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神法使いの薬大師 異界を往く  作者: 抹茶くず餅
異邦人~捨てる神在れば拾う神在りき~
7/49

7話

助けて・・・。


 コールタールをぶちまけたような暗い平原に私は何度も転びそうになりながら走る。

 足にまとわりつく、粘った土。

 思うように進まないのに、背後から迫りくる象のようにでかい、赤黒い熊。

 その鋭い牙が私を噛み砕こうと、何度も襲い掛かる。


助けて!


 私は泣きながら、それでも必死に逃げる。

 ああ。もうすぐ追いつかれる。

 背中に巨大なその爪が襲い、血飛沫が舞う。


たすけて・・。





「・・い、起きな!」


 肩を揺さぶられて、はっと目が覚めた。

 目の前にはナル婆さんの姿が。


「・・は。はぁ、はぁ・・」

「泣きながらうなされて。大丈夫かい?ほら、もう飯の時間だ、起きな」

「はい」


 酷い夢を見た。

 おかげで汗びっしょりだ。


「ほら。さっき仕留めたヤル肉だよ。これでも食って精出しな」

「う・・・ん」


 ズタ袋に泥でも詰めたかのような重い体を起こし、はっきりしない頭を軽く振る。その都度、長く伸び始めた髪が頬をかすめていく。

 ああ~、まだなんかすっきりしない。頭も体も重い。

 でもとりあえずご飯だから、ね。


「よっこい正一!」


 掛け声とともに立ち上がると


「・・何だいそりゃ?」

「あ。いえ、何でもないですよぉ~ちょっと口癖みたいなもので」


 笑って誤魔化す。

 いやぁ、久々に口についてしまった。これ、息子に止めろとよく注意されてたんですけどね。


「おお・・・何ですかこれ?」


 食卓テーブルの上には見慣れないおかずが1品。しかも、見るからにお肉だ。


「だからさっきも言ったようにヤル肉・・」


 ヤル肉?なんでもいいか。


「おおおお!お肉!」

「私は要らないけどね。臭くて肉なんて食えたもんじゃない」

「お肉だぁーー!」

「さっさと食いな!」


 言われるまでもなく席に着くと、思わず両手を擦り合わせてしまう。


「いただきます!」


 きちんとお辞儀もしておく。

 その間、ナル婆さんもテーブルに両手を置いて目を瞑り、何かぶつぶつと言っている。前に聞いたときは精霊に感謝を捧げる祈りだとかなんとか。とりあえず長いのだ。

 そして目を開け、スプーンを手に取る。


「いつ聞いてもあんたのその祈り、実にいい加減だねぇ~。感謝を捧げるのに端折り過ぎなんだよ」

「モグモグ(そうは言っても、きちんと食材の命に対する感謝なんですけど)モグモグ」

「口の中にいっぱい物入れながら話すんじゃないよ!」

「もぐもぐ(分かっているんですけど、お肉が私を呼んでいる)モグモグ」

「お前ねぇ!いつも言ってるだろう!言葉は言魂だって!精霊が宿る音なんだよ、それをそんないい加減な・・」


 ゴックン。

 味はまぁ、旨くもないけど不味いというほどでもない。只少々肉が固くて、少しばかり獣臭がするくらいだ。こんなもの、気にしなければ気にならない。


「分かってますって!」

「・・・・お前のその顔見てると不安になるよ、私しゃぁ」

「え?そんな顔してますかね~?かなりのイケメンだと思うんですけど」


 自分で言い切れる根拠は、キャラを作った時の努力の成果の現れ。どれだけいじくり倒したと思っているんだ。何せ、半日も掛けたんですからね!

 それをあほ面だのバカ面だの・・。イケメンだっていうの!

 何だったらナイスでナウなハンサムでもいいぞ。


「イケメンが何だか知らないが、間抜けな顔だよ、お前は」

「ええええ?!」


 酷い言われようだ。こんな美形に間抜け顔とか!

 とりあえず、物凄くお腹が減っているのです。文句は返したいが今は食べることに専念したい。

 おお~木の実クッキー。今日は格別においしい!

