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魔術師は強かった  作者: 中山おでん
第二章 アラストロ編
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第12話 間一髪



「僕は魔王様の直属の配下で、魔術担当だよ?詠唱ぐらいなくても、中位の魔術ぐらいまでなら撃てるよ。」



どうしよう。これはマズイな。フィリルに勝つ方法を考えるより、フィリルから逃げる方法を考えるほうがいいかもしれない。でも、逃げようとして背を向けたら無詠唱で魔術がとんでくるからな。

やっぱり逃げるという選択肢は消したほうがいいな。


「フハハハハ。どうしたの?僕の話を聞いて怖気づいたのかい?」

フィリルは


「おい、どうする?」

「もう、死ぬ気で戦うしかないだろう。」

ガイエルに聞くと、そう返ってきた。ガイエルにしては頼りない答えだな。でも、覚悟は決めないとだな。よし。


「⋯俺が正面から魔術を撃って気を引くから、エレアは回復を頼む。ガイエルは俺が気を引いているうちに後ろから回り込んであいつを倒してくれ。」

「ああ。」

「分かった。」


俺が小声で二人にそう言うと、二人は頷いた。


「よし、行くぞ!

 炎を司る神よ、その力ですべてを燃え上がらせん! 『インフェルノ』!」 


フィリルのいる場所に火柱が立った。よし、奴は『インフェルノ』を相殺できてないな。

中位や上位ぐらいの魔術だと、フィリルの無詠唱の魔術によって相殺されてしまうが、凰級の魔術ぐらいにもなると、さすがに中位の魔術じゃあ相殺できない。だから、炎属性の凰級『インフェルノ』をフィリルに浴びせて、そいつがそれの対処をしている隙に、ガイエルが後ろに回り込んで斬る、という算段だ。成功するかわからないが、無駄ではないだろう。


「チッ、めんどくさい。」


燃え上がル火柱の中で、そんな声が聞こえた。

俺はまた続けて、


「炎を司る神よ、その力ですべてを燃え上がらせん『インフェルノ』!」


またフィリルのいる場所に火柱が立った。


すると、さっきよりも大きな声で、


「小賢しいんだよこの野郎!」


という声が聞こえた。そして、


「『グラーシャン』」


という声が聞こえた。また天井の方から無数の氷柱が降ってきた。

俺はなんとか防御したが、

今度は無数の石の礫が正面から飛んできた。

水魔術の次は土魔術か⋯。

杖で防御しようとしたが、俺とエレアはそれを防御しきれなかった。

ただ石礫が飛んでくるだけなのだが、魔術のひとつなだけあって、礫のスピードは速く、さらにたくさん飛んでくるため、対処が難しい。盾のようなものがあれば簡単に防げるが、俺達は持っていない。


「ぐっ、痛ってえ。エレア、大丈夫か?」

俺は頭と胴体は防御したが、腕と足にたくさんの礫が当たったので、俺は立つことができず、その場で尻餅をついてしまった。骨も折れただろうが、エレアに回復魔術をかけてもらったら治るだろう。


エレアを見ると、エレアも尻餅をついていた。俺と同じように足と腕を怪我していた。


「エレア、今回復魔術を使えるか?」


俺がそう聞くと、コクっと頷いた。そして、

エレアがかけようと杖を俺に向けて、回復魔術わかけようとした時、


「本当に君達は小賢しいな。」


さっきの俺の撃った消えかかった『インフェルノ』の火柱から、フィリルがゆっくりと歩いて出てきた。その顔はさっきまでの余裕の表情ではなく、怒りの表情を見せていた。

フィリルはさっきよりも火傷の傷が増えていた。結構ダメージは与えたのだろう。でも、今の声を聞く限り、まだ全然大丈夫なのだろう。


「君達は本当に鬱陶しいな。さっさとやられればいいのに、無駄に抵抗してさ、でも、もう終わらせてあげるよ。」


フィリルはそう言うと、俺とエレアに手を向けて⋯、


「⋯うん?一人いないな。さっきの戦士はどこに行った?」


フィリルがガイエルがいないことに気がついた。

でも、気づくのが遅かったな。



「お前の後ろにいる。」



ガイエルがフィリルの後ろに回り込んでいた。よし、作戦は成功だな。


「なんだと!?」


フィリルがそう大声で言い、振り向くと、


「ふんっ!」


ガイエルがフィリルに大剣を振り下ろした。

ガン!と鈍い音がした。体を斬った音とは思えない音だ。

剣はフィリルの胸のあたりを斬った。しかし、深い傷は入ったが、完全に斬ることはできなかった。

ガイエルは、その衝撃が腕に伝わったのか、剣を床に落として、苦しそうな表情をしていた。

しかし、フィリルの傷からは血がだくだくと出てきた。効果は大アリだったな。


「クソッ、もう一人をなんで見落としてたんだよ。」


フィリルは地面に膝をついてそう嘆いていた。


ふと、倒れている冒険者達を見てみると、魔法陣は消えていた。フィリルが怪我をしたから、それによって魔法陣の魔力が弱まってから消えたのかもしれない。

フィリルもそれに気づいたのか、


「クッ、どうやら魔法陣も消えたようだな。今の俺じゃあ、あの魔法陣をもう一度発動させる魔力はない。全部君たちのせいだよ。でも、これで計画が失敗したわけじゃない。勝ったとは思わないことだね。」


今はフィリルにとどめを刺すチャンスなのかもしれないが、3人ともケガをしていてその体力は残っていない。


「覚えていろよ。」


そう言うと、手を上にかざして、何かを口ずさんだ。

すると、フィリルはフッと消えた。


「あっ⋯、逃がしたか。まあ倒す気力もなかったし別にいいけど。」

俺がそう言うと、

「全員生きているならそれでいいだろう。俺たちの勝ちだ。」


ガイエルがそう言った。


「あの冒険者達を連れて戻ろう。」


エレアがそう言って、俺達に回復魔術をかけた。


「そうだな、俺たちの勝ちだな。」

俺はそう言った。





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