表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/41

第21話 動き出すシナリオ

第2章スタート!遅くなりました…。

シナリオ最初の時間軸になります。

旅の始まりです。


ついに再会の時。

 


 目が覚めると、そこには見慣れた天井。起き上がって、カーテンを開けると、そこには大切な家族。



「おはよー!ライ!」



 いつもと変わらない朝がやってきた。16年間過ごした部屋。そして、16年間一緒にいる家族、ペガサスのライノボルト。




 そう!私は今日で16歳!ハッピーバースデートゥーミー!なのです!




 さあ、お祝いだー!ライと一緒に誕生日会!今日はごちそうにしよう!ケーキ作ろう!大いに楽しもうではないかー!




 少しテンションがおかしいのは自覚している。でも、しょうがないだろう。なんてったって、




 ついに「魔女ティア」が始まる年齢になったのだから!




 4年前、前世の記憶を取り戻し、フィオ達と出会い、友達になった。とても懐かしく、幸せな思い出だ。


 この4年間、私が頑張り続けられたのは、あの3人の笑顔があってこそ!ついに、再会の時がきた!



 それに、残りの2人とも会える!占い師によると、おそらく2人の内どちらかが、私にとっての『光』なのだ。そして、私の努力が『光』を輝かせるのだ。ならば、頑張るしかないではないか!




 大好きなキャラ達に会える日を夢見て、私はこれまで頑張ってきた。今日は4/1。私の16歳の誕生日。小説の始まり、つまり主人公と聖女達が出会うのは、主人公が16歳の春。おそらく数ヶ月以内に、聖女達はここへやってくる。




 ひゃっほー!楽しみすぎるー!早く会いたいよー!




 前世「魔女ティア」ファンとして、大好きなキャラ達をリアルで見たい!愛でたい!という思いはもちろんあるが、それだけではない。


 4年前、フィオとテオとゼフの3人とは、友達になった。もう現実に存在する人なのだとわかっている。決して「魔女ティアの登場人物」ではないのだ。4年経って、成長した友達の姿を見たい。




 それに、単純に皆美形だから、間近で拝ませていただきたい!イケメン、美少女、最強!




 とはいっても、今日ではないだろう。誕生日に出会った、なんて描写無かったしね。出会いは春、って事しかわかってないし。



 楽しみだけど、まだ先。一旦落ち着こう。はい、深呼吸。スー、ハー、スー、ハー。




 というわけで、いつも通り身だしなみを整えて、とんがり帽子をかぶる。いつものスタイル。魔女の正装だ。時代遅れではあるけど。


 でも、お母さんとお揃いだからな。やめられない。それに、普通の服にこの真っ黒のとんがり帽子は合わないんだよね。ならば、真っ黒ワンピースに真っ黒ショートブーツ、とんがり帽子の3点セットしか無いっしょ!




 切り替えて、今日の予定を確認。



 今日は水の日だから、家で鍛錬の日だ。一日中、基礎トレーニングと戦闘訓練。街へは昨日行ったし、魔物の討伐は明日だ。今日はとことん鍛える!


 ちなみに、この世界では、1年=30日×12ヶ月=360日であり、1週間は6日間、火水風土闇光となっている。火の日は街へ、水の日は家で鍛錬。といった風に、1週間の予定はある程度決めている。あらゆる事を網羅できるよう、4年前に計画を立てたのだ。




 聖女達の旅は、命の危険を伴う。小説内でも、何度も死にかけている。小説では、主人公は勢いで旅に同行することになったため、才能はあるのに、引きこもりをこじらせた面倒な女になっている。


 まず体力がない。筋力はつきにくい身体だからしょうがないけど、引きこもりさんはすぐバテちゃうんだよね。


 それに、保有魔力量は多いのに、魔力制御がろくにできない。両親が亡くなってから、悲しみにくれて、魔法の練習サボってたから。努力が全く足りていなかったのだ。



 だが、私は違う。両親を亡くしてからの2年間も確かに頑張ってきたが、この4年間はさらに努力した。主人公を反面教師にして。



 結果、今の私はかなり強い。と思う。いろんな所へ行って、いろんな魔物を倒してきた。小説よりだいぶ強くなってる。命の危機も乗り越えられるはず。だけど、情報収集は隣街でしかしていないから、自分の強さがどのくらいなのかは、あんまりわからないんだよね。




