6話 冒険者になった
ルークに言われた道を進んでいくと、徐々に壁のようなものが見えてきた。あれが、彼の言っていた町だろう。
「あれが、そうか。」
前戦都市、セリシア。
南北に突き出たひし形に似た形をした大陸であるユーレシル、そのほぼ中央に位置する町だ。
ここより南側、俺が今来た方には大量の魔物が出現する。南にいけば行くほど、強力な魔物が現れるのだ。
一方北には、ほとんど魔物は出ない。その驚異がない分、戦争などが起こるらしく、北が安全とは言い切れないが。
北に住む人々に被害が及ばないようにするための設備や兵士を常設し、魔物を狩る冒険者の拠点にもなっている。
よって、魔物を食い止める都市として人々に前戦都市と呼ばれているのだ。
セリシアより南にも町はあるが、ほとんどの冒険者は前戦都市から冒険をはじめるそうだ。
冒険者になりたいとルークに言うと、この町を進められた。
もちろん冒険者ギルドなるものもあるし、武器屋も充実している。
前回の戦闘で、魔力に頼りすぎて痛い目をみたので、ここで武器も買っておきたい。
あと、レベルも2上がっていた。エアフォルテでそこそこの数の魔物を倒したからだろうか。それか、レベルが低いうちはあがりやすいのか。
手に入れたスキルポイントは、20ポイント。
1レベル当たり10ポイント貰えるみたいだ。
このポイントは、槍術メインで割り振っておいた。少し気が早いが、槍がメイン装備になることは確定している。
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名:蓮池史也
レベル:3
スキルポイント:0
ユニークポイント:0
メンタルポイント:0
スキル
パッシブ
陣魔法補助 LE:1
終焉属性補助 LE:1
槍術補助 LE:11 (up)
両手装備補助 LE:6 (up)
身体能力強化 LE:31
生命・魔力自然回復強化 LE:31
魔力操作補助 LE:20
生命・魔力増強 LE:20
アクティブ
-
アクション
陣魔法 LE:1
槍技 LE:5 (new)
ユニーク
バースト LE:11
メンタル
一般言語理解 LE:-
フォルテ LE:6
上限消失 LE:-
誓約《レベルアップ条件》 LE:-
属性《終焉》 LE:1
タレントスキル
転移者
フォルテ
無限廻廊
バーストフォーム
陣魔法適正
終焉属性適正
双槍士
超人
契約者
泉人
運命からの祝福
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そんなことを考えながら歩いていると、壁に近づき門の前までたどり着いていた。
門の前で少し並んでいたが、すぐに町のなかに入っていった。おそらく冒険者なのだろう。
前戦都市以降の町では、冒険者は優遇されている。
今のようにギルドカードを見せるだけで、町にはいることが出来るのだ。
税金も免除されている。
それだけ、町には魔物を狩る冒険者が必要ということだ。
「おい。お前、なにか身分が分かるものを持っているか?」
門の前まで行くと、門番をしている衛兵に呼び止められる。
そんなものは、この世界に来たばかりの俺はもちろん持っていない。
「持っていない。この町に冒険者になりに来たんだ。」
「そうか。なら、税金として1000シールだ。
身分証がないと毎回払う必要があるから、気を付けろよ。」
「ああ、ありがとう。」
門番にお金を支払い、町のなかに入っていく。
お金など持っていなかったが、当面の生活費とあわせてルークに借りてある。
きちんとかえすつもりだか、初対面の明らかに怪しい俺に貸すなんて本当にいいやつなのだろう。
オークの住みかを教えてもらって貸し借りなしだ、なんて言っていたがその前に助けて貰っているので、こちらがかりを作りすぎている。
他のメンバーが苦笑いを浮かべていたので、今回が始めてではないようだったし。
町のなかに入ると、大勢の人で賑わっていた。
高層ビルなんかはないが、人口密度だけで言えば、大都会だ。
屋台から肉の美味しそうな匂いが流れてくるし、エルフや他の種族もそれなりに見かける。
とにかく、もとの世界とは違った新鮮な感覚を覚えた。
「まずは、冒険者ギルドにいくとするか。」
身分証を早く作らないと色々と面倒だし、なにより俺の目標への第一歩だ。
門からそう遠くない位置にそれは建っていた。
剣が二本交差しているエンブレム。間違いない、冒険者ギルドだ。
周りが平屋や2階建てが多いので、5階もあり、さらにもとの世界の平均的な学校くらいのサイズを持つその建物はとても目立っており、ルークの言う通りに迷わず行くことが出来た。
なかに入ると、屈強な先輩冒険者に絡まれるなんてこともなく、他の冒険者は、依頼が貼り出されている巨大な掲示板を見たり、パーティーでなにやら話し合ったりしていた。
受け付けもそこそこの数があり、なんというか役場とか大きな郵便局の受付みたいなイメージだ。
数あるカウンターのなかから、「登録/更新」の立て札があるカウンターに進んだ。
「冒険者に登録したいのだが、ここであってる?」
「はい!こちらでお受付しています。
登録料はありますか?」
きれいというよりは、可愛い感じのお姉さんにお金を払う。
ルークに出会えてよかったとつくづく思う。
「では、こちらのカードに魔力を込めてください。
それで、登録完了になります。」
言われた通りに魔力を込めると、文字が浮かんできた。
俺の名前とF-5と書かれている。
「そちらが、ギルドカードになります。なくしたら、罰金になりますのでご注意ください。」
「このF-5ってのは?」
「そちらは、冒険者ランクと言います。
F~Sの順に高くなり、その中でも5~1の順でランクが上になります。ランクが高ければ、指名依頼をされやすくなったり、高い難易度の依頼を受けやすくなったりします。
また、Sランクの上位100名はSSランクに任命されランカーと呼ばれています。さらに、SSランクのトップランカーはSSSランクになり、最強の冒険者の証明になります。」
俺は今最下層のF-5、目指すは最強のSSSランクのトップランカーだ。先は長いだろうが、面白い。絶対に全員抜いてやる。
「それと、ランクを上げるためには依頼をこなしていただく必要があります。難易度に応じてランクが決められており、達成状況に応じてランクが上がります。
受ける依頼に制限はありませんが、明らかに無理そうな場合はこちらでお断りさせていただきます。適正ランクも依頼表に書いてあるので参考にしてください。
最後に、こちらの本をお渡しします。新しくなった冒険者の皆様にお配りしているものです。スキル解説や有名な魔物についてなど役に立つ基本的な知識が書かれているのでご確認ください。
他に質問はありますか?」
「大丈夫だ。ありがとう。」
受付の女の人から、本を受け取りカウンターから離れた。
想像よりも親切な対応で驚いた。この本など当に俺が知りたかったことが書いてあるだろう。
とりあえず、この本の中見を確認したいのでギルドの中に作られている、軽食屋で腰をおろす。
酒場もあったが、未成年なので止めておいた。というか、この世界では15才で成人扱いなので問題ないが、飲みたいわけでもないので構わない。
まともな食事をとるのは久しぶりなので、軽めのものを注文し、史也はさっきもらった本を開き読み込むのであった。




