第20話 フリーズドラゴン
空から降りてきたドラゴンは、砂ぼこりをあげ、俺たちの目の前に降り立った。
体長は15メートルぐらいあり、全身が黒く、青く光る目で俺達を睨んでいる。
「よし、戦闘開始だ!」
俺が叫ぶと、エレア、ガイエルと2人の兵士は無言で頷いた。
「エレアと2人の兵士の方々は俺の後ろに!
ガイエルはドラゴンの背後にまわれ!」
俺がそう大声で言った。エレアとガイエルは作戦通りの場所へ、2人の兵士は案内役なので、戦わずに俺の防護魔術の結界に守ってあげることにする。
「分かった!」
「任せろ。」
エレアとガイエルが返事をし、2人の兵士も頷いて俺の行った場所に行った。
俺は意識を集中し、防護魔術を発動した。前に練習したとおり、光の壁が俺達を囲んだ。
俺はドラゴンがどういう攻撃をしてくるのか、どのくらいの威力なのか全く知らないが、防護魔術を信じて、全力で防護魔術に魔力を集中させる。
「ナカタニ殿、本当に大丈夫なのですか?」
兵士が心配そうに聞いてきた。この光の壁はは発動している者にしか見えないらしいので、初見だとその反応になるのも当然だ。
「ええ、俺の近くにいれば安全です。俺を信じてください。」
俺はそう言った。安全かは分からないが、士気を下げないためにも、安全といっておいたほうが言いからだ。
「よし、エレア、魔術をあのドラゴンに撃て。できれば頭部を狙え。ガイエルがあいつの背後に回り込むから、ガイエルには絶対に当たらないようにしてくれ。」
「うん、分かった。
我が敵を炎の力にて──、『フランマ』!」
エレアが魔術をドラゴンに向けて放った魔術は、ドラゴンの顔付近に直撃したが、全く効いていなかった。
ドラゴンはしばらく俺達のまるで出方を伺うように、俺達を睨みつけるだけだったが、エレアの放った魔術を受けると、空に向かってグオァァァと大きな声をあげた。
すると、ドラゴンの顔の周りの空中に小さな氷の塊が生成された。
「おい、なんだあれ!?」
「あれって⋯、どこかの噂で聞いたことあるような⋯。」
俺が戸惑っていると、兵士の一人がそう言った。
そう俺達が戸惑っていると、ドラゴンがもう一度大きな声を上げると、俺達に向かってその氷の塊が飛んできた。
「うわっ、こっちに飛んできたぞ!」
俺はそう言い、防護魔術にかけている魔力を最大限まで強めた。
俺達は驚いたが、氷の塊は全て、光の壁に当たり、地面に落ちた。
「ああ、びっくりしたね。」
エレアが安心したようにそう言った。
「ああ、防護魔術を覚えていてよかったよ。」
と、俺とエレアが安堵していると、さっきあの魔術を見て何か言っていた兵士が、
「思い出しました。あれはフリーズドラゴンというドラゴンです。確か、小さな氷塊なら自在に生成して攻撃することができるというドラゴンです。」
「え?つまりは詠唱無しであれを出せるということですか?」
俺が聞いた。
「ええ。うわさでしか聞いたことはないのですが⋯。確か、噂通りなら、フリーズドラゴンのお腹の中にはその氷塊を生成するための魔鉱石があるはずです。」
「そうですか。なるほど⋯。」
防護魔術であの氷塊は防げるのだが、ずっと防護魔術を発動し続けると、俺の魔力を大きく消費してしまうので、作戦は変更したほうが言いのかもしれないな。
「おいガイエル!ドラゴンのお腹のところにさっきの氷塊を生成するための魔鉱石があるらしい!そこを狙ってくれ!」
「でも、何か忘れているような⋯。」
「?」
兵士が何かつぶやいていたが、まあいいだろう。
俺はドラゴンの背後で頃合いを伺っているガイエルにそう大声で言った。
ガイエルは大きく頷いた。
「よし、じゃあエレア、さっきよりも強い魔術を頭部に撃ってくれ。あいつが魔術を対処している隙にガイエルに腹部を攻撃させるからな。」
「わかった。」
エレアはそう言い、また魔術を唱え始めた。
「───に火の力を示さん、『イグニス』!」
エレアが放った火魔術が、ドラゴンの頭部に当たり、大きく燃え上がった。しかし、ドラゴンにはほとんどダメージはないようだ。耐性か何かを持っているのだろう。
でも、魔術は気を引かせるための囮なので、ダメージはなくてもいい。
「今だガイエル、いけぇ!」
俺が大声で合図をした。
ガイエルがドラゴンの背後から大剣を構えて腹部のところまで走り出した。
「ふんっ!」
ガイエルがドラゴンの腹部あたりに大剣を突き刺し、そのまま腹を切り下ろした。
血しぶきが傷口からでた。
『グオァァァァッ!』
ドラゴンは大きく叫び声をあげ、尻尾を振り回した。
「ガイエル、離れろ!」
俺がそう叫んだ。ガイエルは急いで、こっちに走ってきたが、
「危ない!」
エレアが叫んだ。ガイエルにドラゴンの尻尾が飛んできた。
ガイエルは剣を構えて防御しようとしたが、衝撃で3メートルほど後ろにふっ飛ばされた。
「おい、大丈夫か?」
俺が言うと、ガイエルは頭から血を流していたが、起き上がった。そこまで大きな怪我はしていないようだ。
と、起き上がったガイエルが再びこっちに向かって走っていると、
「ねえ、あれは何?」
エレアがドラゴンを観てそう言った。
なんだと思い、ドラゴンを見てみると、そうドラゴンの頭部が怪しく光っていた。
「おい、なんだあれ?」
「あ、思い出しました!」
さっき何かをつぶやいていた兵士が言った。
「確か、フリーズドラゴンは自分の魔鉱石が傷つくと、その魔鉱石の効果はなくなり、氷塊を自在に生成することはできなくなりますが、魔鉱石の魔力を自分の力にすることができるというものです。」
「じゃあ、さっきガイエルが腹を刺したときに、魔鉱石が傷ついて、その魔力をあのフリーズドラゴンが吸収したってことですか?」
俺が聞いた。
「そうでしょうね。」
再びドラゴンを見てみると、全身が青白く光っていた。
「見たところ、ステータスがさっきよりも上がってますね⋯。」
兵士がそう言った。
まあ、やるしかないのだろうな。
「第2ラウンドってところか。やろうぜ。」
俺はみんなを見てそう言った。




