕したお前ならもしやと思ったのに……」


 そんな呟きなど大音量の歌と大歓声にかき消される。


「いつからかな あなたのこと

 目で追うように なったのは」


 『最初から―!』

 『生まれた時からー!』


「ただの友達だと 思っていたのに

 胸の高まりが 止まらないよ」


 『せーの!』

 『ハーイハーイハイハイハイ!』


「あなたの唇に」


 パン(クラップ)・パパン(クラップ)『フー!』


「吸い込まれそう」


 パン・パパン『フー!』


「事故でも良いから」


 パン・パパン『フー!』


「kiss kiss kiss ……えへっ」


『あああああああああああああああああああああああああああああああ!』


「like you love you あなたが大好き

 like me love me わたしを愛して


 どうしよう 見つめることが出来ないよ

 恥ずかしいだけ 誤解しないで。


 like you love you あなたが大好き

 like me love me わたしを愛して


 あなたのこと 好きな気持ちが溢れ出ちゃって

 あなたの前から 逃げ出しちゃうの


 この気持ち、どうしたら良いの」


『あああああああああああああああああああああああああああああああ!』

『好きだああああああああああああああああああああああああああああ!』

『ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!』


 カオスである。


 謎の熱狂についていけない勇者と魔王は、現実感が無くまるで奇妙な夢の中に迷い込んだような感覚に陥り、光の棒を持った手をだらんとさげ、嵐が収まるのを立ち尽くしながら待っていた。


 ゆぅたんはこのまま二番を歌い終え、大サビへと突入する。


「Love me?」

『Love you!』


 大サビはゆぅたんとファンとの間でのコール&レスポンス。

 ゆぅたんの問いかけにファンが声を揃えて全力で応える場面だ。


「Love me?」

『Love you!』


「Love me?」

『Love you!』


「Love me?」

『Love you!』


 屋外なのに割れんばかりの大音声が外に抜けずにその場で渦巻いているような感じがする。


「ありがと。でももうちょっといけるんじゃないかな?」

『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお』


 まだまだ声を出してと煽るゆぅたんと、それに反応するファン達。


「Love me?」

『Love you!』


「Love me?」

『Love you!』


「うんうん、すっごく良い!でもね、後一押し足りないかな。例えばほら、そこの二人とか」


「「…………………………へ?」」


 部外者だとすら感じていた勇者と魔王が、ここで指名されるとは思っておらず、思わず気の抜けた声を出してしまった。


 アイドルのライブでこのように特定の人が指名されることなんて稀だ。下手したら嫉妬で暴動が起きてもおかしくない。


 あくまでもこれは、勇者と魔王を取り込むための、とある存在による特殊な仕掛けなのだ。実はその存在はこっそりとファンの中に紛れているのだが、誰も気付いていない。


「ほらほら、恥ずかしがらないで声を出してみて。すっごく気持ち良いから!」


「「え?え?」」


「Love me?」


 そう言われても反応など出来るはずがない。未だに戸惑いから抜け出せないのだから。


「Love me?」


 ただ、強烈な戸惑いで考えがまとまらなかったのが逆に良かったのかもしれない。


「Love me?」


 しつこく聞いてくるゆぅたんに、勇者がほぼ無意識で反応してしまったのだ。


「……らぶ……ゆー?」


「わーーーーありがとー!さいっこうにうれしーーーーー!」


 ここで、勇者ははじめてアイドルの顔を真剣に見た。


 心からの笑顔で嬉しそうに感謝を告げる可愛らしいアイドルの姿を見て、どうしてか頬が熱くなってくるのを感じる。


「それじゃああなたもやってみよ?」


 一方の魔王。


 宿敵である勇者だけが褒められたというのはどことなく面白くなかった。その敵愾心が魔王の言葉を引き出した。


「Love me?」

「ラ……ラブ ユー」


「キャーーーーあなたもありがとー!すっごい良い声だねーーーーー!」


 勇者よりも上手く出来たと気を良くした魔王はここではじめてアイドルを観察する。


 闇に潜む魔王軍は光が大の苦手。目の前にいるアイドルはキラキラした衣装を身に纏い、闇の森の中なのにどこからか降り注ぐ強い光を浴び、そして何よりも眩しいほどに光り輝く笑顔を浮かべている。 


