10話
皆さん。いつも感謝です。
今、テーブルの上にはへろっとしたいかにも頼りなげなバッグが置いてある。
その素材は織フエルトっぽい軟弱なもので、色はキャメル。
「へぇ・・これがかの有名な古代神器『異空間収納袋』っていうのかい?」
ナル婆さんはもう一度手に取って、中を広げて覗き込み、更に手を入れて中をまさぐっている。
「はぁ。まぁそんな感じですかね」
「確かに似たような空間神法っていうのがあるが。上位のさらに上の高位神法だし・・。しかもここまで便利なものじゃないって話だったしねぇ」
「そうなんですか?」
一応似たものがあるのかぁ。そこもびっくりなのだが。
しかし、青い耳のない狸もどきのお腹にくっついてる四次元ポッケをイメージして話したのに、何故か名前が勝手に改ざんされているが、そう間違ってもいないのでスルーしている。
但し、古代神器って・・。
「普通に見えるんだが。これが国宝級なのか」
いやぁ。何、その国宝級とか・・。
「私個人限定ですから」
「なるほどね。へぇ・・これがねぇ。それで口の中のそれは?」
「飴玉です。一応効果付きですが」
ころころと口の中で転がすと、甘い匂いが鼻に抜けていく。
「へぇ~・・・」
ナル婆さんには確かに何の変哲もないバッグに見えるらしいが、私にとっては、ゲームでキャラを作った際必ずついてくる『イベントリ』だ。
当然キャラデリすれば消える存在なので、個人指定されたものと言い切ってもおかしなことじゃないと思う。
「で、そん中に・・・それ・・ブフっしかもそれ・・も、ブフフフ・・神器とは」
目の前で座っている私を見て、また吹き出す。
先ほどまで大笑いをしていたのだが今では少し冷静になっているらしく、何と堪えようと口元を覆っている。でもその目は完全にバカにするように笑っていますよね?
それにしてもニャンコアバターまで神器らしい。
「ほ、他に何か入っていないのかぃ?」
「まぁ。あると言えばあるような。ないと言えばないような?」
「なんだぃその、煮え切らない返答は」
「はぁ・・」
確かに素材はかなり入っているし、装備品だってアバターだって入ってる。特に素材はかなりの量。
だが。問題はその素材も出せない事だろう。
そう。私のやっていたゲームは、レベル対応でモンスター狩場がはっきり分かれているだけでなく、ドロップする素材にもレベルがあるのだ。そしてキャラレベルと狩場レベルの差が大きいほどドロップ率は低下し、限りなく0%に近付く。まぁそういうシステムだった為、晴嵐のバッグの中の素材は全て480~500なのだ。まぁ。HPMPポーションの中でもLv30が1種類だけあるけどな。
故に全て灰色表示で、中身は取り出せない。
何ってたって、現在Lv1ですから・・・。
ナル婆さんからイベントリの袋を渡され、左手を突っ込む。
そして右手で空中を、掻く。
飴玉なら出せれるので、とりあえずそれを出してみる。
「それにしても不思議な動作だね~・・・。何も知らなかったらふざけてるとしか思えないよ」
「ですよね。はい、これが飴玉です」
「どれどれ・・」
ナル婆さんは口の中に入れてすぐ眉間に深い皺を寄せ、物凄く嫌な顔をして吐き出した。
「げーー。何だいなんだい」
「え?甘くてシュワっとして美味しいじゃないですかぁ」
もったいない、実にもったいない。それ、課金アイテムですよ?!私じゃ絶対手に入れられない物なんですよ。
よし、水洗いしてしまっておこう。もったいないお化けが出るんだからね。
思わずテーブル上に吐き出された飴を持って、水で洗いなおす。
「そこまでするほど大事なものなのかぃ?
