3話 森の外を目指して
例の化け物から逃げて半日がたち、夜も明けそうだ。
「そろそろ、ここから出ないとな」
巨木の上で夜を明かしたが、ここには食料も水もない。
このままここにいれば、飢えて死んでしまう。魔法で水を精製出来るのではと思うだろうが、加減が分からない。
下手に水を出そうとして、奴らの住みかの近くで目立つのは危険だ。
出来れば、人里におりたいのだが、むやみに歩き回って魔物たちに襲われたら困る。
何せ俺はまだレベル1だ。この指標がどれ程役に立つのかは分からないが、弱いことは確かだろう。
タレントスキルもレベルを上げてポイントを割り振らないと意味がない。
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名:蓮池史也
レベル:1
スキルポイント:0
ユニークポイント:0
メンタルポイント:0
スキル
パッシブ
陣魔法補助 LE:1
終焉属性補助 LE:1
槍術補助 LE:1
両手装備補助 LE:1
身体能力強化 LE:31 (up)
生命・魔力自然回復強化 LE:31 (up)
魔力操作補助 LE:20 (new)
生命・魔力増強 LE:20 (new)
アクティブ
-
アクション
陣魔法(陣魔法適正) LE:1
ユニーク
バースト(バーストフォーム) LE:11 (up)
メンタル
一般言語理解(転移者) LE:-
フォルテ(フォルテ) LE:6 (up)
上限消失(無限廻廊) LE:-
誓約《レベルアップ条件》(無限廻廊) LE:-
属性《終焉》 (終焉属性適正) LE:1
タレントスキル
転移者
フォルテ
無限廻廊
バーストフォーム
陣魔法適正
終焉属性適正
双槍士
超人
契約者
泉人
運命からの祝福
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どうするか考えているうちに、最初から神様にもらい持っていたポイントを割り振っておいた。
無駄遣いしないために、先人の知恵を借り効率的に使いたかったのだが、奴らに歯が立たないこの状況はまずい。
一番の問題であったのは、右手の怪我だ。これを治すために、自然回復強化にポイントを使った。これにより、今は怪我もほとんど治っている。潰れていたと思えば、早すぎる。
即時回復出来そうな魔法系の方が良かったのだが、俺には無意味だ。
なぜなら、終焉属性のせいで回復魔法みたいなものや、バフぽっい付与効果は無効化される。
まあ、デバフも無効化するようだが、プラスかマイナスで言えば、マイナスの方が大きいだろう。
自然回復だけなのはきつい。
それにしても、効果がよくわからないものが多すぎる。
早く人に会って色々と聞きたい。
魔物を狩ることを生業とするものってやっぱり冒険者みたいな人たちなのかも、気になる。
まあ、後は身体能力強化と今まともに使えるフォルテとバーストをメインに上げた。
強化されたフォルテを奴らに打ち付けてやりたいが、耐えられるとまずいので、この森からの脱出を最優先に考える。
そんなことをしているうちに、異世界にも変わらずある太陽が顔を見せ、朝になった。
「えっ、 あれは?」
目を凝らしてみれば、やつらの住みかの先に太陽に照らされた平原が見える。
小さいが道のようなものも見えた。
あんな遠くを見ることなんて昨日までは出来なかった。身体能力強化のスキルの影響だろうか。
「まあいい。これで向かう先は決まった。」
まずこの危険な森を抜ける。平原の方が危険だとか言うパターンもあるかもしれないが、もしそうならその時考える。
少なくとも、道に出ればこの森よりかは人に会える確率がたかいだろう。
「問題は、どうやってこの森を抜けるかだ。」
やつらの集落を突っ切る、何てまねはさすがにしない。
迂回するのは確定だ。
何が問題かと言うと、迂回しても昨日のように魔物たちに出会う可能性があるということだ。
この森に来たばかりの俺には、安全なルートや魔物の縄張りなど知らない。
危険な場所が会っても事前に知りようがない。
「こればっかりは考えても仕方ない。出来るだけ戦闘を避けながら迂回していくということで、いくか。」
そう言いながら、史也は巨木から飛び降りる。
スキルのおかげか、軽やかに着地することに成功した。
パキ、、
一瞬自分が小枝でも踏んだのかと思ったが足元にはそんなものはない。
嫌な汗を流しながら振り替えるとそこには、一日ぶりの顔があった。
「グガ「フォルテ!」」
化け物の声をかき消すように、フォルテを発動させる。
新しく取得した「魔力操作補助」のスキルのおかげで反射的に発動することが出来た。
フォルテ事態のスキルレベルも上げたことにより、前回よりも複雑な細かい波を伴う衝撃波が化け物襲う。
化け物はその場から動かず、その体には小さな傷がいくつも入っている。
そのまま倒れこむと思われたが。
「グガァァァア!!」
化け物の目は生気を取り戻し、棍棒を握りかざしてきた。
それを避けるために、史也は体を右にそらす。
前回とは違い簡単に避けることが出来た。
史也自信が早くなったこともあるが、化け物の動きが鈍い。
棍棒を振りかざした後は、体制を崩しふらついていた。
その隙を逃すはずもなく史也は、今度は目の前の化け物にゼロ距離で衝撃波を放つ。
「フォルテ!!」
念入りに二回連続で放っておく。
その衝撃波をまともにくらった化け物は、音を立てて地面に倒れこんだ。
「あれで耐えていたら、ちょっと厳しかったな。
他の魔物が集まってくる前にここから離れるとするか。」
魔力的な問題で、フォルテは無限に放てるわけではない。腕を治すために「生命・魔力自然回復強化」のレベルを上げていたため、おまけで回復速度が上がっているが、そう連発は出来ない。
森を抜けるまでの魔力配分的に一回当たりの戦闘で使いすぎるわけには行かないのだ。
「フォルテ」には、レベルを上げたことによりもう一つ使える技があるが、そちらは一発で魔力がなくなる。
使いどころは考えないといけない。
「降りた瞬間襲われるとはついていないな。」
史也は、集落を予定よりも少し多めに迂回しながら、森のなかを駆け抜けていく。