 

「3枚まとめて口に突っ込むんじゃないよ。みっともない」

「モグモグ(今日はとてもおいしいです)モグモグ」

「いいから、もうしゃべんな!」

「モグモグ(はい)」

「まぁ、仕方がないか。かなり血を失っているからねぇ。そんだけ食えりゃぁすぐ体力も戻るさ」

「モグモグ(・・・)モグモグ」


 じっと食べている私の顔を見ているナル婆さんに、どう返事をすればいいのか悩んだ末、だんまりを決め込んだ。まぁ食べながら話すなと言われているし。


「食後、ちょっと調べたいことがあるからね。あんたのこと」

「モグモグ(?)モグモグ」


 首だけ少し傾げておく。

 しかしその間、手も口も休まない。


「はぁ・・。確かに黙っていれば色男なんだろうけどねぇ~・・。どうしてこうもあほっぽいんだか」

「モグモグ(誰が阿呆だと!)モグモグ」


 つい、フォークを握りしめた拳でテーブルを叩き『異議あり!』と婆さんを睨む。


「いいから、食っちまいな!」

「モグモグ」


 視線を婆さんに据えたまま、お代わりを強請るように皿を差し出す。


「モグモグ(肉お代わり!特盛でよろしく!)モグモグ」

「・・・・はいよ・・」


 年を取ってから、肉食からはだいぶ遠ざかっていた。何しろ胃にもたれるし、消化不良を起こして翌日まで胃が重たくなる。

 だが、若かりし頃はお肉大好きの肉食系だったのだ。

 そして私こそ、何を隠そう「元祖お一人様焼肉」の大家なのである!

 ・・・結構、というか、かなり恥ずかしかったけどね。ホルモン焼き屋に入った時のあの注目度が・・・。

 だが、しっかーし!

 今は違う!

 この若い身体はお肉を所望する。

 そして私の血となり肉となれ!


「・・・・まだ食うんかぃ?!」

「モグモグ(お代わり!特盛プリーズ)モグモグ」


 差し出す皿を受け取りながら「呆れたね・・」と首を振りつつ、肉を山盛りによそってくれた。


 




 ゲフン・・。

 さすがにちょっと食いすぎたかなぁ。

 ぱんぱんに膨らんでいるお腹を摩りながら、ちょっと背筋を伸ばす。

 く、苦しい・・。


「よくまぁあれだけ食べれるもんだね。それも肉ばっか。さすがにモモ肉全部とか、呆れるより感心するよ」

「はぁ~」


 きついきつい。でもこれで幸せ満喫。


「さてと」


 ナル婆さんが懐から取り出したのは、どう見てもそっくり返った不出来な三徳包丁のミニ版?

 でもすごくおかしい。第一、色が蛍光グリーンを薄くしたような色合いで、しかも半透明。その上なんだかぼんやり光って見える。

 更にあまりにも肉厚だ。

 肉厚すぎてなんだか全体的に丸っこい感じで、切るための刃がないのだ。これじゃぁ何も切れないし刺すことも出来ない。

 そして手で持つところに白っぽい縄のようなものが巻いてある。

 淡く光る神秘的な平べったくて丸っこいナイフ。

 と言いたいところだが、ずいぶんと不格好な代物だ。だって刃の部分よりどう見ても柄のほうが長いのだ。


「なんですか、これ?」


 テーブルの上に置かれたそれを見て、ナル婆さんに尋ねる。


「精霊魂石で作られたナイフだよ」

「ナイフ・・ですかぁ・・」


 いや、絶対にナイフには見えないと思うけど。


「ああ。これは私の母なのさ」

「はぃ?」


 意味が分からない私は対面に座った婆さんを見て、更にナイフを見る。

 このナイフが母親だと?!

 では何か?

 エルフというのはこれから生まれちゃったりできるんだ???