大体こんなものよく食えるね。舌に突き刺す感じが気持ち悪いわ、しかも甘すぎで吐き気すらするよ。こんなのが美味しいとか、お前の味覚っておかしいんじゃないのかぃ?」
「え~?・・・美味しいのに・・・」
「そんな変なものじゃなく、もっと他にあるだろに!」
文句を言われて、炊事場から移動し、席に着く。勿論飴玉はバッグに収納済みだ。『吐き出された経験値2倍120分飴玉:残119分32秒』って。おい、何この表示。ひどいわ~。
しかし我儘な婆さんだ。
「う~ん」
今、出せるものねぇ・・。
ああ。飴以外となるとやっぱりいくら探しても、なんか色付きって、花火と後白虎ぐらいしか。
「なんでもいいから出してみな」
要するに信じていないわけで。証拠を見せろと言っているのと同じ。
飴玉ではだめだったのか・・。
そうなると当然花火もだめだよね?絶対バカにされそうだし。
「出してもいいですが、後から絶対『後悔』しないでくださいね!」
「はよせい」
はぁ。気が重い。
定例文5種を延々言うだけの、非常に煩いブタニャンコですよ?
知りませんよ?
「分かりました」
徐に枠をクリックした。
ビタン
「わぁぁぁーーーん!あるじぃぃぃ!寂しかったよぉ!俺、俺---・・」
「ひゃ?!」
「おわぁ?!」
出てきたとたん、白い子ブタのように丸々太った顔デカ猫もどきが、いきなり私の顔に飛び掛かってひしっとしがみ付いて来た。
一体何事?!
体温高い?!獣臭い!爪を立てるなぁぁ!激しく振る尻尾が胸元を叩いて痛いって!
「ト、トラ離せ。離せって!」
思わず首根っこを押さえて無理やり引き離す。なんかバリバリ音がしたが。
見るとどんぐり眼が涙目、更に牙を覗かせた口を開閉させ、泣き喚いている。
「主ぃ~酷いじゃないか、ずっと俺を閉じ込めたまま遊んでてさぁぁぁぁ」
「え?」
「俺だって戦で活躍したかったのにぃーーー!なんで出してくれなかったんだよぉ。主の意地悪ぅ」
「あ・・ああ。ゴメン?」
「ああああん、主のバカぁぁぁ」
でも勢力戦じゃぁ戦闘ペットってほどんど意味ないし。課金だったら多少ありかもしれないけど、無課金ペットはいるだけ邪魔だからねぇ。
てか。おい。何でそんなに自由なの?!
「そ、それは何だい?!」
ナル婆さんの問いかけで存在に気付いたのか、シュタっとテーブルに飛び降りると白虎のトラが偉そうに胸を張って自己紹介を始めた。
「聞いて驚け婆さん!俺様はなぁ、神獣の『白虎』様だ!エヘン!」
「し、神獣?!」
ナル婆さん。そんなリアクションしてそのバカに付き合わなくてもいいって。図に乗るだけだって。
それにそいつ、全員に配布される只のミニペットですからぁ。『戦闘』なんていう御大層な枕詞ついてますけど、カスなんで。
「精霊の上位種ではないかぁぁ!というか、天界の守護獣!!」
「え?」
「えへへ!俺様は偉いのだ!フギャ・・」
鼻息荒く踏ん反り返るブタネコの頭に拳骨を落とす。
それにしておかしい。
なんで定例文じゃないセリフを吐いてるんだ?しかもログに流れるだけで声なんてないはずなのに、なんで今「子供みたいな声」で話をしているんだ?
「セイラン。お前、何故神獣さまを?」
「いや。只のペ・・」
「俺様はぁ!主にぃ仕えているんだぞ!」
「こりゃ驚いた。お前召喚獣まで出せるのかぃ。まぁ、召喚できる魔法使いもいるっちゃぁいるが。神獣を隷属させてるのは初めて見たよ!」
「召喚獣?」
こいつはただの戦闘ペットですよ。召喚獣とは違う。だって召喚獣を使えるのはサマナーだけだし、しかも魔獣を使役するテイマー同様、PT狩りでは酷く嫌われたりしていたソロ専用職。
「俺様は主の忠実なる僕だぃ!ね、主!」
こっちに振り返り、ニマって笑う。
・・うわぁ・・笑えるんだ?!何こいつーー。
思わず頭を抱える。
何こいつ、何なの?
定例文だけでもうざかったのに、解き放たれて自由に話しまくって動いてるんですけど。
どうなっちゃってるんだぁぁ?!
AIが暴走してますよー運営!
