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閑話1 魔女の今世と前世

閑話書いてみました。

今までの振り返りと前世の設定を少し公開。


いつもとは違う形式です。読みづらかったらごめんなさい。

 


 前世の記憶を取り戻した主人公の、怒涛の2週間。



 ○1日目(第1話)

 目を覚ますと、見知らぬ部屋。前世の記憶を取り戻した影響で、今世の記憶が抜け落ちている。とりあえず寝る。


 ○2日目(第2〜5話)

 とんがり帽子を見て、今世の記憶も取り戻した。ライに会った後、ひたすら小説知識を書き出す。フィオを救うことをあっさり決意。


 ○3日目(第5〜7話)

 街デビュー。門番さんがケイル兄さんだと発覚。そちらもフィオと同じく救うことを決意。


 ○4日目(第7話)

 お金稼ぎと冒険者登録。あっさり冒険者になる。


 ○5日目(第7〜8話)

 王都へ出発。ケイルさんにからかわれる。


 ○6〜10日目(第8〜9話)

 王都へ向かう。馬車ではケイルさんにからかわれつつ、情報収集。度々美味しい夕食を振る舞う。


 ○11日目(第9〜10話)

 ケイルさんの死亡フラグである蛇の魔物を、ライがあっさり討伐。王都到着。ケイルさんと別れて、人さらいに遭う。でも、逆に一網打尽にして、フィオのトラウマフラグも折る。


 ○12日目(第11〜13話)

 朝からケイルさんと遭遇。王都散策。テオ様のお父様である腹黒宰相と対面して、ひどく消耗。


 ○13日目(第13話)

 城の庭へ。腹黒と再会。花畑に感動し、何故か涙。偶然フィオと遭遇。とりあえず寝る。


 ○14日目(第14〜16話)

 ストーカー行為を画策。腹黒の奇襲。フィオの護衛に任命。ケイルさんと遭遇。ゼフ様、フィオ、テオ様と会い、仲良くなる。いざ、祭りへ…。



 頑張る主人公。4人で行く祭りは、何事もなく楽しく終えられるのか!?




 ----------------------




 高2の夏。



「おはよう!」

「おはよ。なんか朝からテンション高くない?」

「徹夜で『魔女ティア』読んでたからかな?」

「あんた…。今日から期末試験だってわかってる?」

「もちろん!勉強はバッチリです!それに本読んで徹夜なんて慣れてるから、試験中に寝るようなバカはしないよ。」

「はあ。そうね。学年1位を心配した私がバカだった。」

「そんなこと言ってー。そっちも普通に一桁の順位に入ってるじゃん。」

「こっちは真面目にやって、なんとか取れてんの!試験前に本読んで徹夜しといて、余裕で1位とか。本当にずるい頭してんね!」

「あはは!」

「笑ってごまかしてー!」

「きゃー!逃げろー!」




 いつもの日常。友人としゃべりながら登校して、勉強やバイトに励む。私は小さな個人塾でバイトしていて、そこの子達とはよくオススメの本を教え合いっこしている。友人はそこそこいるし、家族仲も良い。


 ただ、恋はした事が無い。してみたい、とは思うけど、どうしても男子は一緒にバカをやる相手としか思えない。ときめかない。




 そんな私が、ときめいた。キュンとした。



「踏み出すなら、俺が手を引いてやる。」



 勇気が出せずに立ち止まっていた主人公に、手を差し伸べて言ってきた言葉。この一言で、私は恋に落ちた。




 オズ様に。




 誰かに言えるはずもなかった。ただその本にどハマりしたということにして、何度も何度も読み返した。新刊は発売日にすぐさま買いに行った。



 私自身は、立ち止まってなどいなかった。主人公に感情移入なんかしていなかった。それでも、何故か心に響いた。



 私にも。主人公へ言ったみたいな、私に対してだけの、特別な言葉を。私を真っ直ぐに見つめて、言ってくれたら。



 バカな夢だと思う。私は特に現状に不満は無いし、わざわざ元気づけてもらう必要がある程、悩んだり落ち込んだりはしていない。それでも、そんな意味とか理屈とか関係なく、欲しい、と思ってしまった。


 でも、オズ様の側には、いつだってフィオがいた。主人公ともお似合いだとは思うけど、フィオの方が、オズ様を支えるにふさわしい気がした。私はいつしか、フィオとオズ様のカップルを応援するようになっていた。




