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魔術師は強かった  作者: 中山おでん
第二章 アラストロ編
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第22話 子供と親


「は?どういうこと?」


急に俺が言ったせいで、少女は困惑していた。でも、そりゃそうだ。急に仲間にならないかなんて聞いたんだ。


「そのままの意味だ。お前は山奥で一人暮らししてるんだろ?よかったらでいいから。」


「なんでそんなにいきなり⋯。」


「さっき俺達を助けてくれた時、1発であいつを倒しただろ?俺達があれだけ手こずっていたのに、一瞬で倒したのが凄かったからだ。」

そう俺は言った。


すると、少女は少し考え、


「そうか。なら悪いな。私はあんたらの仲間にはならない。私はすることがあるからな。」


そう言った。


「すること?することがあるなら終わらせてからでもいいぜ。」


「いや、終わることじゃない。私の親父の墓を守り続けることだ。私は一生墓を守り続けると決めたからな。そういうことだ。悪いな。」

少女はそう言い、再び立ち去ろうと踵を返した。


「ちょっと待ってくれ。じゃあ、そうだな⋯。それじゃあ、お前の家に連れて行ってくれないか?」

俺は咄嗟にそう言った。


「はあ?なんでだ?」

少女は驚いた顔をしてすぐにそう聞き返した。


「俺は、お前を気に入ったみたいだ。だから、俺は決めた。必ずお前を仲間にする。」


「はあ?求婚ならお断りだからな?」


「いや、そんなのじゃない。」

ドラゴンを倒したあの一撃を見て、俺は何か感じた。俺は、この世界に来て、魔王の直属の配下と戦ったこともあるが、死にかけたことはなかった。

でも、今回は、本当に死にかけた。あの少女が来なければ絶対に死んでいた。それほどの強さのドラゴンをあの一撃で葬り去ったあの力にとても興味がわいた。

俺は、前世から、強い物や人が好きだと思ったことはない。と言うか、あまり人に興味がわかなかった。

でも、あの少女を見た時、興味がわいた。


「まあ、なんというか⋯、とりあえず、お前の家に連れて行ってくれ。なあ、みんなもそれでいいだろ?」

俺は後ろを振り向き、他のみんなにそう言った。


「いいんじゃない?」

「好きにしろ。」


エレアとガイエルはそう言った。


「おいおい、ついて行っていいなんて言ってねえぞ⋯、まあいいか、ついてこいよ。」


「では、私達は帰らせていただきます。ドラゴン討伐の件は、市長には⋯どう言いましょうか。」

兵士がそう言うと、


「お前らはあいつの討伐のためにここに来てたんだな。私は手柄なんて要らねえからそいつらが倒したって言っとけ。」

少女が俺達を指差して兵士にそう言った。


「そうですか。では、市長にはそう言っておきます。」


そう言い、2人の兵士は帰っていった。


「そんじゃ、私も帰るから、来るならついてこいよ。」

少女はそう言い、歩き出した。


「なあ、お前の名前は何ていうんだ?あ、俺はショータ、そしてエレアとガイエルだ。」


「私?私はフィオナだ。頭に深く刻み込んでおきな。」


「おう、よろしくな、フィオナ。」


「よろしくね。」

俺とエレアがそう言った。


「ふん、さっさと行くぞ。」

フィオナはそう言い、スタスタと歩き出した。


---------------------


山から何時間か歩くと、ポツンと建った家についた。もう日は暮れ始めていた。

「ほら、着いたぞ。」


「こんな森の中にあるんだな。迷わないのか?」


「生まれてからずっとここに住んでるんだ。もう迷わねえよ。さ、中に入るぞ。」


「おう、お邪魔します。」

そう言い、俺達は家の中に入った。



家の中の物は年季が入っていたが、きれいに整頓されていた。


「もう日が暮れ始めているし、泊まっていけよ。ただし、ベッドは一つしかないから、私が使う。お前たちは床で寝ろよ。」


「分かった。ありがとな。」


----------------------


俺達は、フィオナが作ったご飯を食べ、眠りについていた。しかし、外から物音がして、俺は目が覚めた。


起き上がると、エレアとガイエルは寝ていたが、フィオナがベッドにいなかった。

窓から外を見ると、家のすぐ近くに、小さな墓があり、フィオナがそこにいた。



「ここにいたのか。」

俺は外に出て、墓に手を合わせているフィオナに話しかけた。


「なんだ。起きたのか。」

俺に気づき、フィオナはそう返事した。


「これが、お前の父親の墓か?」


「ああ、3年ぐらい前かな。男手一つで育ててくれたんだ。」

フィオナはその墓をボンヤリと見つめながらそう言った。


「母親は?」


「知らない。私が物心ついた時にはもういなかった。親父に聞いても教えてくれなかった。多分死んだんだろうな。」


「そうか⋯。」


「だから私は親父が大好きだったし、親父も私のしたいことをしろって言ってくれた。」


「じゃあフィオナは父親の墓を守り続けたいから守り続けているんだな。」


「ああ、親父もそれを望んでいるだろうしな。」



「⋯いや、それはたぶん違うと思う。」

俺は、ポツリとそう言った。


「何が違うんだ?」

フィオナが不思議そうにそう聞き返した。


「俺も本当のことはわからないけど、親っていうのは、子供の幸せが何よりうれしいものなんだと思う。」


「⋯何が言いたいんだ?」


「きっと、フィオナの父親も、フィオナが幸せになることを今も願っていると思う。」


「でも、私にとってはこれが幸せだ。」


「そうだとしても、お前の父親はさっきの話を聞く限り、フィオナがずっとここでひっそりと暮らしてほしいなんて思っていないと思うぞ。」


フィオナが少し目に涙を浮かべながら、墓を見つめていた。


俺は話を続ける。

「別に俺の仲間になってほしいからこんなことを言ってるわけじゃない。ただ、俺はお前を気に入ったから、そう言ってるだけだ。きっと、お前の父親も、フィオナはここから出て、本当に幸せになってほしいと思っていると思う、それだけだ。」


俺が話終え、フィオナを見ると、フィオナは一筋の涙を流していた。


「そうか⋯そうなのかもな。親父は確かにそういう人だったからな。生前も、いつか自分の元から離れて幸せになれ、なんて言っていたっけな。」


「⋯おっと、悪いな。話が長くなった。俺は戻るぞ。」

俺が立ち上がり、家に入ろうとすると、


「ショータ、待て。」

フィオナにそう言われた。俺が振り返ると、


「ありがとな。」

そう言われた。







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