第4話 小説と世界の危機
前話のあらすじ
ペガサスに挨拶しました。この世界と魔法について、紙に書き出しました。他のことも書き出すことにしました。
まだ説明回です。
小説のことやこの世界のことで、思い出すべきことはまだまだある。忘れないうちに、書いておかなければ。
続いて、「魔女ティア」こと、「魔女の帽子と聖女のティアラ」について。
「魔女ティア」は、私の大好きな恋愛小説で、主人公リリアローズが、聖女達と共に旅をして、世界を救う話だ。ヒロインにライバル、4人のイケメン達の間で絡まる恋愛模様が中心ではあるが、旅の目的はあくまで、世界を救うこと。魔物と戦ったり、遺跡で世界の秘密を解き明かしたり、世界を滅ぼそうとする敵を倒したり、世界を回りながら様々なことを解決していく。そして、世界の危機と大きく関わる、主人公のとんがり帽子と聖女のティアラの謎についても、旅の中で明らかになっていく。
シリーズもので、6巻まで出ていて読んだが、10巻ほどまで続く予定だったはず。帽子の謎も7巻で分かりそうだったのに、発売前に死んでしまった。つらい。最後まで読んでから、こっちに来たかったなぁ。
旅のメンバーは、主人公の他に5人。まずは聖女。聖属性魔法の特別な才能を持ち、世界の危機を引き起こす原因である瘴気を払うことができる、唯一の存在。世界の危機の時代に人間の中から生まれ、世界を救う者として注目を集める、世界の英雄だ。
今代の聖女は、フィオナストーン・マクガーレン。フィオは、人間の国アストレア王国の王都で生まれた伯爵令嬢である。淡いピンクのふわふわした髪に、キラキラと色を変える虹色の目を持つ。この目は歴代聖女も持っていた特徴だ。守ってあげたくなるような可愛らしい容姿に加えて、強い芯のある優しい心の持ち主だ。
てか、リリアローズや私より断然主人公気質じゃないか!?
小説を読み進める中でも思ったけど、主人公の恋のライバルのはずなのに、全然にくめない。むしろ、応援したくなっちゃうんだよね。ファンの中では、リリア派とフィオ派で分かれてたし。
次に、私の推しであるイケメンクール王子、オズバルスター・イリオット・アストレア。乙女ゲームだったらメイン攻略キャラと言われそうな、クール系イケメン、オズ様だ。アストレア王国第二王子で、フィオとは幼なじみ。金髪碧眼で、めったに笑わないが、笑うと破壊力が半端ない。2巻は挿絵が素晴らしすぎて、保存用にもう一冊買った。美しすぎる上に、クールだが責任感が強く、旅のパーティーのリーダーとして皆を引っ張っていく、本当にカッコいいキャラだ。主人公が外の世界へ出るきっかけも、オズ様である。
そして、フィオの好きな人だ。主人公も旅の中でオズ様に惹かれていき、フィオと友達でありながら、恋のライバルとなる。
しかし、複雑な恋愛模様は、三角関係だけでは終わらない。フィオに恋している、もう1人の幼なじみ、アレクセイ・カーデラン。アレク様は、公爵子息であるせいか、常に偉そうな俺様であり、定番のツンデレキャラである。そして、密かに主人公に恋をする、テオドメルス・リースランド。主人公より1歳年下の、可愛い癒やし系だが、頭脳派でたまに腹黒い侯爵子息、テオ様である。
また、唯一恋愛まで(1〜6巻では)発展しない旅のメンバーがいる。騎士団長の息子、ゼフナートス・ギムルハートである。明るく爽やかで、兄属性を持つゼフ様は、主人公より2歳年上で、パーティーの雰囲気を良くしたり、相談に乗ったり、とにかくイケメンだ。実は「魔女ティア」の中で、最も人気なキャラクターだった。
素敵なキャラばかりなので、どの恋も応援したくなる。世界を救う旅でイチャイチャしてんじゃねえ!って思うかもしれないが、基本は忍ぶ恋である。告白なんて6巻までで1つも無いし、恋愛の場面はあくまで移動中など、世界を救うこととは関係のない時である。皆まだ16歳なのに、自分の心を抑えて、世界のために頑張るのだ。泣ける。
小説は、主人公と5人の出会いから始まる。
5人が旅の道中で、主人公の住む森を通る。そこで魔物との交戦中に毒を浴びてしまう。それを助けるのが主人公だ。だが、主人公は両親を亡くして以来、人と会っていなかったため、上手く話せず、5人を追い払ってしまう。主人公の「変わりたい」という本音を感じ取ったライノボルトが5人を引き止め、主人公を外の世界へ連れ出すよう促す。そして、主人公はオズ様の言葉を受けて、共に旅に出ることに決めるのだ。
こうして見ると、主人公って面倒くさい性格だな、と思わなくもないが、このシーンのオズ様がカッコいいからいいのだ!
