第17話 ドラゴン討伐の依頼
「ドラゴンの⋯討伐⋯?」
俺はいきなりのことで訳がわからず聞いてきた。
「ええ、そうです。この街の近くに最近巣食うようになり、いつ街に危害を加えてもおかしくないのです。
いきなりドラゴンの討伐を依頼するなんて、確かに無茶な依頼かもしれません。ですが、貴方がたほどのお力があれば、あのドラゴンも倒すことができると思います。」
「そのドラゴンはそんなに強いんですか?」
「ええ、これまで何度か私の部下の兵士達が秘密裏にドラゴンを倒しに行ったのですが、半数が死にました。」
その兵士が強いのかは知らないが、話を聞く限り、相当強いのだろう。
「秘密裏ってことは、街の人達は何も知らないんですか?」
「はい、街の人達が知ると騒ぎが起きるでしょうから。この街に何か被害が出るようになるまではなるべく街の人には伝えない方針です。」
「そうですか⋯、少し考えさせてください。」
俺はそう言った。
話を聞く限り相当強いドラゴンの討伐の依頼なんて、そう簡単には頷けない。
「なあ、2人はどう思う?」
俺は2人に聞いた。
「私はその依頼受けたほうがいいと思う。そんなに強いドラゴンなら、私達が勝てるかは分からないけど私達が戦わないと。」
エレアが言った。エレアは依頼を受ける気なのか。
「ガイエルはどうだ?」
俺が聞くと、ガイエルは少し考えるような顔をして、
「⋯報酬はあるのか?」
と市長にポツリと聞いた。確かにまだそれは聞いていなかったな。図々しいから俺は後で聞くつもりだったのが⋯
「私が用意できるものならばなんなりとご用意いたしましょう。」
市長は目を閉じて少し悩み、俺達を見てそう言った。
「そうか⋯分かった。おい、ショータ、俺は受けたほうがいいと思うぞ。お前はどう思う?」
ガイエルも賛成か。多数決でいくと依頼を受けるほうになるが、これは多数決なんかで決めていいことじゃない。
「⋯俺は、正直ドラゴンなんて超怖いし、出来れば受けたくはないんだけどな⋯でも、報酬が出るならやってもいいかもな。」
俺はそう言った。報酬は用意できるものならなんでもと言われたし、それならやってもいいだろう。
がめついかもしれないが、俺はそんなにできた人間じゃないしな。
「よし、決まりのようだな。」
ガイエルがそう言うと、市長は顔をほころばせ、
「ありがとうございます。私達の部下がドラゴンの住処への案内はさせていただきます。」
市長はそう言った。
「いつごろに行くんですか?」
俺が聞いた。
「貴方がたの準備が終わってからで構いません。ですが、なるべく早めにお願い致します
。」
市長はそう答えた。
俺達は他に用事はないから、準備が終わったらすぐ出発はできる。
準備にはどのくらいかかるかな。
「じゃあ、明後日ここに来ます。」
俺はそう言った。
準備は明日だけで十分だろう。そんなに準備することもないしな。
「わかりました。早めに来てくださること、感謝しますぞ。」
市長はそう言い、頭を下げた。
「では、俺たちはこれで。」
俺はそう言い、席をたった。
「では、また明後日、よろしくお願いします。」
俺達が部屋をでている時、市長がまたお礼を言った。そんなに嬉しいのだろうか。
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「さて、どうしようか。」
宿の部屋に戻り、俺がポツリと言った。正直、さっき了承したのも、その場の空気に押されて了承したようなものだしな。
行きて帰れる保証もない。
「とりあえず、明日に向けて体力を温存しておいて、作戦でも考えておけばいいだろう。」
ガイエルがそう言った。それもそうだ。今日いろいろ動いて明日万全の状態で挑めないみたいなことになったら本末転倒だ。
「そうだな。今日は作戦でも立てて体力は温存しておこう。」
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夕方ぐらいまで3人で作戦を考え続けたが、大した作戦は浮かばなかった。
結局俺が防護魔術をずっと唱え続け、その中からエレアが魔術を放ってドラゴンの気を引き、その隙にガイエルが大剣でダメージを与えるという感じの作戦に決めた。
正直言って、成功するなんて思っていない。
俺の防護魔術がドラゴンの攻撃を防げるのかはわからない。そして、ガイエルの攻撃でも通用するのかわからない。すべてが未知数だ。
まあそりゃそうだ。俺達はそのドラゴンの戦い方も知らなければ、会ったこともないのだから。
でも、依頼を受けたのだから、今更「やっぱやめます」なんて言えない。やり遂げるしかない。
「ドラゴンのところへ向かうのは明後日だ。明日まで時間はある。今日無理に考える必要もないだろう。」
俺が一人でずっと悩んでいると、ガイエルがそう言った。エレアも心配そうに俺を見ていた。
「そうだな。今日は無理に考えずに、明日いろいろ考えよう。」




