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第1話 ファンタジーとの遭遇

初めての作品です。温かい目で見ていただけるとありがたいです。

 



 目が覚めると、そこは異世界だった。




 ----------------------




「やばい!もうこんな時間!?」



 今日は13時から友人と約束していたのに、つい小説に手を伸ばしてしまった。間に合うか微妙な時間。慌てて必要なものをバッグに突っ込み、バタバタと家を出る。



「ごめん!遅れた!」

「もう!自分から誘っておいて!またあの本でも読んでたの?」

「うぅ、ごめんよ。でもあれホント面白くってさ。何回読んでも飽きないんだよねー。」



 若干遅れて待ち合わせの場所へ。さすが我が友人、私の遅れた理由など、お見通しのようだ。呆れた目で私を見ている。


 あの本というのは、今私がハマりにハマっている恋愛小説「魔女の帽子と聖女のティアラ」のことである。ライトノベルだが、なかなかに深いストーリーで、涙なしにはいられないシーンも数多く。シリーズもので、すでに6巻まで出ている。ファンタジー世界が舞台の恋愛小説で、主人公の美しい魔女に、ライバルだけど可愛くて優しい聖女、ハイスペックなイケメン達、魅力的なサポートキャラなど、乙女ゲームにしてもいいような素敵なキャラクターが登場する。もうアニメ化が決まっていて、予告編はチェック済みだ。私の推しキャラであるイケメンクール王子が動く姿が見られるなんて!2巻の表紙は本当にカッコよかったし、イケボまでついて、カッコいいよー!



「ほら。あんたがどうしても食べたいって言うから来たんでしょ。早く行くよ。」

「あ、ごめん、行こ!楽しみにしてたんだーあの店のイチゴタルト!」

「あんた甘いものには目がないもんねー。」



 2人で店へと歩き出す。その時、私の視界の端に小さな黄色いボール。それを追いかけて道路へ飛び出す少年。そこへ近づくトラック。



「あぶないっ!!」



 とっさに飛び出し、少年を反対側の歩道へ突き飛ばす。すぐに強い衝撃が私を襲った。友人の声が遠くに聞こえる。1人だけ別の空間にいれられてしまったかのように、全てが遠くに感じる。私はそのまま意識を手放した。



 ----------------------



 目が覚めると、私の視界には見たことのない天井。なんだか薄暗い。ここはどこだろうか。


 少しずつ思い出してきた。私はトラックにはねられたはずだ。死んでいないのだとすれば、ここは病院。しかし病室っぽくはない。しかも、身体に痛みはない。少し体を起こし、あたりを見回す。クローゼットと、机と椅子が一つずつあるだけの小さな部屋。誰かの寝室だろうか。しかし、交通事故に遭ったのに、病院にいないとはどういうことか。友人の部屋ではないし。見知らぬ人の部屋のベッドで今まで寝ていたというのか。


 ふと窓を見た。黒いカーテンで覆われている。この部屋が薄暗いのはそのせいか。ベッドから出て、カーテンを開ける。そこで目にしたのは。




「…ペガサス?」




 一度カーテンを閉める。もう一度開ける。見える光景は同じだ。窓の向こうには、立派な翼を持った美しい黒馬がいたのだ。そこは純白じゃないのか。現実逃避気味にそんなことを考える。でも、純黒なのに、光で毛がツヤツヤ輝いてとても綺麗だ。そしてやはり翼がある。しっかり生えている。となるとやはりペガサスなのだろうか。




 いやいやいや!ペガサスって!空想上の生き物だから!存在しないから!




 しかし、実際目の前にいる。ファンタジーな生き物が。草を食べている。翼も動いている。


 頰をつねってみる。痛い。両手で思いっきり引っ張ってみる。やはり痛い。夢じゃないのか。


 訳がわからず俯くと、髪が横に落ちてきた。けっこう伸びてきたから、切ろうか迷っていたところだったなあ。そんなことを思ったが、ふと違和感に気づく。私の髪はあちらこちらにはねまくるくせっ毛だった。そして、染めていないので黒髪だった。そうだったはずだ。しかし、目に入るのはワインレッドのサラサラストレートの髪。シャンプーのCMに出られそうだ。ひと束すくって、キレイに手からこぼれる様子を眺める。




 いやいやいや!なんで!?勝手に髪いじられましたか!?




 自分の体を見てみる。さっきは、痛みがないなー、としか思わなかったけど、髪はワインレッドのサラサラで、手足は病的に白くて細い。着ている服は、見たことのない真っ黒な無地のワンピース。そして、なんとなく目線がいつもより低い気がする。




 うん。自分じゃないな。




 いやいやいや!まったく受け入れられないんですけど!?自分じゃないってどういうこと!?




 完全にパニックになり、頭は真っ白。だが、だからこそいつもの思考が働く。


 全く理解できない、解決方法が見つからない問題にぶつかった時。難しすぎる数学、終わらない課題、絶望的なテスト前夜。いつもしてきたこと。



 とりあえず寝る。明日に回そう。それが根本的解決になっていなくても。むしろ状況を悪化させることになるとしても。



 カーテンを閉め、見知らぬベッドに戻り、目を閉じる。そして、あの大好きな小説を思い出しながら、眠りにつく。




 数分後、部屋にあるのは、静かな寝息だけだった。



とりあえず寝ちゃう主人公。

これからもマイペースに突き進みます。

理解不能な行動起こしたらすみません。

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