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1話

 「不死身になりたいなぁ……。」

 昼休みの教室で、一人呟いた。


 周囲に人がいるが俺の言葉に反応する者などいない。

 周囲の者は友達と雑談をして騒いでいるか本を読んでいるかの二択で、俺のことなど誰も気にしていない。寂しくは無いが、少しはクラスメイトとの交流を取るべきだったと後悔する。


 後悔をしているとすぐに耳に響く授業開始のチャイムが鳴った。

 授業はいつも通りであり、何気ないことで何人かの生徒が小さく笑う程度で教師の言葉以外聞こえることは無く、放課後になった。


 俺の名前は村幸生司。

 漫画や小説に登場する不死の生物に憧れるどこにでもいる普通の高校生だ。

 成績は平均より少し下、誇れる点など一つもない凡人である。


 (しかし、不死の存在には憧れる。不死というだけでも好きなのに、それに加えて肉体や能力まで優れている強キャラ揃い。俺にも不死の力があれば、自分のことを凡人とは思わないんだろうなぁ……。)


 そのようなことを考えていると、いつも帰宅時に使用する横断歩道に着いた。

 周囲には自分と同じ制服の生徒が信号待ちをしている。

 周囲の雑談の中で誕生日の話題が出て、今日は妹の誕生日だと思い出した。


 妹のことを考えていると信号が青に変わった。

 そして信号が青になった横断歩道を通り過ぎ、自宅近くの商店街に着いた。

 商店街は自分の子供の頃より人は少なくなったが、まだ人は歩いている。

 子供の頃空き地だった場所に、ビルが建つらしく鉄骨で骨組みを作っている。


 妹へのプレゼントを考えながら建設途中のビルの近くを通る最中意識が途絶えた。


 「……ここは?」


 気が付くと薄い金色の雲しかない空間に倒れていた。

 さっきまで歩いていたのに何が起こったんだろうか?


 起き上がり、不思議がっていると何もなかった空間に一人の女性が現れた。


 「間違って殺してしまいました。」

 現れた女性は優しく微笑みかけ、いきなり驚くべき言葉を言ってきた。


 その言葉を聞き、思考が一瞬停止した。

 すぐに思考はいつも通りの働きに戻ったが、女性が言った意味が分からない。


 「何を言っているんですか?自分が死んだとか信じられるわけがない!」

 俺はその女性に大声で叫んでいた。

 当たり前だろう、俺はここにいて、思考が出来るのだから。


 「信じることが出来ないとしても真実です。これを見てください。」

 女性が指で四角形を作り出すと、その四角形に映像が流れた。


 そこには建設途中のビルが崩壊し、勢いよく落ちてきた鉄骨に俺が潰されている映像だった。

 俺が驚いていると、映像は切り替わり俺の母や妹、父が泣いている映像になった。

 その光景に映像を見ただけでも心が苦しくなり、顔を背けた。


 「これで理解しましたか?貴方は死んだ、家族の涙でも分かるでしょう。」

 女性は恐ろしい程冷静に理解できたのか質問をしてきた。


 「……理解……した。」

 俺はそう答えるしか出来なかった。

 俺は死んだのだ、人間が鉄骨で頭から潰されて生きているはずがない。

 事実と理解すると手や足は震え、寒気がしてきた。


 「理解できたならいいですが……、さてどうします?」

 女性は不思議な質問をしてきた。


 死んでいるのなら、もうどうしようもないだろう。

 俺はそう考えて黙っていたが、ふと女性の言葉を思い出した。

 女性は間違って殺したと言っているのだ。

 

 「その顔は気付きましたか、私が間違えて殺してしまいましたと言ったことを。」

 女性は微笑みながら自分の言葉をもう一度話した。


 「ふざ「間違えたお詫びとして貴方を甦らしたいのですが、どうですか?」

 俺は抗議しようとしたが、女性の声に遮られた。

 

 その行動に少し苛立ったが、蘇らせてくれると言っているため、苛立ちを抑えた。

 「じゃあ、元の世界に生き返らせてください!」

 俺はそう叫んだ。当たり前だろう、家族が泣いているのだから。

 元の世界は退屈だったが、漫画など楽しいものがあった。ならば、この答えに後悔はない。

 そう考えながら、女性の返答を待つ。


 「元の世界ですか……、面倒なので嫌です。」

 女性は面倒だから嫌と断ってきた。


 「ふざけるな!」

 俺は叫んだ。

 家族がいる元の世界に帰らなくてはいけないのだ。


 「ふざけてはいません。元の世界ではあの時死ななければ大学に合格して大学生活を送りますが、何かしたいわけではないため無駄な時間を過ごし、そのまま適当な仕事をして一生誰とも付き合わず、一人静かに亡くなるだけの空虚な人生を終えることとなるのです。蘇らせたところでそれは変わりません。それならば、異世界に蘇った方がいいと思いますよ?」

 女性はすらすらと俺のこれからの人生を言った。


 「異世界に転生していただけるなら、好きな能力を一つ与えてもいいですけど。」

 女性は続けて能力を与えると提案してきた。


 その言葉を聞いた瞬間に俺は家族のことを忘れ不死になりたいとしか考えることが出来なかった。

 「……異世界で蘇る。」

 そして、俺は異世界で蘇ると言ってしまった。


 「それは良かったです。では欲しい能力を言ってください。」

 女性はいい笑顔で何の能力が欲しいのか俺に質問してきた。


 「不死になりたい!」

 俺は目を輝かせながら女性に不死になりたいと叫んだ。


 叫んだ瞬間、俺の体は光の粒になっていき、意識が無くなった。


 目覚めると俺は草原の真ん中で倒れていた。

 服は学生服からクリーム色の服とズボン、木で作られた靴へと変化していた。


 「本当に異世界に来たのか?」

 そう俺が呟いて、時計を見ようとすると腕時計があった左腕に腕輪があった。


 「何だこれ?」

 腕輪に右手で触れてみると、画面が出てきた。

 画面には、『不死だけでは申し訳ないのでおまけであげます。入れる際には画面に近づけて、出す際には出したい物の名前をタッチしてください。』と数秒だけ出て別の画面になった。

 その画面には『アイテムボックス』と文字があり、中身は無かった。


 不思議に思い、適当に草を抜いて画面に近づけた。

 その瞬間、草が消滅し、画面に草とその解説が出てきた。


 『アイテム名:苦い草

  収納個数:1

  解説:火山や氷の大地にも生える草。

     毒は無いが、苦いため好んで食べる者はいない。

  使用効果:食べると空腹が少し和らぐ。』


 一応食べられるならと、その草をいくつか抜いてアイテムボックスに入れた。

 

 「これから異世界生活を頑張るか!」

 妙にすっきりとした気分で俺はこれからの生活を楽しみにしていた。

文章力がないため、文字数が少なくなってしまい申し訳なく思っています。

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