こんな日は僕の中の野生が目を覚ます(200文字小説)
台風の接近に伴い、外は強烈な雨と風が吹き荒れている。
こんな日は僕の中の野生が目を覚ます。
僕は庭に出て全身で受け止める。
そして、空に向かって大声で叫ぶ。
圧倒的な風の音に僕の声はかき消される。
僕は地面に這いつくばって大地の声を聞く。
体中を雨が矢のように貫く。
嵐が去った。
僕は立ち上がる。
びしょ濡れの僕は目で合図を送った。
バスタオルが投げられた。
妻が呆れた顔で見ている。
「女には解らん」
「バカじゃないの!」