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魔術師は強かった  作者: 中山おでん
第一章 開始編
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第3話 行き倒れの少女

「ふぁ〜あ」

窓から差す朝日と小鳥のさえずりで目が覚めた。

昨日疲れすぎたこともあってか、ぐっすり眠れた。前世では、学校から帰ってもゲームばっかりしてたからな。あんなに疲れたのは久しぶりだ。

顔を冷水で洗い、宿を出て、今日も依頼をこなしに冒険者ギルドへ向かう。

冒険者ギルドにはこっちから行ったほうが近そうだと思い、裏路地から近道してギルドに向かうことにした。

その途中で、14〜17歳ぐらいの薄い茶髪の少女が倒れていた。

俺はすぐに駆け寄った。

「おい、大丈夫か?」

そう言うと、少女はすぐに目を覚まし、

「うん…大…丈夫…」

「本当に大丈夫か?ちょっと待ってろ。」

そう言い、俺は近くの八百屋に行き、リンゴみたいな果物を買ってきた。

「おい、これ食え。」

「え?いい…の?」

俺が頷くと、少女はそれを食べ、ポロリと涙を流した。

「あり…がとう」

「別に礼なんていらねえよ」

「でも…」

「お前、家どこにあんの?」

そう聞くと、少女は悲しそうな顔をし、小さな声で、

「私、昨日の夜に、お父さんとお母さんにここに捨てられた。家は別の街にある。家は貧乏だからもう育てられないって…」

「そうか…じゃあ俺と一緒に来るか?」

「いいの?」

「お前の家は遠くの街にあるから帰れないんだろ?俺も帰る場所はないし似た者同士じゃないか、」

そう聞くと、少女はまたポロリと涙を流して、

「ありがとう」

そう言って少しだけ笑った。

「よし、じゃあ行くか。あぁそうだ、まずは自己紹介をしないとな。俺は翔太、18歳だ。お前は?」

「私はエレア。17歳よ。よろしくショータ。」

「よろしくなエレア。よし、そんじゃあギルドに行くとするか。」


----------------------


ギルドについた。

「じゃあ、エレアもギルドで自分の能力を確認しておけ。」

「うん、わかった。」



「あのぉ〜、すみません、こいつも冒険者になりたいらしいです。」

「はい、わかりました。では、そちらのお方も、こちらのギルドカードにお名前を記入し、そのカードに魔力を込めてください。」

「ほれ、エレア。」

エレアにカードを手渡した。

「分かった。」

エレアはそう頷くと、カードに名前を書き、魔力を込めた。俺の時と同じように、カードがパッと光り、エレアのステータスがカードに浮かび上がった。

えーっと、力が22、運が40、体力が24、魔力が85、知力が92か。

「えっと、この能力だと、どの職にむいているんですか?」

俺がそう聞くと、ギルドの職員は、

「魔力と知力が非常に高く、攻撃、補助、回復全ての系統の魔術を使いこなせるかと存じます。」

ふーん。エレアって結構すごいんだな。そういえば俺って、知力は18ぐらいだったけど、魔力が340ぐらいあったよな。俺も結構すごいのかもな、フフフ…

「えっと、ショータ、どうしたの?」

エレアがちょっと心配そうな表情で聞いてきた。

しまった。笑みがこぼれてしまった。

「えっと、お客様?大丈夫でしょうか?」

ギルドの職員にも心配されてしまった。

「あ、はい、大丈夫です。」

「そちらのお方は、何の職になるおつもりなのですか?」

そう聞かれたので、

「エレア何の職になりたい?」

そう聞くと、

「私は、ショータと同じ…職がいい…」

ちょっと恥ずかしそうに頬を赤らめて言った。

「じゃあ、俺と同じ魔術師で。」

「かしこまりました。」

そう言うと、職員は俺の時と同じようにカードに手をかざしてブツブツと何かを唱えた。

すると、エレアのギルドカードの名前の隣に魔術師という文字が浮かび上がった。

「しかしお客様。そちらのお方の服装もボロボロなので、何か買ってさしあげればよいと思います。」

そう言われたので、エレアの服装を見てみると、確かにボロボロのグレーの服とズボンだった。

「よし、じゃあまずはエレアの服を買いに行こうぜ。」

「うん、分かった。」

ということで、俺は2人でエレアの服を買いに行くことにした。


-------------------------


色々な店で服を探していると、あっという間に日が暮れてきた。

「まあ、こんなもんでいいだろ。」

とりあえず、エレアには、黒いカッターシャツのようなものと、紺色のスカート、白いローブ、1メートルぐらいの杖を買ってあげた。

「うん、ありがとう。」

「よし、じゃあ宿に戻るか。」

「分かった。」



「ふう」

昨日と同じ部屋で1週間ほど泊まることにした。

「今日は、その、ありがとう。」

「別に気にすんな。」

今朝見つけたときは服とかもボロボロだったしわからなかったけど、エレアは結構かわいい。二の腕まである薄い茶色の髪で、優しい顔立ちをしている。

「ショータ?どうしたの?」

「い、いや、なんでもない。」

エレアをしばらく見つめていると、エレアが頬を少し赤く染めながら聞いてきた。うん、かわいい。

今はそういう感じの関係ではないが、いずれはそういう関係になるかもしれない。いろいろ楽しみだな。

まあ、それは置いといて、服を買ったせいで、金が結構減ってしまった。明日からは、真面目に依頼をこなして金を貯めようかな。

そんな事を考えながら、俺は眠りについた。

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