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第3話 この世界と魔法

前話のあらすじ

現状を受け入れました。クローゼットの中のとんがり帽子を見て、今世の記憶が戻りました。小説の主人公でした。でも、設定が変わってました。ペガサスに会いにいくことにしました。


説明回です。

 


 私の朝の日課。


 7時に起き、とんがり帽子を手に取り、身だしなみを整える。それから、庭へ出てライノボルトに挨拶。木の実を採って朝食にする。その後は、魔法の練習やポーション作り。



 ということで、庭にいるライノボルトのもとへ。ライノボルトは、全身真っ黒なペガサスだ。3人くらい余裕で乗れそうなほど大きな背中に、美しく輝く翼を持つ。とても穏やかな性格で、私が辛い時はいつも寄り添ってくれた。生まれた時からずっと一緒にいる、大事な家族だ。



「ライ、おはよう。」

「ブルルッ。」

「へへ。ありがと。」



 声をかけると、そっと近づいてきてくれた。そして頭を寄せてくる。ライは頭をなでられるのが大好きなのだ。とても威厳がある姿だが、実際は非常に愛くるしく、甘え上手だ。こういうところは、可愛い弟のようにも感じられる。だが、とても頼りになる兄のようでもあるのだ。ライがいたから、私はすぐに両親の死から立ち直ることができたのだろう。小説内では、ライに依存しつつ、それでも立ち直れない感じだったけどね。



 ライと十分に触れ合ったので、次は朝食だ。庭には多くの植物があり、美味しい実のなる木もいくつかある。それらを採って朝食にするのだ。だが、それらの木の実は、地球には無さそうなものばかりなので、やはり異世界なのだと実感させられる。



 朝食の後は、魔法の練習だ。しかし今日は、前世を思い出した訳だし、小説知識を洗い出して、これからのことを考えなければならない。「魔女ティア」はただの恋愛小説ではなく、ファンタジーな冒険物でもあった。主人公達の旅は、世界を救う旅でもあるのだ。そんな世界の危機を、16歳まで放っておく訳にもいかないし、記憶が薄れる前に書き出しておかないと。





 寝室の隣にある書斎に入る。机に向かい、紙とペンを取り出す。小説知識を12年間で学んだ知識と合わせて、書き出してみよう。




 まずは、この世界の設定について。


 この世界は、いわば剣と魔法の世界だ。騎士や魔術師が国を守っており、生活には魔法が根付いている。魔力によって動く魔道具も、様々な場面で用いられている。地球との違いは、多くの技術が科学ではなく魔法による、という点だろう。


 またこの世界には、 4つの高い知能を持つ種族がいる。動物の特徴を体の一部に持ち、身体能力に優れた獣人族。自然と一体化して暮らし、自然の力を使って不思議な現象を起こす精霊族。大量の魔力を操ることに長けており、各々が自分だけの特別な魔法を持つ魔族。そして、最も高い知能を有し、様々な分野で高い技術力を誇る人間族。1つの巨大な大陸で、この4種族が共存している。種族間の交流はあまり行われていないが。


 そして、4種族と分けて考えられる生物として、魔物がいる。魔物は、4種族に入らない全ての生物を指しており、熊、ライオン、鳥、ワニ、トンボ、魚、などなど何でもアリだ。地球での人間以外の生物は、全て少し姿を変えて、魔物となっている。魔物は基本的に知能が低く、排他的なため、4種族にとっては共通の敵だ。力が強かったり、魔法を使ったりするため、危害を加えられることもあり、危険な存在なのだ。しかも、数が非常に多いため、いくら狩ってもキリがない。騎士や魔術師は、主に魔物から国を守っているのだ。



 では、ライはどうだろうか。ライも魔物ではあるが、非常に珍しい、知能が高い魔物である。知能が高い魔物は、人の言葉を理解でき、話し合って共存する道を取ることもできる。しかし、普通は共存など無理なことだ。知能が高い魔物ほど誇り高いため、他者を受け入れてはくれないのだ。そう考えると、ライは例外と言えるだろう。まずペガサス自体、実在することは知られているが、ほとんど出会えない存在である。ライは私が生まれた時に、森から突然現れて私に懐いた、と両親からは聞いている。何故私に懐いたのかは一生の謎だ。


