第23話 帰還
俺とフィオナは、墓の前でしばらく話した後、家の中に戻り、眠りについた。
差し込んだ朝日で、目が覚めた。
「ふあ〜あ」
あくびをして、目をこすりながら身体を起こ
すと、もう俺以外は全員は起きていて、旅の支度も終えていた。⋯フィオナも。
「おう、おはよう、遅いな。」
「フィオナ、お前なんでもう支度してんの?」
さも普通そうに振る舞うフィオナに俺が聞いた。
「ああ、私もお前たちについていくことにした。」
フィオナはそう言った。
「なんでいきなりそんなことを?」
「昨日の夜にお前が色々話してくれただろ?だから私はあのあと考えたんだよ。その考えた結果がこれだ。」
そう言い、持っている槍の柄の根元をコンと床に突いた。
「そ、そうか。まあいいか。じゃあ、俺も準備をさっさと済ませるか。」
「おう、朝飯はもう作ってあるからな。さっさと食ってくれ。」
フィオナがそう俺を急かした。そんなに楽しみなのだろうか。
「へいへい分かったよ。」
俺は起き上がり、フラフラと食卓に向かった。
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俺が朝ご飯を食べ終わり、俺が支度をしていると、
「なあ、これからどこに行くんだ?」
フィオナが俺達に聞いた。
「そうだな⋯どこに行こうか。」
「ねえ、アラストロの市長に会いに行ったほうがいいんじゃない?」
俺がどこに行くか考えていると、エレアがそう言った。
「確かに、あの時の兵士がもう報告はしているとは思うが、俺達からも行くべきだろうな。」
ガイエルもそう言った。
確かに、市長には報告しておいたほうがいいかもしれないな。
「よし、じゃあ市長のところに行くか。あのドラゴンを倒した時の本当のことを話さないとだしな。」
そう言い、俺がフィオナを見ると、
「ん?私がどうかしたのか?」
「昨日のドラゴン討伐の本当のことを話しにいこうと思うんだ。昨日ドラゴンを倒したのはお前だろ?」
「まあそうだけど⋯、めんどくさいことなら私はしないからな。」
フィオナはそうめんどくさそうに言った。
「別にめんどくさいことじゃあないだろうし、行こうぜ。」
「分かったよ。」
フィオナはそう言った。
「よし、じゃあ支度も済ませたし、出発するか。」
俺がそう言うと、
「ちょっと待ってくれ。親父の墓に手を合わせてから行くよ。」
そう言い、フィオナは家を出て、墓に行ったので、俺達も墓に向かった。
「親父⋯、行ってくるよ。しばらく戻れないけど、いつか帰ってくるからな。」
俺達が外に出て、墓に行くと、フィオナが座って墓に向かってそう言っていた。
「よし、もういい。行くか。」
俺達がフィオナに近づくと、フィオナは少し寂しそうな顔をしてそう言った。
「別に無理してこなくてもいいからな。」
俺がそう言うと、
「いや、私が行きたいと言ったんだ。もう考えは変えない。私は決めたことは変えないからな。」
そう言い、フィオナが立ち上がり、
「悪い、待たせたな。さ、行こうぜ。」
そう言い、歩き出した。
「さ、ショータ、ガイエル、行こう。」
エレアもそう言い、歩き出したので、俺とガイエルも歩き出した。
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「ようやく戻ってきたな。」
アラストロの市長の家の目の前まで戻ってきて、俺はポツリとつぶやいた。
すると、エレアが聞こえていたのか、
「そうだね、1日だけだったのになんか疲れたね。」
俺にそう言った。まあ、確かにそうだ。俺達はドラゴン討伐にアラストロの西の山に行き、そこでフリーズドラゴンに殺されかけ、そこをフィオナに助けてもらって、フィオナも仲間になった。
一日の間に起きたこととは思えないほどいろいろあったな。前世だと毎日普通に生きてきて、普通に成長してきたから、こうやって一日にいろいろあると、とても疲れるが何か楽しいという気持ちもある。
「こんなところで喋っててもなんだし、さっさと市長に会おうぜ。」
俺がそう言い、俺達は市長の家へと近づくと門番は、顔をほころばせ、すぐに門をあけた。