「ほほぉ。セイラン。いったいお前は、何者だぃ?!」
「いやぁ、只の行き倒れ?アハハハ」
「いや。只の、なわけないだろが!しかもここは行き倒れる場所でもないんだからね!更に精霊古語の名持。さぁ吐け!何を隠している。その奇妙は神器装備と言い、いったい何者なんだ!」
「・・・」
「大体おかしいとは思ってたんだよ!だってそうだろう、人ならば魔気だし、使うのは魔法だ。だがお前さんは神気持ちだし、使えるとしたら神法だ。そりゃぁ人族じゃないって事だろうがぁ」
うわ。こうなってしまうのか。てか。人間じゃないとばれてしまった!
・・・・ゲームキャラだし・・。
認識甘かったです。どうしよう。
しかも話せって言われても、何から話せばいいのやら。
全部話したいところだけどすごくややこしいし、ゲームとか言っても判らないだろうし。というかゲーム世界を話した方がいいような。
・・・・そ、それだ。
「え~っと・・・。その、あれです。ここじゃないところの世界?というか。なんというか?
そこで2大勢力が争ってまして、ですねぇ~・・」
もう、しっちゃかめっちゃかだ。
脂汗がだらだら。
「そそ。なのに主は俺様を呼んでくれなかっただぁ!酷いよ主!」
「ちょっと黙ってて!色々考えてるところなんだから!ゲホゲホ・・」
飴が喉に・・。
「俺がついていないから主は死んじゃったんだぞ!俺がいたらあんな青い悪魔野郎なんて、ビシバシ・・」
「何?!悪魔だと?魔神か?!」
「だからぁぁ。今説明考えてるのに横から口出すなよぉー!マジで頼むから!てか、なんでトラがそれ知ってるの、え?」
「見てたに決まってるじゃん!主のカバンの中から」
「何それ?怖い!」
「二人とも黙らんかい!!!」
ドンとテーブル叩いて、行き成りナル婆さんが切れた。
「・・はい」
「はい?!」
じっとりと私とトラをねめつける、その目が恐ろしい。
「そうかいそうかい。何となく判ったよ」
「・・え?」
もう、分かってたんですか、あんないい加減な説明で?というか、説明にすらなっていないですよ。完全にどう見ても破綻してますけど、本当に大丈夫なんでしょうか。
「要するに、セイラン。お前さんは天上人なんだね。それも神人」
「は、はぃ~?」
全く、全然、聞いたことないんですけど。何それ?シンジン? ・・・新人類って事かな?
「古代遺跡のから出た文献で天上に住む神々のことが書いてあるのを思い出したよ。
道理で精霊古語の名を頂き、古の遺跡からしか出土しない古代神器の異空間収納袋を持ち、天界に住まう神獣を隷属する。まさに天上神人の在り様ではないか。ふむふむ・・」
「・・・・はぃ?」
げふんげふん。息を吸い込み過ぎて飴玉がまた・・。これは邪魔だなぁ本当に邪魔だな。
「主は凄いのだ!死んじゃったけど」
「ああ。トラ煩い!」
「凄いのに、死んじゃったのだ・・何度も」
「こいつは本当に死んだのかぃ?」
「そそ。あの戦いは熾烈だったぁ!でも、主は凄く頑張ったんだよ婆さん!」
「ナル婆さんも、トラの話聞かないでいいから!すごくややこしくなるから!」
「なるほど。それでここに飛ばされてきたわけかい。こりゃ霊峰に住まう戦神アーデ・ヘテ様の加護かねぇ~。いや・・きっとウ・ナ様かもしれんが・・」
「いやいや、ちょっと待って。何なのそれ?」
話が勝手にどんどん進んでるよ?
どうしてこうなった?
「通りでお前が現世の常識に疎いのか、漸く合点がいったよ」
「は、はい?」
理解不能だ。いったい何が起こっている?!どんな思考回路してるんだ、婆さん!
