第27話 呼び出し
「いや〜、久々にマシな飯を食ったぜ。」
俺達3人は、カルテイル王国を散策し、その途中にある店で食事をしたのだが、しばらくまともな飯が食べられなかったので、久しぶりのまともなご飯に感動してしまった。
「確かに美味かったけど、そんなに感動するほどか?」
道中の不味い虫を平然と食っていたフィオナが俺に向かって不思議そうにそう聞いてきた。
「あのなあ、お前達は平然と食ってたけどな、俺はお前らと違ってまともな味覚を持っているから、あの虫が嫌だったんだよ。ようやくここでうまい飯が食えたんだ。そりゃあ感動もするだろ。」
俺が少し喧嘩腰にそう言うと、フィオナはまるで獲物を前にした虎のように、俺を睨みつけてきた。
「おい、ショータ、ふざけんなよ。誰が馬鹿舌だ。」
フィオナがちょっと低い声で俺にそう言ってきた。俺は背筋が凍り付いた。
「ご、ごめんなさい⋯。」
俺はすぐに謝った。フィオナは恐いな。なるべく怒らせないようにしよう、うん。
「ねえ、今からどうするの?」
俺がさっきのフィオナの発言に萎縮していると、エレアが少し呆れ気味にそう聞いてきた。
「うーん、特に予定はないかな。」
俺達はカルテイル王国に何か目的があって来たわけではない。ただの冒険みたいな感じだ。ただいろんな街に行って、近くにいる強い魔物達を倒して、また旅に出る。まるでRPGの中に入ったような気分だ。
と、俺が感傷に浸っていると、
「すみません。ナカタニ・ショータ殿でしょうか?」
後ろからそう声をかけられた。俺が誰かと思い、振り返ってみると、銀の甲冑を着た兵士が立っていた。
「ああ、そうですけど⋯何か用ですか?」
俺がそう答えると、兵士は少し怪しげな笑みを浮かべ、
「おお、よかった。やはりあの方の言う通り⋯いえ、そうではなく、このロドリス王より、城まで来いとのことです。ロドリス王が是非会って話してみたいと仰せでございますので。」
兵士は最初何かブツブツと独り言か何かを言っていたが、急にハッとし、俺にそう言った。
またお偉いさんからの呼び出し、しかも今度は王様から?何かしでかしたのか?いや、俺は何かしでかした覚えはない、というか、ここに来たのはつい数時間前だし、何でここに俺がいるのを知っているのだろうか。まあそれはいいか。
「え?俺がですか?」
「ええ、王は、パーティー全員で来ても構わないと仰せなので、是非御三方もどうぞ。」
兵士はそう言った。それにしても、一体何の用なのだろうか。ここでは何か感謝されるようなこともしていなければ、お咎めを受けるようなこともしていないのに。
「あの、俺達に何か用なのですか?」
俺が聞くと、
「ナカタニ・ショータ殿とその御一行の話は僅かながらこの王国にも届いておりまして、ロドリス王はどんな人物なのか見てみたいと言っておられたのです。なので、特に用があるわけではありません。」
そうか、俺達の活躍がこんなところまで⋯って、そこまで俺達が活躍した覚えはないんだけどな。まあいいか、どうせ用事もなかったし、王様に謁見しに行くか。
「分かりました。じゃあ、今から向かいましょう。お前達もそれでいいだろ?」
俺は兵士にそう伝え、後ろを振り向いてエレア達にそう尋ねた。
「うん、いいよ。」
「ああ、分かった。」
「別にいつでもいいぜ。」
よし、全員賛成だな。
「それでは、私が案内させていただきます。」
兵士はそう言い、俺達を先導し、歩き始めた。俺達も、それについて歩き始めた。
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カルテイル王城は、遠くで見てもすごかったが、近くで見るとさらに凄かった。城の周りは水堀があり、城の正面の入り口のところに大きな橋が架かっていた。
「さ、こちらでございます。」
そう兵士に促され、俺達は城の中に入る。
―――
城の中は色々な窓から光が差し込んでいるため、明るかった。俺たちは、謁見の間へと向かって歩き続ける。その途中に、歴代の王の肖像画があった。やはり王というだけあって、全員の顔が威厳のある顔立ちをしていたが、その中でも、現在の王であるロドリス王は一番強そうな顔立ちをしていた。王国史上最強とも言われているだけあって、顔からも強さがにじみ出ている。
どうしよう、俺達が謁見中になにか王の気に障るようなことをしたら、すぐに殺されるみたいなことになるかもしれない。
「着きましたぞ。」
俺がそんなことを考え、心の中で少し怯えているうちに、謁見の間への扉の前に着いた。
その扉は大きく頑丈そうで、さらに細かい模様の細工もしてあった。
俺達を案内してきた兵士は、扉の前に立つ2人の兵士と少し話し、
「では、お入りください。」
案内の兵士はそう言い、2人の門番が扉をギイイと大きい音を立てて開けた。
俺達はゆっくりと謁見の間へと歩いて入っていった。
謁見の間は広く、しばらく進んだところの少し高いところに玉座があり、肖像画と同じロドリス王が座っていた。しかし、肖像画よりも威厳や重厚感などはあまり感じなかった。
「そこで止まれ。」
王の近くにで立っている兵士の一人が俺達にそう言ったので、俺達はそこで歩みを止めた。
王の近くには護衛にしては少し多い気がするが同じ格好をした兵士が10人ほど。
俺達は、床に片膝をつき、頭を垂れた。
すると、王が話しだした。
「久しぶりだな。」
王がいきなり理由のわからないことを言い出した。久しぶり?何処かであっただろうか。
俺達が戸惑っていると、王はサッと左手をあげ、
「囲め」
そう呟いた。すると、先ほどまで王の近くにいた10人ほどの兵士が、俺達を囲んで槍をこちらに向けてきた。
「え?は?どゆこと?」
俺は動揺を隠せずに王の前で素を出してしまった。いや、あれは本当に王なのだろうか。ていうか、どうしよう。




