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魔術師は強かった  作者: 中山おでん
第二章 アラストロ編
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第25話 カルテイル王国へ


「うわあああっ、たっ、助けてくれぇっ!」

「キャー!」


俺達の近くで男女の叫び声が聞こえた。


「なんだなんだ?」


俺達の近くで聞こえた叫び声で、3人とも目が覚めたようだ。


「行くか。」


俺がそう一言言うと、3人は無言でただ頷き、その叫び声の方へと武器を構えて静かに走り出した。


---------------------


「うわあああっ!しっ、死にたくなぃぃ!」

「きゃあああ!助けてえぇっ!」

「やっ、やべぇぇ!」


俺達がさっきの叫び声の方に行くと、ヒョロガリの男と、ボロボロの杖を持った魔術師のような格好をした女と、ガタイのいい男の3人組が逃げ回っていた。


何から逃げ回っているのかと思い、あの3人組が逃げてきた方向を見てみると、イノシシのような魔物が5頭ぐらいの群れで3人組を追いかけていた。


「おい、助けるぞ。」


俺がそうエレア達に言うと、3人共頷いたので、俺はすぐに魔術の詠唱を始める。

と、その時、フィオナが、


「ここは私がやるから下がってな。」


そう言い、槍を構え、魔物に向かって走り出した。俺も行こうとしたが、俺は魔術師なので、あいつの邪魔にしかならないと思い、俺は何もせずに見ておくことにした。

エレアとガイエルも、フィオナに任せてその場で傍観するようだ。


と、フィオナに気づいた魔物が標的をあの3人組からフィオナに変え、フィオナに向かって突進してきた。

フィオナは、標的が自分に変わったと知った瞬間に、立ち止まり、槍を上段に構えた。


「おらああああっ!」


フィオナは突進してきた魔物の一頭を、振り下ろした槍で顔の辺りを斬り、そのまま槍で胴体を突き刺した。


魔物の傷口から血飛沫が飛び、魔物は大きな断末魔の叫び声を上げて倒れた。

フィオナは構わず別の一頭の頭部に槍を突き刺し、そのまま斬り上げた。


その一頭も血飛沫をあげて倒れた。

それらを見た残った魔物の3頭は、すぐに逃げ出した。


「ふう、終わったぞ。」


フィオナは何事もなかったかのように、槍の血を払い、こちらに歩いて戻ってきた。


「あれ?あいつらはどこに行った?」


俺が辺りを見回して、さっきの3人組を探すと、3人組は、俺達から少し離れた場所で、地面に蹲っていた。


俺が近づき、「おい」と声をかけると、


「ひっ、ひいぃっ。たっ、助けてくれぇ。」


ヒョロガリの男がそう叫んだ。どうやら、まだ今の状況に気がついておらず、俺を魔物だと思っているようだ。


「失礼だな。俺は魔物じゃねえよ。魔物ならもういないぜ。」


俺が再び声をかけると、3人は起き上がり、ポカーンとした表情で立ち上がった。


「あ、あんたらが倒してくれたのか?」


ヒョロガリの男が俺に聞いてきた。


「まあ、俺というか、倒したのはあいつだけどな。」


俺がフィオナを指差した。フィオナはそれに気づくと、自慢気な表情をした。


「おお、あんたらが倒してくれたのか。あ、ありがとな。」


ヒョロガリの男は少し涙目になりながら満面の笑みを浮かべて俺達に礼を言ってきた。


「別にいいよ。お前らは今日どこに泊まるんだ?なんか心配になってきたんだが⋯」


俺がそう聞くと、3人組は少し胡散臭そうな顔をし、


「実は今日ギルドの依頼を受けてここに来たんですけど、いつの間にか日が暮れてて、こうなってたんですよねぇ。」


ヒョロガリは急に敬語で話しだした。口調もとても胡散臭くなった。さてはこいつら怖いからとか言って俺達と一緒の場所で一晩泊まるとか言うんじゃあるまいな。


「今日は俺達も一緒に泊まってもいいですか?ちょっと怖いんですよね。へへ⋯」


ヒョロガリが頭をポリポリと掻きながらそう言ってきた。やっぱりな。


「ったく、しょうがないな。おい、みんなはそれでいいか?」


俺は振り向き、3人に聞いた。


「いいんじゃない?」

「好きにしろ。」

「しょうがねえなあ。」


3人は了承したようだ。


「分かった。おい、ヒョロガリ、今日は一緒に泊まってもいいぞ。」


そう言うと、ヒョロガリ達は目を光らせて、


「ありがてえ。このご恩は忘れねえよ。」


そう言った。全く、調子のいい奴だ。


---------------------


俺達は、3人組を連れて自分達の野宿場所に戻ってきた。

3人組は、飯を食っていないそうなので、今日の晩飯の残り(虫)を食べさせることにした。

さっき倒した魔物は向こうに置いてきたからな、しょうがない。3人組にも俺と同じ苦痛を味わわせてやる。


「おい、お前達の晩飯だ。」


そういい、俺が、串刺しにして焼いた虫を3人組に見せると、3人組は途端に嫌そうな顔をし、


「うへえ、む、虫⋯。俺食ったことねえんだよなあ。」

「こ、これ食べられるの?」

「なんか不味そうだな⋯。」


3人組は口々に嫌そうな顔をしたが、俺が無理やり食べさせると、3人組は、段々顔色が悪くなっていき、


「おっ、おええぇっ!まっ、不味い」


3人共悶絶した。だろうな。これが正常な反応だ。俺達が食べた時は、俺しか不味いとは言わなかったが、俺がおかしいわけではなさそうだ。


「うええっ、なんだこれ。おいしくねえ⋯」


3人組はしばらく悶絶していた。ちょっと悪い子としちゃったかな⋯


----------------------


その後、3人組は30分ほど顔色が悪かったが、顔色は段々戻ってきた。


「ふう、不味かったが、飯はありがとよ。っと、そういえば名前を言ってなかったな。俺はターナーだ。3人でいろんなところをほっつき歩いているが、今はカルテイル王国に滞在してるぜ。」

「私はヴィーネよ。よろしくね。」

「俺はメルトだ。ハッハッハ、よろしくな。」


ヒョロガリがターナー、ボロい杖の魔術師がヴィーネ、ガタイのいい、戦士の格好をした奴がメルトらしい。そのメルトがさっきから俺の背中をバンバンと叩いてきて痛い。こんな弱そうなパーティーの戦士でもそれなりの力は持っているんだな。


「おう、俺はショータ、あとはエレアとガイエル、フィオナだ。よろしくな。」


一通り自己紹介も終え、夜も遅いので、俺達はもう寝ることにした。今度こそは眠れますように。


---------------------


俺達とターナー達はどちらもカルテイル王国に向かっているので、カルテイル王国まで一緒に行くことにした。


そして、魔術都市アラストロから出発してから4日が経った。


「ようやく着いたか。カルテイル王国。」


カルテイル王国の入り口となる大きな門の前に俺達は立ち、門を見上げる。

俺は感動した。ちょっと長めの旅だったというのもあるが、ようやくまともなご飯が食べられるからだ。


「何してるの?早く入ろうよ。」


俺がそんなことを考えていると、エレアに話しかけられた。


「そうだな、入ろう。」


俺がそう言い、俺達は門をくぐった。

カルテイル王国(のご飯)に期待を膨らませながら、カルテイル王国に入った。

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