花
といっても今の俺の状況を整理すると、
丸腰、服は元の世界のまま、場所がどこかわからない、人とすら出会ってない、よくわからん墓石のとなり、雰囲気的にはダークファンタジーに近い、金...財布の中は468円。
んんんんんんんんんんんんんんん
どうしようもねぇ。
───ガサッ
っ!
人影が視界の遠くにちらつく。
「ああ、よかったこんなところでも人が」
いるんだ。と言いかけたところで俺の口の動きが止まる。
なんだ。 あれは。
脳内にノイズが走ったように精神が汚染される。
・・
動くはずのないそれは動いていた。
もうすでに生命活動を停止したであろう肉の塊は生きようとしている。
ゴトリと音を鳴らして曲がらないはずの方向に曲がった首が視認できた。
身体のあちこちの皮膚や肉が削げ落ち、剥がれている。
そして
「...あっ...」
──────目があってしまった。
「っァァァァァァァアアアアアアアアアアアア」
思わずその姿に絶叫する。
亜んナ」乃にずッ斗見らレて板ら。俺ㇵアタま御かシ苦ナっち摩ウ。
ふざけている場合じゃない。
一歩。また一歩。怪物は近づいてくる。内蔵をぐちゃぐちゃと揺らし、得体のしれない体液を垂れ流したまま。
自らが避けようのない窮状に陥っていることを再認識し、俺は駆け出していた。
「...っはっ...はっ...はっ...」
息が切れる、握った拳の指先がジンジンずる、呼吸器が悲鳴を上げる。
大学に入ってから体育の授業がなくなった弊害が今出るとは思わなんだ。
そしてふと
ドサッ────
「うぐっ...」
せり出した木の根に引っかかり、足がもつれた。
その拍子に俺の身体は地面に引っ張られ、痛みを伴い打ち付けられる。
足首をひねり動けないところにあの怪物が近づいてくる。
「来んなっ...来るなよっ...!!」
俺と化け物の距離が10数メートルに迫ったとき。
───タッタッタッ
何者かの走る音が聞こえた。
誰なのかはわからない。
違う化け物かそれとも動物か。
そんな事を考えた刹那。
ザシュッ
なにかが飛んできて目の前の化け物の首が飛んだ。
石...?石が怪物の頭部に命中した。
直前までつながっていたであろう身体は地に伏せ、アタマは俺の足元を転がって近寄る。
うわぁ...
その光景に吐き気を催しつつ、一体誰がこんなことをしたのか周りに目を向ける。
キョロキョロと見渡すと宗助の前方左側の高台にフード被った何者かが立っている。
きっとこいつが石を投擲したのであろう。
あの距離で首を落とすには相当な力が必要だ。
敵意はない様に見える。
「...」
ストッ─────────────────────
そいつは俺の前に飛び降り...て
無事である...
やはり異世界。身体能力もファンタジー。
「...あ、あの。...」
「...」
フードの人は何も喋らない。
「この辺の人ですか...?」
「...」
答えない。
そして突然目の前の人物はバサリと音を立てて着ていたフード付きのローブをとった。
すると中からは右の片方だけ角が生え、目のまなこは赤く、白髪で大きな尻尾をもった
14、5歳にみえる女の子が出てきた。
─────────────────────────────────────────────
さてヒロイン登場っと次回もみてねー