三の宮に捧ぐ
*
雲居の果ての九重の
宮にありせばいかにして
かかる憂き目を見るべきや
この世の宮は頼りなし
心はここにあらねども
憂き世に住まう身であれば
災いさわに下り来て
いたく食いつき絡み付く
人の尊ぶことごとも
我はいかでか尊ばん
牢にありて絡み付く
鉄鎖のごとく見るものを
今となりては天離る
雲居の果ての九重を
渡らせたまえゆきたまえ
この世の内の道でなく
*
例えれば連理の枝か
かつはまた比翼の鳥と
人は言い我も言うとも
心には染まずなじまず
天翔る梟のごと
我もまたありたきものを
我人をこうる情けの
おのずから起こらぬならば
君強いて起こしたまうな
愛執は苦悩の元と
人も言い我も心に
おぼゆるものを