「ん?何これ?」

「どうしたー?紙?」

「えっと、『今日の試験が終わったら、体育館裏に来てください。』だって。誰だろ?てか、なんで体育館裏?そこって、何かあったっけ?」

「いや、普通に、話がしたいとか、そういうことでしょ。誰かは知らないけど。」

「話?何だろねー。早く帰って『魔女ティア』読みたいんだけどなー。」

「まだ読むの?ていうか、相変わらず鈍感。鈍感の域超えてない?」

「ん?何か言った?」

「いや、何でもない。とりあえず、ちゃんと行きなよ。私は先帰っとくから。」

「えー。まあ、待たせるのは悪いし、しょうがないか。わかったー。」

「じゃあ、さっさと試験勉強するよ。」

「はーい。」




「魔女ティア」の皆は、美形揃いだ。当たり前だけど。その中でも特に、オズ様はカッコよすぎる!文字だけでもカッコよさが伝わってくるけど、挿絵はもっとカッコいい!あの真剣な表情が良いんだよねー。フィオも可愛いから、美男美女カップルなんだよなー。


 オズ様の隣にいられるのは、小説の旅のメンバーぐらいだ。三次元の分際で、あのイケメンの横になど、いられるはずがない。


 それでも、少しでも近づきたくて、オシャレに興味を持つようになった。見た目も中身も可愛くなりたい、って思うようになった。そして、陰ながら努力した。




「試験終わったー!次は土日挟んで月曜だし、ゆっくりできるね!」

「ゆっくりはできないけど、まあ、とりあえず1日目は終わったね。」

「しばらく会えないの、寂しいよー。」

「いつも土日は会ってないでしょ。ほら、もう行きな。体育館裏。」

「うう。冷たい。じゃあ、いってきまーす。」




 過去に何度か告白された事はある。でも、友人以上には思えなかったから、付き合わなかった。試しに付き合う、という選択肢もあったのだろうけど、私の性に合わない。というわけで、「彼氏いない歴 = 年齢 = 三次元に恋していない歴」となってしまっていた。


 告白はいつだって突然だ。私を好きだなんて、そんな素振り無かった。「魔女ティア」の皆は、割とわかりやすいんだけどなー。あ、オズ様は別だけど。オズ様の気持ちはあんまり描かれないんだよね。誰にでも優しくて厳しいから、恋心がどこにあるのかわからない。もしかしてまだ無いのかな?フィオにあればいいのに。




「えっと、この紙の人ですか?」

「っ!うん、そう。来てくれてありがとう。」

「ううん、別に。去年同じクラスだった、松永君、だよね?」

「うん。ちなみに今は隣のクラス。」

「そういえば、体育一緒だもんね。それでどうかした?私に何か用?」

「…えっと、その。話が、あって。」

「うん。何?」

「……………す、好きです!俺と、付き合ってください!」




 恋がしたい、と思っても、彼氏が欲しい、と思う事は無かった。友人や家族がいれば、十分だったから。そして、オズ様に恋をして、他の人に恋をしたい、とも思わなくなった。


 オズ様が私の彼氏になる事はない。むしろ、私なんかの彼氏にはならず、可愛いフィオと幸せになって欲しい。二次元だろうと何だろうと、私の恋は本物で、きっと物語が完結した時に、失恋するんだろうと思ってきた。


 だから、早く続きが読みたいと思う一方で、クライマックスに近づいていくのが怖かった。まだ終わらないで。この恋を終わらせないで。そう思ってしまった。そんなの辛いだけなのに。




「ねえ!あの松永君振ったって本当!?」

「なんで!?スポーツ万能で、みんなの人気者の、あの爽やかイケメンを、なんで振るの!?」

「もったいない!今すぐ取り消してきな!」

「いや、でも、私…。」

「好きな人いないんでしょ!?じゃあ付き合えば良いじゃん!」

「付き合えば、あんなイケメンすぐに好きになるって!」

「もう、皆やめな!人の色恋に口出さない!付き合うかは本人の自由でしょ!ほら、1限は数学の試験だよ!さっさと勉強!」

「…ありがと。」

「いいから。勉強するよ。」




 この恋がどうなるかはわからない。でも、今はとにかく、フィオの恋を応援する。オズ様が幸せになる事を願う。


 誰にも言わない。友人にも言わない。この気持ちは、いつか物語が完結して、時とともに薄れていくはずだから。そう、信じて。




「オズ様が超カッコいいよー!フィオも可愛すぎ!ねえ、『魔女ティア』貸すから読まない?」

「私は勉強と部活で忙しいの。布教はよそでやって。」

「えー。面白いのにー。」

「ねえ!あの、さ。この前は、騒いじゃってごめんね。」

「私もごめん!松永君って人気者だから、羨ましかったというか。」

「本人の気持ち考えずに押し付けるのは、違ったよね。ごめん!」

「皆…。もう!気にしなくていいのに!いいよ!許したげる!」

「ふふっ!上からだなー、もう。」

「じゃあ、試験も終わったし、皆でクレープでも食べない?」

「食べるー!」

「行こー!」




 主人公を、外の世界へと導いた、眩しい存在。


 彼を想いながらも、私のありきたりで幸せな日々は続いていく。




 いつもの日常。それが、あんな簡単に崩れてしまうなんて、考えもしなかった。



今世の主人公、頑張りすぎ?

転生後は、前世の恋心は忘れて気持ちを切り替えようと、わざと考えないようにしている主人公。

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