 ちなみに、隣町しか行かない理由は単純。あの腹黒の包囲網に引っかかっちゃいそうな気がするから。


 レーベルの街も王都へ行く前に行ったっきり、一度も行っていない。少し遠いが、その隣街に行っている。もちろん魔女とはバレないような格好で。そこそこ大きな街なので、門を通らなければ、見つかる事はまずない。


 あの腹黒は、今でも私への興味が薄れないようで、私を捕まえるための包囲網が張られている。まあ門に行ったら捕まる、ってだけの話だけど。捕まったらシナリオが変わってしまう。まあ、それ以上に、ただただ腹黒が怖い。無理。苦手意識が強すぎる。会いたくない。捕まりたくない。



 腹黒から逃げるために、あまり街での活動はしないようにしているのだ。おかげで、この世界の常識がイマイチ。強いに越したことはないから、とりあえず努力は続けているが、旅に出たとして、やりすぎないか心配だったりする。




 魔法の開発はかなり自重してる。世間への影響を考えて。犯罪とかに悪用されたら嫌だからね。便利だけど抑止力があるよう、気を配っている。まだ世には出してない。少しずつの方がいいだろうし。




 と、いろいろ考え込んじゃった。とりあえず朝食だー!




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 あれから1ヶ月。




 とかならずに、まだ私の誕生日の昼時です。庭で黙々と杖を振っています。それなら先週と変わらない日常。でも、そこに変化が。




 少し離れた所で、毒霧が発生。私の家は結界で守られているから大丈夫。問題は、何故毒霧が発生したのか。


 森は魔物が多く危険だが、私が毎週討伐しているため、近くの街が襲われることはない。つまり、森にわざわざ入ってくる人は滅多にいない。でも、毒霧が発生したということは、そこに人がいるということ。




 まさか、聖女達じゃ!?




 いやいやいや!誕生日に来るとか無いでしょ!?そんなこと小説に描いてなかったよ!?なんでもういるの!?




 聖女達かどうかはわからないけど、とりあえず助けないと!困ってるかも!あの毒は結構厄介だし!




 急いで家へ入り、解毒剤を用意する。解毒魔法より解毒剤の方がより効き目があるんだよね。風魔法で粉状の解毒剤を毒霧の方へと送る。



 しばらくすると、毒霧は消えた。これで一安心…。




 いやいやいや!シナリオと違う!




 小説では、聖女達は毒霧を浴びながらもなんとか魔物を倒して、解毒剤を求めて人を探しに来た所、結界の近くまでたどり着くんだ。そこで、外で毒霧に気づいて、解毒の必要性を感じていた主人公が、家の結界を解いて解毒剤を渡す。それが聖女達との出会い。




 なのに!もう解毒しちゃったよ!聖女達がここに来る必要なくなっちゃったよ!




 解毒剤が飛んできた方向に気づいて、こっちに来たりしないかな。お礼言いに、とか。出会いイベント果たせなかったら、どうにもならないんだけど!?



 いっそのこと、こっちから行ってみるか。「大丈夫ですかー?」とか言って。「え!フィオ!?」とか言って。




 少しパニックになりながら、そうこう考えていると、こっちに近づいてくる気配。



「すみませーん!誰かいませんかー?」

「誰かー!返事をしてくださーい!」



 人を探す声が聞こえてくる。どこか焦っているような感じ。大きな声で、繰り返し叫んでいる。



 1人は、今世の記憶より低い声。でも、前世の記憶のまんまの声。アニメの予告編で聞いたのを覚えている。皆のお兄さん、って感じの声。


 そして、もう1人。前より落ち着いた雰囲気を含んだ、少女の声。少し大人っぽくなった気がするのは、気のせいかな?アニメの予告編を見ながら、可愛い声だな、と思ってたのを思い出す。



 4年も経っているのだ。声だけでわかる訳がない。


 そう思うのに、絶対そうだ。って思う。確信が持てる。




 ゼフとフィオだ。




 森から出てくる人影。再会の時。


 小説が、「魔女ティア」が、始まる。




 運命(シナリオ)が動き出す。



テンションおかしい主人公。

アニメの予告編は完璧に記憶済み。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