第24話 道中 ②
次の目的地はカルテイル王国に決まったので、俺達は市長の家を出て、街の外まで来た。
次の目的地、カルテイル王国にはここから数日かかるらしい。この魔術都市アラストロから王国まで馬車などは出ていないので、徒歩で行くしかない。さらに、ここから王国までは道が整備されておらず、この世界で何番目かに面積の広いチェルアーズ森林を越える必要がある。
「なあ、森にはやっぱり魔物とかたくさんいるのか?」
俺は立ち止まってガイエルに聞いた。別に怖がっているわけではない、うん。一応聞いておくだけだ。怖いわけではない。
「まあ、そうだろうな。しかも、チェルアーズ森林では、最近魔物が増えているらしいぞ。」
俺が聞くと、ガイエルが少し嘲笑うようにそう言った。こいつ、俺を怖がらせようとしてるのか⋯、俺を舐めやがって。まあ、ちょっと怖くなってきたけど。
「おいおい、お前何怖がってるんだよ。ったく、弱っちいな。」
フィオナがまるでチンピラのような口調で俺に絡んできた。何だろう、このパーティーがちょっと嫌になってきたかもしれない。あ、まだ1人このパーティーで一番優しいエレアが残ってた。エレアなら俺の味方をしてくれるだろう。
「ふふふ、そんなに怖がらなくても大丈夫よ。」
⋯エレアは可笑しそうにそう言った。ああ、俺はもう駄目かもしれない。このパーティーには俺の味方は居ないみたいだ。
「さ、行くぞ。何突っ立ってんだ?」
フィオナがちょっと萎縮している俺を見て不思議そうにそう言い、歩き出した。
誰のせいだと思っているんだか。
⋯まあいいか、いちいち思い詰めてても仕方ないしな。
「ああ、そうだな、行こう。」
そう言い、俺達はカルテイル王国へと向かい歩き始めた。
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魔術都市アラストロを出発してから数時間歩いた。アラストロを出発したのが丁度昼頃だったから、もう少しで日が暮れ始めるかな。
「あれがチェルアーズ森林だろう。俺は行ったことはないが、この辺りで一番大きい森林らしいから、あれで間違いないな。」
ガイエルが指差した先には、広大な森林が広がっていた。周りは山が聳え立っていてやっぱりあのチェルアーズ森林を抜けるしかなさそうだ。
でも、もう少しで日が暮れ始めると思うし、今日は森には入らず、ここらへんで一泊したほうがいいんじゃないか?夜だと魔物とかの動きも活発になりそうだし。⋯いや、こんなこと言ったら、またあいつらに何かしら揶揄されそうだし、やめとこう。
「今日のうちに森に入って、行けるとこまで行こうぜ。そっちのほうがさっさと王国に着くだろ?」
やっぱり⋯、フィオナならそう言うと思った。まだ出会って2日も経っていないが、もうフィオナがどういう人間なのか何となく分かった。こいつはきっと短慮で無計画に突っ走るような奴なんだな。
「はあ、そうだな、今日は森で一泊しよう。」
俺がため息をつき、少々呆れ気味にそう言った。3人が不思議そうな顔をしたが、気にせず歩き続ける。
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「うひー虫が多いな。俺昔っから虫苦手なんだよな。」
チェルアーズ森林はとてつもない量の木と雑草が生い茂っていて、虫も多い。しかも、日本では見かけなかったような巨大で派手な柄の虫が多い。エレアみちょっと嫌そうな顔をしている。ガイエルは⋯無表情だな。あいつは口数が少ないから何を考えているのかわからないな。
「なんだよ、別に虫なんてどうってことないだろ。」
フィオナがそう言った。まあ、フィオナは生まれて此の方森の中で暮らしてたし、そりゃそうだ。
⋯それにしても、今までずっと森の中で暮らしていたなんて、もはや野生動ぶ⋯いや、こんなこと言ったらフィオナに秒殺されそうだし、やめとこう。
「もうそろそろ日も暮れるし、どこか開けたところで泊まろう。」
俺はいらん考えを紛らわせるようにそう言った。空を見上げると、日がもう暮れかけていた。
「そうだな。」
みんなが了承したので、俺達は今日泊まる場所を探すことにした。
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俺達は、今日泊まる場所を決め、晩飯み食べ終わり、もう眠ろうとしている⋯のだが、
「はあ⋯。」
俺は今ナイーブな気持ちになっている。なぜなら、晩飯が森にいた虫だったからだ。なぜか魔物が全くおらず、動物もいなかったため、そこら中にいた虫を食べる羽目になってしまったのだ。俺は虫を食べるのは断固拒否したが、フィオナに無理やり食べさせられた。
フィオナを見てみると、気持ちよさそうにぐっすりと寝ている。ったく、人の気持ちも知らずに⋯。
まあいいか、明日のうちにこの森を越えられればまだマシな食べ物が食べられるだろう。それまで我慢だ我慢。
そんなことを考えていると、晩飯の虫の味も頭から消えてきて、眠くなってきた。みんなが眠ってからしばらく経っても、全然眠れなかったので、さっさと眠りたい。
と、その時、俺達の近くで、
「うわあああっ、たっ、助けてくれぇっ!」
と言う声が聞こえた。どうやら、俺はまだ寝られないらしい。
もう嫌だ。はやく寝たいのに⋯