「お前ね、今なんかおかしなこと考えてるだろぉ」

「いやいやいや、ナイフからエルフが生まれるのかって思ってただけで」

「本当にバカな子だねぇ。そんなわけあるかぃ!」

「ひぃ・・」


 そんな剣幕で怒鳴らなくたっていいじゃないですか。


「エルフはね。死んだ者のその体が樹となり、その魂が石となり、それがエルフの里を守る礎となる。昔からずっとそう云われているわけさ。そしてこれは母だった精霊樹の根にあった、母の魂石なんだよ」

「へぇ・・」


 何とも不思議な話だ。


「では、それを手に取って」

「私が、ですか?」

「そうだよ。しっかり握るんだ」

「はい」


 恐る恐るナイフを手にする。

 あんな話を聞いた後では、なんだか遺骨か何かのような気がして、恐れ多いというか畏怖を感じてしまう。


「さて・・どれどれ」

「?」


 背後に回ってナル婆さんが肩越しからナイフを覗いてる。

 何かあるのか、と私もナイフを見ていると。

 淡く光っていたナイフが次第に暗くなり、それと応呼するように何だか白く光る靄のようなものが、ぐにゃぐにゃといろんな形を作り出す。

 な、ナニコレ?

 神秘的というより気持ち悪いんだけど・・。


「なんですかぁこれ?」

「黙ってみてな!」


 焦る私の頭を小突く。

 白い光が少しずつ形を変え、規則的に並びだす。


「え?」


 それはやがて文字を浮き出させた。


セイラン  20歳

種族  ●●●●

職   下僕


Lv●


生命力  300

神力   900


体力   200

理力   800

気力   200



スキル:

称号:●●●●● 精霊●守人



「ほわぁ??」

「ここに現れるのは、お前の『能力の現時点での状態』っていうやつさ。早い話が『能力状態』の掲示だな」


 こ、これはステータスというものではないか!?ゲームの時に散々お世話になった。

 やはり、ここはゲームの世界なのか?!

 でも待てよ。おかしい。というかあまりにおかしすぎる。

 第一、項目もなんだか変だ。

 それに私が20歳と、誰がそんなこと決めたんだ?だってキャラ作るときに年齢なんてどこにも記載されていなかったし、そういう選択だってなかったわけで。

 しかも種族が不明になってますよ。

 だって白い文字らしきものがぐにゃぐにゃしてるだけって、気持ち悪いっていうのか。


「もう少ししっかり握って、神気を通すんだよ」

「し、神気?」

「なんでもいいからやってみな!」

「はいぃ!」


 うーーんうーん、何か出ろ。


「お。種族名が・・・」



セイラン  20歳

種族  天仙

職   下僕


Lv1


生命力  300(+10)

神力   900(+10)


体力    200(+10)

理力    800(+10)

気力    200(+10)

跳力    100(+10)

反射    100(+10)

運気     80(+10)



スキル:

称号:ANNWFN 精霊之守人



「天仙・・?」

「聞いたこともないねぇ~・・・」


 二人で見ながら、更に悩む。

 人族でもないのか。まぁ、ゲームキャラだし・・。

 っていうか。

 え?え?えええええ?


「レベル1?!」

「・・生まれたばかりの赤ん坊だねぇ・・」

「はぃ?え?ちょっと、なんで?」


 いやいやいやいやいや!それはないわぁ!

 だって晴嵐なんだよ? 

 いくら無課金だとは言え、一応Lv300MAXで転生して、更にその後カウンターストップのLv500MAXだったんだよ?!無理やり合計したらLv800なんだぞ!

 それが何?

 Lv1?

 なんでLv1なの?

 いくらなんでもおかしすぎるじゃないか!しかも今、妙なこと聞いたよね?

 赤ん坊???


「ちょ。赤ん坊って・・?」

「そんなことまで忘れたんかい?!ったく、いいかぃ。人族だったら生まれてから成人する15歳まで、毎年1ずつ上がっていくもんさ」

「っていうと・・?」


 頭が真っ白で言われている内容が理解できない。


「成人っていうのは後からできた目安みたいなもんなんだけど、要するにある一定の年齢までは、レベルは毎年自動的に上がっていくんだ。それが常識だったんだけど。参ったね。あんたは生まれて1歳の赤ん坊と同じだって事さ」

「は・・はぁぁぁぁあぁ?????」


 ないわぁ。何それ。ちょっと待ってよ、酷すぎない?

