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2話

 俺はとても困っていた。

 異世界で生活するにしてもこの世界がどのような世界なのか分からないからだ。

 言語に関しては腕輪からして日本語なので大丈夫だろう。

 しかし、家も職もないのだ。夜には獣が出現すると言われてもおかしくはない。


 落ち着くために顔をあげ、前を見る。

 前を見てみると、遠くに人が見えた。


 (これは幸運だな!)

 幸運と思い、走って近づいた。


 「すいませーん!聞きたいことがあるんですけどー!」

 途中で叫びながら草原を走り、人がはっきりと見えるまで近づいた。


 声が聞こえたのか、その人が振り返る。

 「ナンダ、オマエハ。ツカレテイルヨウニミエルガ。」

 その人は少し困惑したように言葉を話した。


 その人が言うように俺は疲れており、すぐには話すことは出来ない。

 数分間息を整えて、言葉を話す前にその人の姿を見た。


 その人は、小麦色の肌のスレンダーな体型で、服装は胸と股に動物の皮を雑に縫い合わせた服を着ている大きな動物の骨を持った少女であり、この少女に俺は健康的な身体にエロさを感じた。


 「……街はどこでしょうか?」

 俺は滾る心を静めながら質問をした。

 街の場所が分かれば、そこに行って食事を行うことが出来るためである。


 「マチハアッチダ。」

 少女が街があると思われる方角を指す。


 「ありがとうございます。」

 少女にお礼を言い、その方角に行こうと歩こうとしたが、強い力で引っ張られた。

 あまりの力に驚き、後ろを振り返る。


 「ホウガクヲオシエタ、ナニカヨコセ。コロスゾ。」

 少女は拳をつくり、報酬を要求してきた。


 「あげられるものは無いです……。」

 俺は少女の威圧によって震えながら言うしかなかった。


 「……ソウカ。」

 少女は呆れたように呟いて、手を離した。


 俺は正直に言って助かったと内心ホッとしていた。

 あの力で殴られれば、骨が折れかねない。

 振り向いて感謝の言葉をもう一度言おうとした。


 ドゴッ!

 しかし、少女は俺が感謝の言葉をいう前に腹部に突きをしてきた。


 俺は衝撃で吹き飛び、腹を抱えた。

 口から血と胃液が混ざった液体を吐き。

 少女を見た。


 「シトメソコナッタ。スマナイ。」

 少女は近づき動物の骨を振り上げた。


 あまりの痛みで動くことすらできず、頭への一撃を受けた。

 脳が草原に散らばり、目玉が飛び出た。


 「スマナカッタ。」

 少女は動かない人間に謝り、街と逆方向へ歩いて行った。


 少女が離れた数秒後、俺の体は再生した。


 しかし、再生をした肉体はまだ痛んだままだった。

 腹部も頭部も殴られた痛みがそのままなのだ。


 (何故、痛みが無くならないんだ?)

 俺は肉体の痛みで思考が途切れながら痛みが無くならない理由を考える。

 しかしそれ以上のことは痛みによって遮られ、思考することは適わない。


 (……もしかして死なないだけで痛みは無くなることはないんじゃ……!)

 痛みに耐えながら10分以上考え、一つの思考が脳内を過ぎった。

 嘘だと思いたいが、現に体は痛いままでありその思考を信じるしか無い。


 「考えてる場合じゃ無いな……。」

 考えている間に青だった空はオレンジに染まっていた。

 そして痛む頭と腹部を抑えながら街の方角へ駆けていく。


 走って数十分で街に着いた。

 石畳の道、石の家や店などあまり現代日本では見かけない風景にここが異世界だと認識する。


 (まずは宿泊場所だよな。)

 街に着くと体は痛みと疲れで今にも倒れそうだ。

 そのため俺は早く体を休めるための場所を探すことにした。


 入口から真っ直ぐ進むと宿があった。

 「やっと休めるな……。」


 俺はその建物の扉を開け中へと進む。


 「すみません泊まりたいんですけど。」

 受付で女性に泊まりたいことを言う。


 「分かりました。銅硬貨を一日につき10枚頂きます。」

 女性に硬貨を渡そうとする。


 そこであることに気付いた。

 この世界の硬貨を一枚も持っていないのだ。

 当たり前であるが、この世界には来たばかりで仕事はしていない。

 そのため、硬貨など一枚たりとも貰う機会は無いのだ。


 「硬貨は無いです……。」

 俺は硬貨がないことを女性に伝えた。


 「すみませんが硬貨を持たないなら、泊めることは出来ません。」

 女性は優しく泊めることが出来ないことを伝えてきた。

 硬貨を持っていないのであれば当然である。


 「そうですか……。」

 俺は店の外に出るために扉へ歩いた。


 そして俺は外に出ると溜息をついた。

 空はもう暗く街には空飛ぶランタンが浮遊していた。

 あれが街灯の代わりなのだろう。

 異世界というだけあり魔法が普通に存在するのだろう。


 そのままふらふらと歩き、公園の様な場所に着いた。

 遊具は存在しないため公園というよりは広場に近いが、入口の看板には『パントリア公園』と書かれていたため公園なのだろう。

 公園を歩き、木のベンチを見つけ座った。


 「どうしよう……。」

 ベンチに座った俺は頭を抱えた。

 気温は温かいため外でも過ごせるが、木にそのまま寝るのは疲れが癒えにくいだろう。


 「この腕輪には草しかないからなぁ……。」

 腕輪にもう少し色々なものを入れておくべきだったと後悔した。


 「……眠い。」

 色々なことを考えていると強烈な睡魔が襲ってきた。

 その睡魔に抗えず、眠りに落ちていった。

今回も話は進まなかったです。

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