「トラとか言ったねぇ、神獣の」
「うん!」
「私しゃレ・ナルっていう者さ。今はこいつ、お前さんの主を面倒見てやってる。分かるかぃ?」
「おお!主の下僕だな!」
「バカ!逆だ逆!」
「何?主より偉いのか?!」
「そうさね。分かったかい。ここじゃぁ私が一番偉いんだ。いくら神獣様とはいえ云う事は聞いてもらうからね」
「お、おう・・」
白虎のトラが私の方を哀れみを籠めた瞳で見つめてくる。
だぁぁ!なんでミニペットにまでそんな目で見られなくちゃいけないの?!
というか。もう、完全に生物じゃないか、こいつ。
「お前をバカだと言って悪かったねぇ。天上神人ならそりゃ知らなくても当たり前だ。何でももっと早く言わなかったんだぃ?」
「え・・と、最近・・少しずつ、思い出してきた・・ところで」
「分かったよ。どんどん教えてやるから、私を師匠と呼びな!」
「はい」
結局、いい加減な話から更によく判らない方向に話が進んで、よく分からないままよく判らない人種?に認定されてしまったようだ。
果たして、これはいいのか悪いのか。
「さて。そのなんだ。見た目はあれだか、・・その神器・・ぶ・・ブフっ。それは着てた方がいいよ」
「・・・はい・・」
「わ、私しゃ仕事に行ってくるから、いつもの奴をやっときな」
「はい・・」
水汲み、薪拾い、薪割、棒振りダンスに詠唱神法のフルコースかぁ。
仕方ない。とっとと終わらせるかぁ。
小屋の裏側に回って桶を手にする。今は鷹法の手に黒杖もどきを持っているので桶も1個だけで、2往復する。
その後を煩いものがくっついてくる。
「主ぃ!水汲みってどこ行くのぉ?」
はぁ。飴玉が結構長いぞ。もしかして120分ずっと舐め続けなくてはいけないのか?
「主~どこ行くのぉ~?俺も行く!」
定例文5種類しか話さなかったあの頃が懐かしい。
ああ、それにしてもこいつウザさが100倍増しになった気がする。
「こっちの小道」
「ねね、主ぃ。主のこのしっぽ、すごくいいね!」
だからそれにじゃれついて来るな。歩きにくいって。足にまとわりつくな、ウザいって。
「俺主の役に立つからね!もう絶対カバンにしまわないでくれよ!」
「はいはい」
「俺が主を守ってやるからな」
「はいはい・・」
「ところで主ぃ・・俺、腹減ったぁぁ」
「・・・・」
飴玉のおかげか、そう空腹を感じないが。
ああああ。こいつ煩い。
後悔したのは私の方だった・・。
さて。水汲みも薪拾いも終え、今度は薪割か。
裏手の置き場に拾い集めてきた薪を積み上げると、斧を手にして丸太を割っていく作業に入る。腰を少し落とし斧を振り上げ、そのまま振り落とす。
意外にもつなぁ、この飴。歯を食いしばると絶対粉々になるな。
カッコーン
小気味いい音が山の中を木霊した。
でも、飴玉のおかげで力の抜き具合がちょうどいいかも。
「もういっちょ。せーのぉ」
カッコーン
割った木片が白虎の足元まで飛んでいき、飛び跳ねながら避けた。
「わわ。主ぃここまで飛んできたぁぁ」
近くにいるのが悪い。
思わず飴をころころ転がしながら、横目でトラを睨む。
「少し離れていれば?」
「はぁい。この辺で大丈夫?」
「多分?」
知るかよ!
ああ、本当にうっとおしい子だね。
そこにどうやら午前の仕事を終えらせてきたナル婆さんがやってきた。
「頑張ってるねぇ」
腕を組んで、ちゃんとやっているか確かめては軽く頷いている。
「お。婆ちゃん。もう戻ってきたんだぁ」
「そろそろお昼にしようかと思ってね」
ナル婆さんとトラが仲良く並んでこっちを見ている。
暇そうでいいよね。こっちは力仕事で頑張ってるのにさぁ。
「せ~の」
斧を振り上げ、腰を溜めて振り下ろす。そこにあまり力は要らない。
カッコーン
少し汗がにじんでくる。割った薪を拾い、指定場所に積み上げては次の木材を台に乗せる。
「せやっ」
カッコーン
「そういや。トラとか言ったねぇ~」
「うん。婆さん」
「お前は見てたんだろう?あいつが死ぬところを」
「うん・・見てた」
カバンの中から見てたってふざけた事を言ってたなぁ。何それ?
