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魔術師は強かった  作者: 中山おでん
第二章 アラストロ編
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第10話 魔王の配下との遭遇



「僕の名は、今は封印されし魔王の直属の配下五人衆の一人、フィリル・ベレーゲンさ」



「⋯魔王の配下五人衆?フィリル・ベレーゲン?」

目の前に現れた謎の人物が言ったことを、俺はまだ理解できずにいた。


「そうさ。君たちは知らないかもしれないが、君らが生まれるむかしむかしのその昔、魔王が君達を恐怖に陥れてたんだよね。で、その直属の配下が僕達さ。」


そいつはそう言った。だが、あまり話は頭に入ってこなかった。

フィリルと名乗る人物は、ベージュの髪は二の腕ぐらいまである。肌は紫色をしていて、茶色いポロシャツにスラックスという姿をしている。


身長は170センチぐらいだが、それ以上の威圧感を感じる。


「なぜ冒険者たちを魔法陣に捕らえているんだ?」

ガイエルが聞いた。


「なあに、簡単な話だよ。魔王様の復活のためさ。」


「魔王の復活のためだと!?」

俺は思わず大声を出してしまっていた。


「まあ落ち着け。せっかく僕が目的をわざわざ説明するんだから話を聞きたまえ。」


「⋯わかった。」

ここで取り乱したら向こうの思うツボな気がする。俺達は動揺しているが、向こうは落ち着いて淡々と喋っているからな。


「では説明してあげよう。魔王様の復活のためには、封印を解くための膨大な力が必要なんだよね。で、その力は人間たちから奪い取って、それを魔王様復活の糧にするって感じだよ。」


「冒険者から力を奪い取るだと?」


「ああ、どうやって奪い取るかは僕の口からは言えないが、力を奪い取って、そいつは無力化させ、奪い取った力は封印解除に使うって感じさ。」


「でもなんで、こんな迷宮にいるんだ?」

俺はそう聞いた。俺が向こう側の立場なら力を奪い取るならもっと効率よく奪い取ると思う。


「ここらへんは魔術が発達しているから、魔力の高い魔術師が多いからね。他のところよりも力を多く奪い取れるのさ。適当な噂を流しておけば、この迷宮に強い冒険者が集まるからね。僕らにとってはいい狩場だよ。」


「適当な噂って?」


「君らも聞かなかったかい?この迷宮に行った冒険者が行方不明になっているって。僕らがそういう噂を流し、そいつらの捜索に来た奴らを捕らえて力を奪うのさ。こうすれば、ただの噂だったものは本当のことになり、さらに多くの冒険者がこの迷宮にやってくる。僕はそいつらを捕らえて力を奪う、そんな感じだよ。街や外でやるよりも、バレずにできるから、誰にも悟られずに魔王様を復活させることができるのさ。」


こいつがこんなに卑劣なことを淡々と喋っているのを見ていると、怖くなってくる。下を見ると、俺の足は震えている。

エレアも怖がっていて、ガイエルも緊張の面持ちだ。


「ああ、喋りすぎてしまったかな。僕の悪い癖って言われてしまうけど、全然直せないんだよね。でも、君たちは聞いてしまった。じゃあ、生かして返すわけにはいけないよね。」

フィリルは少し笑いながら言った。


「⋯そいつらを解放することはできないのか?」

俺は一応聞いてみた。


「それは無理だよ。その顔だと僕の回答は分かりきってたみたいだけどね。」


わかりきったことだ。どうにかするしかないな。でも、どうする?

「⋯おい、ガイエル、どうする?」

俺はガイエルに小声で聞いた。

「俺が引きつける。そのうちにお前たちは逃げろ。」

「それは無理だ。俺達は仲間だからな。」

俺がそう言うと、ガイエルは少し笑い、

「じゃあしょうがない、お前は一番威力の高い魔術をあいつに向かってどんどん撃て。お前たちは魔力が高いからそうそう魔力切れも起こさんだろう。お前たちの守りは俺がやる。」

「ああ、わかった。エレアもそれでいいか?」

「うん、わかったよ。私はなるべく二人の回復をするから。」

「おう、任せたぜ。」


「おいおい、君達、何をコソコソと話しているんだ?逃げる算段でもしているのか?それならあきらめたほうがいいよ。僕からは逃げられないからね。」

フィリルはそう言った。あんな威圧感のあるやつと戦うと考えると、さっきよりも足の震えがひどくなる。


「おいおい、君達足が震えているようだけど大丈夫かい?そんなんじゃあまともに逃げられないよ?」

フィリルは鼻で笑いながら言ってきた。


「いや、俺たちは逃げねえよ。お前と戦ってやるよ。」


「おお、いい度胸じゃないか。君らはこれまでここで捕まえた冒険者よりもちょっとは面白い戦いができるかもしれない。期待しておくよ。」


「よし、さっきの作戦通りに行くぞ!」

「うん。」

「ああ。」


「ああ、さっきは僕との戦いの作戦をたてていたのか。なるほど、どんどん楽しみになってきたよ。せいぜい、僕をゲンナリさせないでくれよ。」


フィリルはそう言うと、すこし表情を変えた。さっきまではすこし笑ったような表情だったが、真顔になった。空気がピリピリするような気がする。さっきより威圧感も増した。


「では、魔王が配下五人衆が一人、魔術担当、フィリル・ベレーゲン、いざ参らん!」

フィリルはそう言った。


魔王の配下との戦いが始まった。

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