3話
朝が来て俺は起きた。
空は曇っており、今にも雨が降りそうだ。
「……お腹が空いたな。」
しかし、雨が降るかよりもお腹が空いていることの方が重要だった。
腕輪に触れ『アイテムボックス』を開き、中から草を取り出す。
入れた時より乾燥しているところからして中でも同じように時間が経つのだろう。
その草を口に入れ空腹を紛らわせる。
「苦いな。」
食べた感想は苦いとしか思えない。
アイテム説明にあったように食べられないことも無いが、苦いのだ。
アイテムボックス内の草を全て食べるが、さすがに10本程度では満たされることは無い。
「他に何か食べないとな。でも硬貨なんてもってないんだよなぁ……。」
ベンチから立ち上がり、食料を求めて公園の外に出る。
この世界の硬貨を持っていないため売ってくれないだろうが、行動するしかないのだ。
「……駄目だな。」
街中の店に行って頼んだが、お金を持たない者には売るわけがない。
俺はがっかりしながら食料を求めて街の外に出ようとする。
街中歩いたためにもっと空腹度が増したのだ。
「あの~……すいません。」
街の外へ出ようとした時、男の声がした。
声を聞き振り返る。
そこには背の高い青年がバスケットを持って立っていた。
「さっき、お店から追い出された人ですよね?」
青年は愛想笑いをしながら、確認をする。
「そうですけど、どうしたんですか?」
俺は困惑しながら素直に答えた。
「よかった!お腹空いているんですよね。これをどうぞ。」
青年は笑顔になり、バスケットを渡そうとしてくる。
「ありがとうございます。」
バスケットを受け取り、中を確認する。
中には形が悪かったり、焦げていたりするパンが5個程入っていた。
焦げているといっても焼きすぎているだけであり、食べることは可能だ。
そのため、店に出すことが出来ないパンなのだろうと考えた。
「本当にありがとうございます!でも、本当にいいんですか?」
俺は心からの感謝をした。
しかし、本当にタダでくれるのか確認をする。
「いいんですよ。捨てるよりもマシですから。」
青年はにっこりと笑う。
俺はその言葉やしぐさから、優しい青年だと分かった。
「硬貨を手にしたら購入したいので、店の名前を教えてください。」
俺は親切な青年のいるパン屋が知りたくなった。
「店の名前ですか?ブレックベーカリーです。」
青年は店の名前を言う。
(これからの主食はパンに決まりだな。)
店の名前を覚え、これから硬貨が入った日の主食はパンにすると決めた。
「硬貨が欲しいならいい場所がありますよ。案内しましょうか?」
考えていると青年が硬貨が稼げる場所を案内してほしいか聞いてきた。
「案内してほしいです!」
その言葉に俺は叫んだ。
「では、案内しますね。」
青年は優しくついてくるように言ってきた。
俺は頷いて青年についていく。
青年について行って数分の所で青年が止まった。
「ここです。」
青年は建物を指さした。
「商店?」
青年が指差した店を見る。
そこには大きな店があり、看板には『バズ商店』と書かれている。
「そうです。この商店は様々なアイテムを買取してまして、武器や防具、書物や素材まで全てのアイテムを適切な価格で買い取るんですよ。」
青年は商店の紹介をする。
「案内してくださりありがとうございます。」
親切な青年にお礼を言う。
青年はお礼を聞くと手を振りながら歩いて行った。
店に戻ったのだろう。
俺はパンを1つ食べ、残りのパンとバスケットを『アイテムボックス』に入れた。
そして、移動して街の門から外へと出た。
今回も話が進まなかった。