ああ、イライラするんですけど。
八つ当たり的に薪をさらに割る。
カッコーン
「でもさっき言ってたじゃないか、何度も死んだって」
「ああ。そうだよ婆さん。主の世界では復活するからね~何度でも死ねて何度でも生き返るんだよぉ」
「何度でも?死んでも生き返るって?」
「そだぞ。でも主だけは死んだまま・・」
「何故さ?」
「それはね・・」
「ちょっと待ったあぁぁぁ!」
思わず私は手を止め、慌てて白虎のところに駆け寄った。
「トラ!お前何を知ってる?!」
いきなり怒鳴るように声を荒げたため、トラはびくっと後退る。
「あ、主が死んだときに。ちょうど切れたんだよ~」
「切れた?何が?あ。ま、まさか切断?サーバーダウンか?!」
「うん。で、主だけぐにゃ~って」
「なに?!」
有り得る。
運営が気を利かせてフィールドを変更した負荷。
大人数戦闘による負荷に異常なエフェクト量の負荷。6人ダンジョンでさえたまに重くなりすぎてカクカクするのに・・・異常にかかった負荷のせいで切断されたのか。
確かに異様なほど重かった。途中からカクカクどころか、タイムラグまで生じていたし。
だけどあの日はゲーム終了日だったはずで。
勢力戦やってるときの時間は・・・「終了まで後5分」とGMが言っていたのを覚えている。そうなると多分21時5分前のはずだから、ほぼ22時だ。
時間的に微妙過ぎる。何しろそういう時のメンテって、入れば3時間では済まないから。
もしかしてメンテ間に合わず落ちたまま終了に・・・。
有り得ない話じゃない。
だって、あの運営だもん。
「最後の最後までろくでもない運営だな」
「運営?」
ナル婆さんが不思議そうに聞いてきて、一瞬焦った。
「え?ああ、えっと。う、ウン・エイという、か、神がいまして~」
「ほほぉ。初めて聞く神名だねぇ。天上人の上位神かね?てか。神人の上位神っていやぁ大神様なんだが」
ギク。
何とか取り繕わなくては。
「せ、世界を作った神・・的な?で。そ、その。いろいろあって・・世界が閉じた・・っぽい」
「世界を作った・・・やはり大神様のことだね。なるほど。大神さまの、こちらとそちらでは名称が違うって事かい。ところで、世界が閉じったってどういう事さ?」
やばいやばい。どう言えばいい?!
「か、神々が争う空間は・・ほら。べべ、別に作ったんですよ!そ、その、大神様が!」
もう、凄まじい勢いで背筋に汗が流れている。
自分で言っててなんだけど、ぐちゃぐちゃだぁぁ・・。
「ほぉ。天界を切り離してまた違う世界をお創りになり、そこで戦わせていたとな。なるほど。さすがは大神様だ。あらゆる可能性を考慮し、他界に影響が及ばぬように配慮なされていたという事かぃ。
だが、そこが何らかの原因で強制的に閉じてしまったと・・。
それでお前がはじき出されたという事か?」
ずごーーーい!ナル婆さん!
どこかの探偵よりも素晴らしい推理力だぁぁ!
・・・・但し、全部それ、妄想ですけど・・。そんなのないから。本当、どうやったらそこまで話が作れるんだよ。
「か、・・かも・・?」
リアル私が死んだタイミング。晴嵐が死んだタイミング。その時鯖落ちという事故。
うん・・。まぁ、わかるけど、何故ここにいて、ゲームキャラで私がここで生きているのかには説明になってはいない。う~ん・・。
やっぱり謎だねぇ。
「まぁ分らんものは仕方がないのさ。さ、セイラン。それ終えたら飯にするから」
「はい!」
「わぁ~いご飯だぁぁ」
ナル婆さんの後を追いかけるように去っていく白虎を見つめて「お気楽でいいよねぇ・・トラは」と愚痴の一つも出るってものだ。
さて、この残り少なくなった飴をカジリと口の中で噛み砕いた。
こんな稚文を読んで下さり誠に感謝でございます。
ちょこっとだけ書き溜めたので、放出・・。