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【幕間】謎の老人。

日本昔話モノとかでありがちな表現である「おばあさんは川へ洗濯へ行きました。」


いや、ちがうわ。これ桃太郎だけだ。


現実(元いた世界ってことにしておこう)ではほぼ、いや、絶対にやったことがある人はいないだろう。


おばあさん∩(かつ)川∩(さらにかつ)洗濯板=ありえない なんてことは誰が考えても分かる。


せいぜい水道から水を出して洗濯板で取れないシミを取るとか、アナログな段階でもそれくらいだと俺は思っている。


…田舎の方だと意外と川洗濯ってあったりすんのかな?


まあとにかく俺は洗濯板で川で服を洗ったことがない。


それにそんなBBAも知らないし洗濯板を使ったことはない。

おふくろとマインファーテー(魔王風)、俺は今、極限までアナログな洗濯をしています。




ここはラクリマの村の近くの川。あまり晴れがなくどんよりとしているラクリマの地だが、

今日はド晴れ...ってわけじゃなく普通に雲多めの晴れ。


しかしいつもの天気よりも遥かにマシである。



ラクリマの村に来てからかなり経つ。


ダンジョン攻略の一軒から、俺らはかなり金に余裕ができた。ゴールドリザードの鱗は大金になった。


それ以来俺とフロスはかなりの高級?宿屋の端の一室に一生住んでいる。


にしてもこんなに金があっても正直うーんって感じだ。いきなり破産したりしないように

巧妙に隠しておこう。


服を俺とフロスは数着買った。


それで今俺が洗っているのはフロスのフードつきのコートと俺が前の世界から持ってきたジーパンとシャツ。


アンデッドやらスライムやらの液体が付着してしまっている。


それを俺は桃太郎のおばあさんがしているように顔をしわがれさせながら洗濯板に衣類をこすりつけてるナウ。



桃太郎って卵生なのか?胎生なのか?


何者かが産んで後から桃に入れたとしたらそれは卵生だ。しかし桃自体にはじめから入っていたなら卵...生...?あれは殻なのか。


しかし。


もしも胎生であるとしたら、桃をカットしてないといれることはできない。

あとから入れなくてはならないからな。


ところでフロスはどっちなんだ。


一般的には龍なんかは卵生で爬虫類なイメージがある。

しかしフロスは人型。


どちらの特徴を持って生まれたのはどうなるのだろう。


気になって夜しか寝られねぇ。



ちなみにその本人は隣で寝息を立てながら日光浴をして寝ている。


昼下がりでお腹いっぱいに飯を食っていたからだろう。

その時が一番眠くなる。


こういう寝姿を見るとやはり世界が憎らしくなる。

他人との関わりや友達がいると有利な世界。

友達作り、関係が苦手な人が不利な世界。

まあ、俺がそういう性格に生まれたせいでもあるのだが。

フロスをこんな境遇に生んだ世界。これはどうしようもない。


自分が変わっても、世界は変わらない。


俺は新しい世界での生活。フロスは友だちがいる世界での生活。


パートナーだ。俺達は。


そんな事を考えていたら、



ザッパァァアアアッ



川の真ん中からいきなり水しぶきが立ち込み



ガォォァァァァ!!!


水から大きな、龍?蛇?が飛び出した。


頭が二又だ。ヤマタノオロチの2つver.


「はっ!?何だあれ!!」


「今回もやってきたか」

「あれはミドガルズオルム、別名ヨルムンガンド。」


「いやあんた誰」


となりで釣りをしていた壮年〜老年の真ん中あたりのじいさん。

と思われる姿。(ハンチング帽を被っている)それがいきなり立ち上がって話し始めた。


「フッ、ただの釣人(狩人)さ。」


そして手に持った杖の持ち主を引き抜き、刃が出てくる。


おいおい仕込み杖かよっ!?


「へびがりのじかん。」


そしていつの間にか起きていた戦闘民族フロスさん。


彼女も参戦していた。


「...」


「...サモン・アンデッド。」


俺はシルバーリザードを三体召喚する。そのうち一体は戦闘させて二体は俺の守護をさせている。

ちなみにゴールドリザードはレベルが足りずにアンデッド化できなかった。

そして俺は洗濯を続けた。


あの老人は仕込み杖を使って戦っている。

なかなかの腕前に見える。




「〈鎌鼬かまいたち〉。」


老人の体が強風により浮遊し始める。


「いつぶりだろうな?」

「行くぞっ大蛇!!」


老人は空中で大蛇の頭に接近し、斬撃を仕掛ける。

大蛇は怯むが、


口を大きく開き、そのまま老人を喰おうと、噛みついてくる。


それを老人は


「風よ吹け。」


と言うと暴風が大蛇を襲い、よろけさせる。



一方フロスはシンプルなフィジカルで大蛇の頭に組み付き、殴ったり締めたりしている。


「ばんごはんに、する。」


蛇肉なんて食うか。



「お嬢ちゃんやるね。」

「僕も負けていられないよ。」


そして老人は地面に足をつけ、納刀する。


居合だろうか。


「〈鎌鼬かまいたち〉秘剣、『小さな夜』」


っ!!?


姿勢よくまっすぐ立ち、

静かに杖を抜く。


すると老人は一瞬で対岸の大蛇の後ろに回り込み


そして、


───カチン。


と音を立てて納刀する。


すると多数の斬撃が大蛇を襲うのと同時に周りは満月の夜になる。


一瞬のことで動揺する。


「まだ終わらないよ。」


そして老人はさらに追撃をする。


そして一閃。


大蛇の首を落としてしまった。


それが落ちると、辺りの景色はゆっくりと崩れ落ち、またさっきの昼に戻った。


───戦闘後。


「お嬢ちゃんやるじゃないか。」


「そっちも。」


「僕は前回は首を三本のうち二本落としそこねたからねぇ。」


こいつ一本落としたのかよ。


俺はギョッとする。


そして老人はハンチング帽をゆっくりと下げ、顔を出す。


「ああっ!!??」


すると浴場で会った老人が出てきた。


いや、何者なんだよこいつは。



「小さな夜、小夜さよ...」


「?、何か言ったか?」


「いいや。何も言ってないよ。」



そして、風が泣いている。


この老人は一体誰何でしょうね。

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