最後に、大事な「世界の危機」について。この世界には、瘴気と呼ばれる、魔物がまとう黒い霧のようなものが存在する。魔物を倒すと、この霧は散っていく。しかし、着実に世界に溜まっていくのだ。これが何百年という周期で一定量を超えると暴走し、世界の危機が訪れる。瘴気が暴走すると、魔物は活発化し、4種族は悪感情を煽られる。つまり、魔物との戦闘が多くなり、内政も混乱して、戦争や内乱が各地で起こる。貴族は権力を自分のためだけに使うようになり、平民はそんな貴族達に不満を持つ。治安が悪くなり、革命が起きたりする。とにかく、悪いことばかり起こるのだ。
あくまで、悪感情が煽られていくだけであって、病気になるわけでも、天変地異が起こるわけでもない。しかし、小さな綻びがだんだん大きくなっていき、最終的には国が滅び、世界が滅ぶことになる。たくさんの命が失われることになる。この寸前までいったことが過去にあったと、歴史書に刻まれているのだ。
それを止めるのが聖女だ。聖女だけが、この瘴気を浄化し、消し去ることができる。だが、瘴気は世界中に蔓延している。だから、各地を浄化しながら回る旅をするのだ。普通は、15歳で成人とはいえ、10代の若者5人だけで旅など、ありえない話だが、実はここには重い事情がある。
まず、聖女フィオの場合。聖女がもし死んでしまったら、新たに別の子に聖女の力が移る。その子が新たな英雄となる。つまり、代わりとなる者はいくらでもいるのだ。しかも、命の危険を承知の上で、英雄の名を欲する者達も数多く。フィオも昔から王族によって隠し守られて、なんとか暗殺されずに、ここまで生きてきたのだ。英雄として祭り上げられるにも関わらず、少ない護衛と共に、命がけの旅をしなければならない。フィオはその責を理解して受け入れているのだから、本当に強い子だ。てか、本当に事情が重い。
次に、第2王子オズ様。優秀であるがゆえに、第1王子から疎まれており、貴族も第1王子派と第2王子派に分かれて、王位継承争いが起こっている。しかし、オズ様は王になる気はなく、むしろ第1王子を尊敬し、支えたいと思っている。第1王子も非常に優秀なのだ。そこで、何年かかるかわからない危険な旅に出ることで、王としての教育を避け、争いを収めようと考えたのだ。もちろん、幼なじみのフィオが心配だからというのもある。国のため、兄のために動くオズ様。カッコいいです。
他の3人も、重い事情を抱えている。だが、それを表に出さずに、命がけで世界を救おうとするのだ。
それなのに、主人公は。
小説を読んでいた時は、主人公の成長を嬉しく思ってたし、応援していたが、自分が同じ境遇になって、客観的に見て、
ダメダメすぎ!このヘタレ!5人みたいにもっと頑張れよ!
両親を幼くして亡くしたんだから、しょうがないという気がしていたが、5人のことを思うと、主人公がダメとしか言えない。内気で人見知りとか、言い訳にもならない。自分を変えようっていう意思が無いんだもの。旅の中で変わっていくし、仲間がいたから変われた、という美談でもあるが、主人公補正がなければ、ただの迷惑な甘ったれた女だ。うん。反面教師にしよう。
まあとにかく、世界を救えるのは聖女だけで、他はあくまで護衛と、街でのトラブル対処が仕事だ。私がいなくとも、世界は救えるだろう。
しかし、小説では、街でのトラブルが最良の形で解決していた。私はそれを知っている。それに、トラブルを回避する方法もわかるのだ。5人を助けることも可能だ。
それに、もし私が旅のパーティーに加わらなかったことで、5人に何かあったら。そんなのは絶対嫌だ。大好きな5人には無事に旅を終えて、幸せになってほしい。
6巻までの知識しかないから、最後まで役に立てるかはわからないけど、前世を思い出したのも何かの縁だ。純黒の騎士、純黒の魔術師と呼ばれた両親の娘として、恥じない生き方をしたいし。大好きなキャラ達のために、世界のために、もちろん自分のためにも、頑張ろう!
世界を救うと心に決めて、小説の詳しい内容を書き出し始めた。全て書き出すとなると、長くなりそうだ。
自分の楽しい人生のために、
世界を救おうとする主人公。