 だが、それが全く嫌では無かった。


「美しい……」


 むしろ目を奪われてしまったくらいだ。


「それじゃあ今度は二人で!」


「Love me?」

「「ラ……ラブ ユー」」


「Love me?」

「「ラブ ユー!」」


「Love me?」

「「Love you!」」


「ありがとーさいっこうに嬉しい!それじゃあみんなで行くよー!」


「Love me?」

『Love you!』


「Love me?」

『Love you!』


「Love me?」

『Love you!』


「みんな大好き、チュッ」

『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』


 すでにそこは勇者も魔王も関係なかった。


 アイドルゆぅたんに魅せられた者達による狂乱の宴は、まだまだ終わらない。


――――――――


「それじゃーみんな、今日はありがとー!すっごい楽しかったよ!またね!」

『ゆぅたあああああああああああああああああああああああああああああん』


 五曲を歌い終えたゆぅたんは、登場したときとは逆に地面に吸い込まれるように退場する。


 その後、舞台で演奏していた者たちがステージの前面から普通に地面に降りると、ステージ全体が下がりはじめ、後にはただの広場が残された。


 謎のアイドルゆぅたんは、消えたままだ。


「「一体何だったんだ……」」


 お互いに死んだはずの仲間たちが戻って来て、振出しに戻ったというだけのこと。またあの熾烈な戦いを繰り広げなければならないのは間違いない。むしろそうなる前に、間近にいる宿敵を滅ぼすために行動すべきなのだ。


 だが、皆が和気藹々としている中、魔王(勇者)を倒そうなんて言える雰囲気でも無い。

 さらに言えば、勇者や魔王本人がとてつもない充実感に満たされてしまったため、そんな気分でも無かった。


「……帰るか」

「……退くか」


 勇者は仲間たちと人族の住む場所へ帰り、魔王城を失った魔王軍は闇の森のどこかにでも退いて魔王軍の立て直しをする。


 そう、思っていたのだが。


 賢者とリッチが勇者と魔王の肩を抱いてきた。


「何言ってるのよ、ライブが終わったら打ち上げするに決まってるでしょ?」

「何言ってるんすか、ライブが終わったら打ち上げっしょ」

「「へ?」」


 その日、世界で初めて人類と魔王軍が盃を躱した日として歴史書に記されることとなる。


――――――――


「あああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 更に更にところ変わって日本のごく普通の家の一室。


 アイドルグッズが所狭しと飾られているこの部屋のベッドの上で、枕に顔を埋めながらバタバタと体を暴れさせる女の子がいた。


 委員長である。


「何やってんの何やってんの何やってんのわたしいいいいいいっ!夢の中だからって何やってるのおおおおおおおおおおおっ!」

「こーらー!近所迷惑でしょ!」

「んーーーー!んーーーー!んーーーー!」


 顔を枕で押さえつけた効果が全くみられず、母親が階下から娘の奇声を嗜める。


 委員長がこうなるのも仕方ない。




 委員長の名前は『高梨子ゆう』




 ゆぅたんの正体なのだ。


 女神が委員長について調べたことで、委員長が単なるアイドル好きだけなだけではなく、アイドルになる自分を夢想して歌を作ったり踊りを練習していた過去があることがバレてしまった。委員長にとっては中学時代の気の迷い、いわゆる黒歴史だ。


