第11話 対フィリル
「では、魔王が配下五人衆が一人、魔術担当、フィリル・ベレーゲン、いざ参らん!」
フィリルとの戦闘が始まった。
「ショータ!一番威力の高い魔術を撃て!」
ガイエルが叫び、前に出た。
「おう!」
俺の中で一番威力の高い魔術、凰級魔術を撃つ。俺はまだ凰級魔術を使ったことはない。だが、炎属性魔術の凰級なら、詠唱は昨日のうちに覚えている。少しギャンブルにはなるが、試してみるしかない。
「いいねぇ。楽しみだし、待ってあげるよ。君の魔術がどのくらいなのか僕が採点してあげるよ。」
フィリルはそう言った。
「そう言ったことを後悔させてやる!」
俺が大声で言った。
「面白い。ぜひ僕を楽しませてくれ。」
「すぅ〜っ、⋯はぁ〜、よし、」
杖を両手で持ち、深呼吸をした。
そして、フィリルに杖の先を向けた。
唱えるのは炎属性の凰級魔術『インフェルノ』標的のところで火柱を起こす魔術だ。火柱の範囲は狭いが、威力は凰級魔術なだけあって、非常に高い。
「炎を司る神よ!その力ですべてを燃え上がらせん!」
「おお、凰級魔術か、もしかして、君はなかなか強い魔術師なのか?」
フィリルはそう言ったが、俺は無視して、
「『インフェルノ』!」
魔術を唱えた。その瞬間に、フィリルのいるところで大きな火柱が立った。
その火柱は、数十秒ほど燃え続けた。
「どう?やった?」
⋯あ、やばい。
「おいエレア⋯、それはフラグだぞ。」
「?、フラグって?」
「いや、なんでもない。」
エレアがいらんことを言ってしまった。そんな事を言ったら、絶対フラグになってしまう。
そう思い、焦っていると、
「ふはははは、すごい威力じゃないか。これが凰級魔術だなんて、僕は驚いたよ。」
少し消えかかった炎の中から、声が聞こえた。
やっぱりだ。さっきエレアがあんな事を言ったせいだ。うん、きっとそうだ。それに違いないな。うん。
しばらくすると、炎の中からフィリルが出てきた。服には傷があまりなかった。何か耐性でも付いているのだろう。フィリル自身も、傷はあったが、さっきの声からすると、あまりダメージは与えていなさそうだ。さすが、魔王直属の配下ってところだな。
そんな事を考えていると、
「おい、そこの魔術師の男、名前はなんというんだ?」
フィリルがそんなことを俺に聞いてきた。
「俺か?俺は、ショータだ。中谷翔太。」
「ナカタニショータ?変な名前だな。まあいい、お前のさっきの魔術、僕は驚いたぞ。凰級魔術なのに、お前の魔術は他の魔術師が撃つものよりも威力が格段に高い。僕も少しマズいかもなって思っちゃったよ。まあ、見ての通り、ほとんどケガはしていないけどね。」
そいつは、俺の名前を聞くと、平然と話しだした。やっぱり、ダメージはほとんど与えていないな。
「じゃあ、今度は僕からもいくよ。存分にかかってきなよ。」
そう言うと、フィリルは詠唱を始めた。
「氷の神よ、その力を天より知らしめん⋯」
あの詠唱は、は水魔術の上位か。確か、空から氷柱が降ってくる魔術だ。マズい。
「エレア!ガイエル!空から氷柱が降ってくるぞ!防御するか炎魔術で相殺しろ!」
俺はそう叫んだ。
「『グラーシャン』!」
フィリルは詠唱を終え、魔術を唱えた。
マズい。魔術の相殺は間に合わないかもな。
じゃあ、防御するしかない。
フィリルが魔術を唱えてすぐに、迷宮の天井から氷柱が降ってきた。
俺は杖と腕で防御した。腕は怪我しても回復魔術で治せるし、体に当たるよりマシだからな。他の2人を見ると、2人とも同じように、武器を使って防御していた。
しばらくすると、氷柱はやんだが、
「ほらほら、そんなに防御に徹してばっかりじゃあやられっぱなしだよ?」
フィリルかそう言ってきた。そして、また営業を始めた。
「氷の神よ、その力を天より知らしめん⋯」
魔術はさっきと同じ『グラーシャン』だな。
今度は対処できるぞ。
そう思い、
「二人とも、俺の近くに寄れ!!」
「わかった!」
「ああ。」
二人がこっちに走って向かってきた。
それと同時に、俺は早口で、
「その炎の力ですべてを焼き尽くさん⋯」
使うのは炎属性の中位魔術『アルデアート』
この魔術は広範囲を炎で燃やすという魔術だから、これで『グラーシャン』を相殺しようという算段だ。
「『グラーシャン』!」
フィリルが唱えるのと同時に、
「『アルデアート』!」
俺も天井に向かって唱えた。
氷柱と炎がぶつかり合い、どちらも消えてなくなった。
「水の力の恐ろしさを⋯」
フィリルがまた詠唱を始めた。
すると、
「うおおおお!」
ガイエルがフィリルに向かって剣を構え、走り出した。フィリルの詠唱はまだ終わっていない。となると、ガイエルがフィリルを攻撃するほうが早いはずだ。
「よし、いいぞガイエル!」
俺がそう叫んだ。
すると、フィリルは詠唱を中断し、にやりと笑い、
「『フルーエン』」
なんと、詠唱を中断したのに、魔術を撃った。放たれた水の玉は、ガイエルに直撃した。
ガイエルはその水の玉がに直撃し、後ろにふっ飛ばされた。
幸い、水属性の下位魔術だったので、大きなダメージにはならなかった。
「フフフ、僕を舐めてもらっちゃあ困るよ。」
フィリルがそう笑った。
「なんで?詠唱を中断したのに…?」
俺が聞くと、
「僕は魔王様の直属の配下で、魔術担当だよ?詠唱ぐらいなくても、中位の魔術ぐらいまでなら撃てるよ。」
つまりは無詠唱ってことか。
マズいな。どうしようか。