俺達が家の敷地内に入ると、玄関扉の門番も、すぐに扉を開け、俺達に労いの言葉をかけてくれた。
俺達は軽く礼を言い、市長のいる部屋へと向かった。
「すみませ〜ん、今戻りました。」
俺が市長の部屋の前に立ち、のっくをしてそういった。
すると、中でガサガサと音がし、しばらくしたあと、
「どうぞお入りください。」
前よりも少し上機嫌そうな口調で市長がそう言った。
俺達は扉を開け、中に入った。
市長はにこやかに、
「今回は本当にありがとうございました。おかげで、この街に被害も出ず、損害も最小限ですみました。私の配下の兵士が数人亡くなりましたが、これで報われることでしょう。」
そう言っていたが、市長は途中でフィオナに気づき、
「⋯ところで、そちらの方は?前にはいらっしゃらなかったはずですが⋯」
そう言った。
そういえば、市長は、あのドラゴンをフィオナが倒したってことを知らないんだったな。
「市長、実は、今回ドラゴンを倒したのは俺達ではなく、彼女なんです。」
俺がそう言った。
「ふむ、と言いますと?」
「俺達は、昨日ドラゴン討伐に行った時に、ドラゴンに殺されかけたんです。その時に、俺達を助け、ドラゴンを一人で倒したのがこのフィオナなんです。」
俺がそう言うと、フィオナが
「別にあの時は助けたってつもりじゃねえんだけどな」
と小声で言ったが、俺は気にせず、
「そして、彼女も俺達の仲間になってくれました。これが、今回の本当の内容です。」
そう言うと、市長は少し考えるような素振りを見せた後、
「あなたが言うのですから、私が兵士から聞いた内容ではなく、そちらが正しいのでしょう。まあ、真相がどうであろうと、今回のドラゴン討伐を承諾していただいた私はあなたが他には報酬はお出ししますし、ドラゴンを倒したフィオナ殿も、もうナカタニ殿のお仲間なのでしょう?ならば、あなたがた全員で倒したということにして、全員にしっかりと討伐報酬は差し上げます。」
「そうですか。ありがとうございます。」
俺はそう言い、軽く礼をした。
「で、報酬なのですが、何がよろしいでしょうか。お金も、いくらでもお出ししますよ。」
市長はそう言ったが、残念ながら俺達はもう金は困らないほど持っているから必要ないんだよな。
「いや、金ならもう困らないほど持っています。」
「では何がお望みですか?お望みの物を差し上げますが。」
「う〜ん、お前らは何が欲しいものはあるか?」
俺は、振り向き、3人に尋ねたが、
「別にないかな。」
「俺は何もいらん。」
「私も何もいらねえ。」
3人とも何も必要ないらしい。
「じゃあ、俺達は何もいらないです。」
「なんと⋯何もいらないのですか。まあ、分かりました。その代わり、その装備品は差し上げますので、ご自由にお使いください。」
市長はそう言った。そういえば、俺達のローブと鎧は市長からもらったものだったな。
「分かりました。俺達からも、話は以上です。」
「何度もわざわざ足を運んでくださりありがとうございました。」
俺達は礼をし、部屋を出て、市長の家を後にした、
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「はぁ、やっぱり何かもらっておくべきだったかな。」
俺は家を出て、しばらくしたところでポツリとつぶやいた。
「今頃そんなこと言ったって遅いよ。さっき言っておけばよかったのに⋯。」
エレアが呆れ気味にそう言った。
「いや、もういいよ。⋯でも諦めがつかないなぁ。ハァ⋯」
「もういいだろう。で、次はどうするんだ?」
ガイエルがそう聞いてきた。
「そうだな。もうこの街からも出てみようかな。といっても、行くあてもないしな。」
「なら、ここから西に何日か歩くと、カルテイル王国という王国がある。そこはとても広いらしいし、行ってみたらどうだ?」
王国か⋯面白そうだな。
「俺はそこでいいと思う。みんなはどうだ?」
「いいんじゃない?」
「別にどこでもいいな。」
エレアが少し乗り気で、フィオナが面倒臭そうにそう言った。
「よし、決まりだな。次は、カルテイル王国だ。」