 しかも職が下僕・・。おーーーい・・・。


「それにしても、レベルの割に恐ろしく数値が高いねぇ・・」


 そんなこと言われても私の気分は全然浮上しない。お先真っ暗で泣きたい。


「いいかい、よく聞きな。人族の平均値で教えるからね。人の15歳。要するにLv15で生命力は50もないんだよ。まぁ、そこは個人差が出るっていやぁ出るんだけど。

 その点、あんたはLv1なのに300もある。これはものすごく高い。言ってる意味が分かるかい?

 しかし、なるほど。だからマグナベアに襲われて、あの程度の怪我で済んだわけかぃ・・」


 そんなのはもうどうでもいいよ・・あの、7年近い私の努力はどこへ消えたんだ。ずっしりと重たいよ、地面にめり込みそうですよ。


「それにしても・・神力が900って。私のほうが落ち込むよ、何だいこの数値は。ほとんど私と同じぐらいあるじゃないか」

「・・・そうなんです?」


 そこ、普通魔力とか言わないか?

 なんで神力・・・。

 半べそでナル婆さんを仰ぎ見る。その婆さんも頬を引きつらせて、ギラギラした目でナイフを覗き込んでいる。


「しかも理力が800もある」

「理力??」

「神気の保有値のことだよ。こっちの、『神力』ってのはその神気を変換して神法に変え、それを行使する力。『理力』ってのは神気保有を差し、それが高いほど神力を高め、神法そのものの効力も高められるってことだな。だから、なんだぁ。神力は消費していくものだが、神気保有は減らない。減ったら困る」

「へぇ・・」


 なんだか説明がややこしい。

 ん?あれか?

 ゲームでいうところの、神力はMPで理力が魔法知識、みたいなものかな?

 MPが多ければ何発も大技出せるし使っていけば当然減る。でも時間経過で戻る。

 そして魔法知識が高いほど、MPを増やし更にMP消費を抑えられて、その上リキャストタイムを縮めたり、最大ダメージを増やしていけるみたいな。そんな感じ?

 ああ、それならなんとなく判る。ゲームと同じですね!

・・・・やっぱりゲームの世界にいる?

 う~ん。それにしては私の全く知らない世界観なんですけど。


「こっちの、気力はあらゆる状態異常に対する抵抗値。跳力は飛んだり跳ねたり移動に対する運動能力値。反射は反応速度を示す。はぁ・・もう何だっていうんだ、この数字は。頭はバカでも、とんでもない能力持ってんだねぇ。実にもったいない」

「・・バカ、じゃないって」

「常識一つ知らない奴はバカっていうんだよ。それにしても、スキルは何一つないのかぃ。普通、最低でも1つぐらいはあるもんだが・・本当におかしな具合だよ」


 ああ・・もういい。聞きたくない。


「それに、称号の最初の部分は見たこともない文字だね。なんだろう?」

「ナル婆さんも知らないんですか?」

「見たことも聞いたこともないねぇ~・・なんて書いてあるんだか」


 それ。多分英語だと思われるが、残念ながら私にもわからない。

 何しろ終戦直後に生まれたんでね。英語がそこまで重要視されてはいなかったんですよ。JAPANぐらいなら分かるんだけど・・。

 アウ・・?アン・・?読めないし。その上何の意味だか知らないし、もうどうでもいいです。

 あああ。

 なんか悲しくって・・。

 ゴメンね晴嵐。

 君の素晴らしい能力、全部白紙撤回になっちゃったよ。

 きっと私が中に入り込んだせいだ。

 そうだ、そうに違いない。

 

「まぁ、これだけ神気も神力もあるのだから、神法だってすぐに使えるようになるさぁね!」


 頭をぐりぐりされたがなかなか沈んだ気持ちは戻らない。

 でも。そうだね。

 まだ神法がある。きっと、また魔法が使えるようになる?う~ん。魔法じゃなくて神法って、こっちでは言うのかな。いやどっちみち、それらしいことができるようになれるのなら何でもいいか。

 だってセイランには神気と神力がいっぱいあるのだ!


