愛妻弁当
最初っ!
張り切るよー!
楽しんでっ!
俺の妻は、毎日とても美味しいお弁当を作ってくれる。彩りも豊かで、同僚たちからもいつも羨ましがられている。
ただ、妻は少しおっちょこちょいなところがあった。
「あなた、今日もちゃんとお弁当全部食べてね。あ、それから、お弁当箱の底にちょっとした『可愛いサプライズ』を仕込んであるから、楽しみにしてて!」
今朝、妻は笑顔でそう言って俺を送り出してくれた。昼休みになり、オフィスでお弁当箱を開ける。今日のおかずは俺の大好物のハンバーグだ。相変わらず最高の味で、俺はあっという間に完食した。
「ごちそうさまでした。あ、そうだ、サプライズって何だろ?」
食べ終わったお弁当箱の底を覗き込んでみる。そこには、ご飯の油分を吸って少し透明になったバラン(緑色の仕切り草)の隙間から、黒いマジックペンで書かれた妻の直筆の文字が透けて見えていた。
『いつもお仕事お疲れ様。大好きだよ!』
俺は思わず顔を綻ばせ、お弁当箱をパチンと閉めた。本当に、男冥利に尽きる最高の奥さんだ。(本編終わり。解説は下にあります)
お弁当箱の底に、妻からのメッセージが「黒いマジックペン」で書かれていました。主人公は、お弁当を「完食した後」に、底にあるその文字を読みました。しかし、お弁当箱の中に直接マジックで文字を書いた場合、その上にお米やおかずを詰めたら、マジックのインク(毒性のある有機溶剤)がすべて食材に溶け出して、主人公の口に入ってしまいます。まともな神経の妻なら、夫の健康を考えてそんなことは絶対にしません。妻が言った「可愛いサプライズ」の本当の意味は、メッセージそのものではなく、「あなたが今、インク(毒)が溶け出したお弁当をすべて平らげた」という事実のことです。
ご覧いただきありがとうございました。




