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魔術師は強かった  作者: 中山おでん
第二章 アラストロ編
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第8話 アラストロ

レイルの街を出て2日も経たないうちに、レイルから約30キロのところにある魔術都市アラストロに到着した。


街は石でできた壁に囲まれていた。壁は高さが10メートルぐらいだろうか。

遠くから見ても圧巻だったが、近くで見るとさらにすごい。何か迫力のようなものを感じる。


「ここがアラストロか。でけえな。」

隣りにいたエレアを見てみると、彼女も俺と同じように、アラストロを囲う壁を見上げ、口を開けて絶句していた。


ガイエルは…わかんないな。ガイエルはあまり感情を顔には出さないな。昨日の夜、微笑んだのも珍しいことだったのかもしれない。


「そんなところで突っ立っていてもなんにもならないぞ。あそこにいる門番に通行許可をもらってからさっさと街に入るぞ。」

俺達2人が壁を見上げていると、ガイエルがそう言った。

「なあガイエル、お前は驚かないんだな。ここには来たことあるのか?」

「一回だけ、親父に連れられてきたな。もうずいぶん前になるがな。と、俺のこんな話を聞いてもつまらんだろう。さあ、行くぞ。」

俺達は、アラストロの大きな門に向かって歩き出した。




「あの、この街の通行許可をもらってもいいですか?」

鎧と兜をまとった門番の兵士は、俺達3人をしばらく注視すると、

「うむ、問題ないな。通っていいぞ。」

そう言われ、門が開き、俺達は街の中に入った。  



街の中はレイルほど賑やかではなかったが、建物がぎっしりと建てられており、ほとんどの建物には煙突がついていて、モクモクと煙を上げていた。


「何かいかにも魔術都市って感じだな。」

「ねえショータ?これからどうする?」

エレアが聞いてきた。

「なあガイエル、これからどうする?」

俺は何も知らないので、とりあえずガイエルに聞いておく。


「そうだな、ここの本屋には凰級の魔術の本があるらしい。凰級の魔術にもなると、使えるやつもそこまで多くはないが、お前たちほどの魔力の持ち主なら、使いこなせるのではないか?」

「じゃあ、まずは本屋に行こう。」

でも、凰級を使いこなせるようになっても、使う機会なんてあるのかな?俺は特に、魔術の威力が普通の威力の数倍の威力で撃てるからな。この世界に魔王がいるわけでもあるまいし、ん?魔王?そういえば、この世界に来て、魔王という名を聞いたことがないな。

「なあ、この世界に魔王っているのか?」

「魔王か、確か3000年ほど前にこの世界で恐れられていたらしいが、勇者によって北の大地に封印されたらしいぞ。どこに封印されていたかは知らんがな。」


おお、いたんだな。北の大地に封印されているってことは、まだ存在してはいるのか。


「まあ、勇者の封印は誰も解けぬようなものだから、もし封印された場所が見つかったとしても、封印はとけんだろうな。安心してもいいだろう。」

ガイエルがそう言うなら大丈夫そうだ。


「まあいいか、じゃあ本屋に行こう。」

俺たちは、本屋に向かった。


---------------------


一番近い本屋に着いたが、レイルで一番大きい本屋よりも二まわりぐらいでかいだろう

か。



中には魔術の本がいろいろ並んであった。色々な属性の下位魔術から凰級魔術まで。他にも、魔術師の戦い方講座のような本から、魔術師のファッション雑誌のようなものもあった。本当に魔術都市というだけはあるな。


「とりあえず、魔術の本だけでいいだろ。」

「うん、私は回復魔術の凰級がいい。私は使えるかもしれないし。」

エレアは知力が高いからな。俺は全くだが。ううっ、悲しくなる…。


---------------------


俺達は、回復魔術の凰級と、炎魔術の凰級、土魔術を上位までの本を買った。

「なあ、凰級より上の魔術の本は売ってないのか?」

ガイエルに聞いた。

「凰級より上になると、使いこなせる魔術師もほとんどいないからな。覚えたいなら使いこなせる魔術師に教わるか、古い書物なんかにも書いてあるかもしれんな。」

まあいいか、どうせそんなに高度な魔術になると威力が大きすぎて制御できないかもしれないしな。


「ねえ?もう日が暮れはじめてるよ?今日泊まる場所探したほうがいいんじゃない?」

エレアに言われてすでに日が暮れ始めていることに気づいた。


「そうだな、じゃあ今日はもう宿でも取って、色々行動するのは明日にしよう。」

そう言い、今日泊まる宿を探し始めた。


---------------------


宿はすぐ近くにあったところにした。レイルでたくさん稼いだので、別に安い宿じゃなくてもいいから、探すのは楽だった。



俺は宿で部屋をとり、部屋に入るとベッドに寝転んだ。

「ふう、やっぱベッドが一番だな。」

昨日は野宿で臭いクマの毛皮を敷布団にしていたから、ベッドへのありがたみが増した。

エレアも隣のベッドで疲れているのか俺と同じように、寝転んだ。


「明日、どうする?」

ふと、エレアが聞いてきた。

「うーん、別にやることは決まってないな。」

「じゃあ、私は迷宮に行きたい。」

「迷宮?迷宮ってなんだ?」

俺が聞くと、ガイエルが答えた。

「迷宮とは、山や森の中、草原など色々なところにある構造物だな。」

「なんでそんな物があるんだ?」

「迷宮は、何者かが財宝を隠すためなどに建てたものや、死者や魔物の憎しみ、怨念などが作り上げるなどしてできる。」

「でもなんでエレアはそんなところに行きたいんだ?」

「私は、強くなりたい。ショータやガイエルと一緒に戦いたい。だから、私は迷宮に入って強くなりたいの。」

なるほど、そういう理由か。しかし、普段はあまり自己主張をしないエレアがこういうんだから、まあ付き合ってあげてもいいだろう。俺やガイエルが強くなる機会でもあるだろうしな。


「よし、じゃあ、明日は迷宮にでも行くか。」


明日の予定は決まった。ワクワクするな。




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