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13話 オークの集落での惨劇

集落の中に入ると、今まで見てきたオークの倍くらいありそうな怪物がいた。

他の魔物とは雰囲気が違う。格が違うのだろう。



しかも、そんな化け物が3体も集まっている。前に木の上から眺めたときには、こんなヤバそうなやつはいなかった。

競うように、何かを奪い合って貪っていた。




状況が呑み込めずに立ち尽くしていると、食い終わったのかそいつらは、こちらを見てきた。足が震える。

明らかに、普通のオークじゃない。今度こそ殺されるのではないか、そんなことが頭をよぎる。




不意に化け物が集っていた場所にある折れた剣が目に入る。美しい剣だ。彼には、よく似合っていた。

さらに、奥には見覚えのあるボロボロになった服がある。血まみれだ。持ち主がどうなったかは考えるまでもないだろう。


気がつくと、震えは止まっていた。



「おまえらか。殺してやる!」



そう言うと同時に槍を構え、魔力を込める。怒りのせいで、いつもより多くの魔力がエルギアスに流れ込む。

化け物達も、こちらが戦闘体制に入ったのに気が付いたのか、鋭い目付きを向けてくる。





彼らは恩人だ。命を救ってくれたのもそうだし、何より彼らは優しかった。俺はまだ、何も返せていない。

友人と言うには、過ごした時間は少なかったが、きっとなれただろう。

それも、もう叶わないが。





エルギアスに込めた魔力を操作し、槍にオークどもを襲わせる。

やつらも、巨体に似合わない速度で避けてくるが、こちらの方が速い。

徐々に追い詰めて、そして少しずつかすりだしてきた。



一匹のオークが横にずれて避けるが、その瞬間エルギアスを枝分かれさせ、突き刺す。



「グガァァァア!」



想像以上に固かったので、貫通はしなかったが、それでも多少のダメージを負わすことが出来たようだ。




それを見たオークどもの目付きが変わる。俺の認識を餌から敵に昇格させたようだ。



やつらは、体をオーラのようなもので纏った。別物だろうが、俺のバーストに雰囲気が似ている。

ここからが本気モードのようだ。



「エルギアス!!」



相手がその気なら、こちらも相応な対応をしよう。それに、今の俺は怒っている。

エルギアスにさらに魔力を込めて、何度も枝分かれをさせた。

ここまで複雑化すれば、さすがにそこそこ魔力を使う。



16に別れたエルギアスは、速度を増してオークを襲う。

たが、オークどもも簡単にはやられてくれない。


さっきまでは、当たっていた攻撃が当たらない。さらに、エルギアスをオーラを纏った手で掴まれたりした。

単純に能力が上がっているようだ。




掴まれたエルギアスを引き抜くために一度縮めようとすると、1体のオークがこちらに突っ込んできた。

攻撃のチャンスと思ったのだろう。



確かに強化されたお前らのスピードにエルギアスでは、もう間に合わないだろう。

だが、俺には左手に持ったもう一本の槍がある。



「ルカギアス!!」



魔力を込めて、それを発動させる。

ルカギアスの縛りは、行動不可といったものだ。魔力を込めた瞬間ピクリとも動かせなくなる。これなら、どんな能力があろうと誰も使わないだろう。


そんな強力な縛りを持つルカギアスの能力は、確定ヒットと機能停止だ。



「ガガァ?」



俺に接近してきたオークに向かってルカギアスを振るう。

そこまで速くない速度での攻撃であったので、オークには交わされた。

たが、切り裂かれて動かなくなった足を見て、オークは不思議そうにしている。




確定ヒットとは、そのままの意味で間合いに入れば必ず命中するといったものだ。だが、その一撃自体のダメージはそこまで大きくない。

強力なのは、機能停止の付与効果の方だ。これは、今目の前にいるオークのように、攻撃が当たった部位の操作を少しの間止めることができる。

強力な敵であれば、相応の魔力を消費する必要があるが。



そんなわけで、動きを封じられたオークに向け、エルギアスを発動させて突き刺した。

やけに簡単に貫通したと思ったら、どうやらルカギアスの能力で、オーラも消えていたようだ。



「バースト!」



一時的にバーストを発動させて、残ったオークとの距離を積める。

俺の姿を見失ったオークたちの背後から、ルカギアスで切り裂き、エルギアスで突き刺す。



オーラを失ったオークたちは、ルカギアスの能力て体を動かすことも出来ず、まともに攻撃を食らって生き絶えたようだ。



呪い武器は、かなり強力だ。俺だけでは勝てないと思われる化け物を相手にしても、一方的に勝つことが出来た。






ルークとセシルを助けることは叶わなかったが、彼のパーティーにはまだ2人いる。

彼女らを探すために、集落の奥の方へと進んでいく。

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