 ちなみに、ペガサスの他にも、ドラゴンやキマイラ、フェニックスなども存在する。ファンタジー世界らしい魔物は総じて知能が高く、発見例が少ない。とても珍しい存在なのだ。本当に何故ライは私の側にいるのか。謎である。




 次に、魔法について。


 生物は皆、生まれつき体内に魔力を持っており、その魔力を使って魔法を行使することができる。自分の体内の魔力を制御しながら外へ放出し、命令式を与えて理を外れた現象を起こす。これが魔法行使の流れだ。大切な要素は3つ。まず、魔力量。生まれた時点では人それぞれ差があるが、鍛えて増やすことが可能だ。次に、魔力制御。魔力量があっても、制御できなければ使うことはできない。最後に、命令式。これは、ある現象が起こるまでの過程全てのことだ。その現象に行き着くまでの過程一つ一つを想像し、放出した魔力に伝える。それによって、ようやく魔法を行使できるのだ。


 といっても、簡単な魔法では、魔力量は少なくて済むし、命令式も簡単で短い。詳しい原理がわかっていなくても、他人がその魔法を行使する様を何度か見ておけば、ある程度なら誰でもできる。しかし、高度な魔法になると、大量の魔力が必要だし、それを制御する力がいる。そして、その魔法を行使するための命令式が複雑になり、細かいところまで想像できなければ、魔法が発動しなかったり、威力が半減してしまったりするのだ。


 魔力量と魔力制御は練習あるのみだが、命令式は、様々な魔法に触れ、その原理を学んで、頭で理解しなければならない。だから、貴族は学校に通って魔法を学ぶ。逆に言えば、原理さえわかれば、何でもできる。新しい魔法を開発することも可能だ。私の地球での科学知識はかなり役に立つのではないだろうか。ちなみに、転移魔法も私が細かくイメージして、開発したものだ。


 転移魔法は魔法陣を使っているのだが、魔法陣は魔道具の一種で、魔法を行使する際の命令式の組み立てを助けるものだ。魔法陣に命令式を組み込んでおくことで、その魔法を行使する時に命令式を少し簡略化できる。しかも魔法陣は何度でも使うことができる。魔法陣の模様がまた難しいのだが、それは頑張って本を読んで覚えた、とだけ言っておこう。



 私の住む国における魔法の位置付けだが、平民にとっての魔法は、生活に少し使う程度のものであり、生活していく中で自然と技術を身につけていくようになっている。しかし、宮廷魔術師となると、かなりの魔力量と魔法技術を求められる。騎士や魔術師は完全実力主義なので、身分関係なく、相応の努力をした才能ある者がなることができる。騎士団と魔術師団は皆の憧れなので、例年倍率は非常に高い。身体能力か魔力か頭脳か、どの才能があるかで、将来を騎士、魔術師、文官に決めるのが、貴族の基本的な考え方だ。また、魔術師の中でも、魔道具研究や魔法開発の方面に携わる者もいる。魔法は市民の生活から国防まで、幅広く関わっているのだ。


 世界全体においては、種族によって捉え方が異なる。獣人族は、生まれつき魔力が少なく、身体強化系の魔法を得意とする。精霊族は、魔力をほとんど持たない代わりに、自然から力を引き出して魔法のような霊法というものを使う。魔族は、魔力量が多く、簡単な命令式で強力な魔法を行使することができる、特有ユニーク魔法という自分だけの魔法を持っている。魔物は、基本的に1種類しか魔法は使えないが、知能が高い魔物は例外で、様々な魔法に非常に長けている。ライは雷系の魔法と飛翔魔法しか使っているところを見たことがないが。




 魔法が当たり前に存在するこの世界で、両親はトップレベルの魔術師だったらしい。小説内の「リリアローズ」は、魔力制御が苦手だったため、両親を失ってからは必要最低限しか魔法を使わなくなってしまった。でも、私は違う。私はそんな2人の娘であることを誇りに思っているし、2人に負けないようにこれからも頑張るのだ。




 一度大きく伸びをした。書き出さなければならないことはまだまだある。再びペンを持ち、前世と今世の記憶を辿った。



完全にファンタジーな世界。

頑張る主人公。

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