 歌詞ノートは思い出だからなどと甘いことは言わずに処分し、記憶にも鍵をかけていたはず。

 だが女神はその記憶を強引にこじ開け、羞恥心のパラメータをゼロにし、委員長が夢想していたアイドルの姿を再現するように魔法をかけて異世界に送り込んだのだ。


 っているときは別に問題なかった。

 ただ、全てが終わって自室に戻された後、羞恥心が蘇りのたうち回っていた。


 女神から何ら説明が無かったため、本人は夢か何かだと思っているが、それでも自分がノリノリで黒歴史を演じていたことを思い出すだけで顔から火が噴くような思いだった。


「何が『えへっ』よ!何が『ちゅっ』よ!もう★#&#25”%7$5&#”!」


 あまりの恥ずかしさ故、口からまともな言葉が出てこなくなってしまう。


 だが委員長は、まだまだ甘い。


 委員長が味わう『恥ずかしさ』はこの程度では済まなかったのだ。


――――――――


「委員長おっはー」


「……おはよう」


「どったの?なんか疲れてる?」


「……いえ、ちょっと寝付けなくて」


「めずらしー」


 以前、委員長を遊びに誘った陽キャの一人が、登校するとすぐに委員長に話しかけてきた。

 彼女は委員長のローテンションが気になったが、それよりも何よりも話したいことがあったのでそちらを優先する。


「ってそうそう、委員長例のアレ見た?」


「例のアレ?」


「昨日めっちゃ話題になってたやつ」


「あ~昨日はちょっと色々あって時間取れなかったんだ」


 昨日は羞恥に悶え苦しんでいたため、ネットの海に潜る精神的余裕が無かったのだ。


「んじゃ絶対見るべきだって。コレコレ。この動画」


「ありがとう。動画?これ長い?」


 チャットツールを使ってとある動画サイトの視聴用 URL が送られてきた。


「そこそこあるけど、最初の方だけでも見るべき。ゼッタイ」


「そこまで言うの。音は必要?」


「もち」


「りょ」


 鞄からイヤホンを出してスマホに装着し、URL をクリックする。

 



『異世界アイドルゆぅたんの初ライブアーカイブ動画』




「は?」


 目に入って来たタイトルが頭に入ってこない。


 というよりも、理解することを頭が拒否している。


 しかし、動画は自動再生される設定になっていたため、フリーズする委員長をよそに再生が始まる。


『みんな~今日は私のライブに来てくれてありがと~』


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお』


 そこでは、どこかで見たことのあるアイドルが、イケメンパラディンやアラクネドラマーによるバンドをひっさげて、大量の騎士団や魔族、そして勇者や魔王らしき者たちに向かって超ハイテンションでライブを行っていた。


「な、な、すっげぇだろ。こんなすげぇCG見たことねーよ」


 夢だと思っていた出来事であったはずなのに。


「でもこのアイドルもどきも、良く恥ずかしげもなくこんなこと出来るよな」


 忘れてしまいたいと思っていたのに。


「それにこの歌はねーよな!」


 現実は非情である。


「そういや委員長に何となく似てる?名前も同じだし実はこれ委員長だったりして。なーんちゃっ……」


「きょええええええええええええええええええええええええ!」


 委員長が壊れた。


――――――――


「やっぱりあの神ライブはみんなに見てもらわないと勿体ないよね!」


 委員長にトドメを指したのはやはり女神。


 地上で起きていることを知らずに良いことをしたと上機嫌な女神だが、機嫌が良いのはそれだけが理由では無い。


「これでこの世界にアイドル文化を根付かせれば、永遠の平和が確約されるわ!」


 アイドルの存在が世界の滅亡回避につながると感じていたからだ。


 だが女神は知らなかった。


「俺は静かに聞きたいんだよ。キモイお前らの声なんか聴きたくねーよ!」

「はぁ?ライブはみんなで盛り上がるもんだろ。地蔵はテンションぶち壊しだから来んな!」

「「ああ!?てめぇが来んな!」」


 アイドルがもたらすものは、愛と希望に満ち溢れた優しい世界だけでは無いということを。


「まったく、『俺の』ゆぅたんのことで醜い争いはしないで欲しいな」

「はっ、何を血迷いごとを。ゆぅたんは俺のことが好きなんだよ。目が合ったあの瞬間、ゆぅたんからの想いを受け取ったね」

「ああ!?『俺の』ゆぅたんに手を出したらタダじゃ済まさねーぞ!」

「『俺の』だっつってんだろ!」


 人の醜さが凝縮された世界が、同時に存在しているということを。


 この世界は、記録的な速さで滅亡することとなる。




「よし、次もゆぅたんにやってもらおうっと」


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