「神法・・。使えるようになりますか?」

「私が導いてやるさ!」


 任せな!と胸を張るナル婆さんにナイフを返却し、少しだけ心が軽くなった。


「よし、じゃあまず、神気を練ることから始めようかね」

「はい、師匠!」

「いい返事だ。これから教えることは寝ながらでも出来るから、寝る前にも行うといいだろう!」

「はい、師匠!」


 夜の帳が辺りを闇に落とし、薄汚れた粗悪な窓ガラスに暗い森が映し出されている。

 狭い部屋のランプの明かり。

 人生初の生の魔法指導を受け、私は更なる高みを目指して、挑む!

 

「いいかい、こうやって両手を下腹部にあてがう。そう、こうやって、だ」

「はい」

「臍下、もう少し下。その辺、そうそう」


 ベッドの上で座禅スタイルを決める。そして教えられた通り、臍下5センチほどのところに手を置く。


「そこはニー・ダと言われるところで、神気が一番集めやすく、また高めるのにも役に立つところだ」

「・・・へぇ・・」


 なんか。この辺って「丹田」に似てない?

 気のせいかなあ。


「さぁ、気持ちを落ち着かせて、神気がそこに集中するように、呼吸をゆっくり。そうそう。なかなかうまいもんじゃないか」

「・・・・」

「だんだん集まって来ただろう?」

「・・・」

「少しずつ熱を感じてきたんじゃないかぃ?」

「・・・・」


 う・・うーん。

 何も感じない。

 なんで?

 どうしよう、何も感じないしぃ。


「そしたら体中にそれをグルグルと巡らすんだよ」

「・・・・・・・」


 やばい。何にも感じないですよぉ。

 なんか出ろ。何か変化して!

 あああ。ど、どうしよう・・。


「セイラン。・・・できてるのかぃ?」

「・・・・・・・・・・・・・・え、・・・えっと・・」

「おかしいねぇ」


 そう言って、ナル婆さんは私の両肩を掴む。


「真剣にやってるのかぃ?!全然動いてないじゃないか、神気。でも門は開いてるねぇ。だったらできるはずなんだよ、怠けてるんじゃ?」

「や・・やってはいるんです」

「いいかい見本を見せてやるから、よく見てな」

「はい」


 すると目の前に立つナル婆さんは下腹部に手を置いたと思ったら、すぐに身体全体が淡く輝きだす。


「おおお・・・すごい」

「こうやるんだよ。さぁやってみな!」

「はい!」


 再度チャレンジ。

 よぉーし。下腹部に神気を集めて、ぐるぐる回して、ぱぁっと私も光り輝くのだ!


「・・・・・・」

「・・・・・・」

「真面目にやってるのかぃ?」

「至って真面目です」

「・・・・本当かよ」

「ほ、本当です」


 なんで?

 なんでうんともすんとも言わないの?

 私、神気は多いんですよね?

 神力はばっちりのはずでしたよね?

 なんで出るのは脂汗だけなんだよ。


「な、なんで?」


 もう泣きそうだ。何故何も起こらない。


「お前なぁ。もっと真剣にやらんかぃ!このボケがぁぁ!」


 頭を叩かれる。

 やってるってぇ。本当にやっているんですよ!


「だって、何の反応もないんですよ!本当なんですよ!どうしたらいいのか、私にだって分かりませんよぉ!」

「だから下腹部に・・・?!」


 その瞬間ナル婆さんはハタっと自分の手を口元にあて、え?え?え?と挙動不審な動きをし始めた。それを見た瞬間、私の脳裏にも掠めていく。

 ま、まさか・・!?


「あああ。まさか、まさかと思いますが!ふ、不具合って・・」

「・・・・」

「っ下半身の一部の不具合・・!」


 おいナルばばあ、ちょっと待てや!

 自室に勝手に戻ろうとするな!

 思わず腕をひしっと捉えるが、こっちを見ずに「ほら、もう夜遅いしぃー」などとほざいている。


「ナル婆さん!」

「あ、明日だ、続きは明日!」


 捕えていた腕を強引に引き離して、扉の向こうに消えていった。


「逃げんなぁぁーー!くそババア!」


 私。魔法使えるの?



駄文を読んで頂き、誠に感謝に堪えません。


ミス打ちや誤字脱字がありましたら報告してくださると助かります。


日本語が変なところは、もし何かあっても、勘で・・・。(オイコラ、マテ)

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