はじめてのだんじょん 1
「うん?」
集会所の依頼掲示板に大きく書かれた紙が一枚。
【大募集!】『ラクリマの村近くのダンジョン攻略!!奥のボスを倒した人には大量の報酬金が与えられます!!』
ダンジョン...
てことはおそらく大量の敵がいるはずだ。
…
そうだな、これは新武器たちを試すチャンス。それに金も稼げる。
エンチャントダガーとネクロマンサーの杖。
鎧穿ちはここぞというときに使おう。
俺は椅子に腰掛けて飯を貪っているフロスに声を掛ける。
「フロス、ダンジョンに行こう。」
「んくっ...だんじょん...?」
フロスは水を飲み、言う。
「ダンジョンていうのは敵の巣窟で、だいたい洞窟とか地下遺跡とかなんだ。」
「だから敵を沢山倒したらまたお金もらえるぞ。」
「いく。」
即答。
「受付嬢さん。ダンジョンに行きたいんだが。」
「おや、ダンジョンに挑まれますか」
「ダンジョンは危険が沢山あります。なので準備をきちんとして挑んでくださいっ。」
それに関しては問題ない。
回復アイテムはあるし、いざとなれば閃光弾がある。
「ええ。問題ありません。」
「では村から北東に向かってください」
「そこに地下遺跡があるはずです。」
受付嬢はまるでギャルのようにピースをし、ニッと笑った。
というわけでひょんなことから俺達はダンジョンに向かうことになった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
徒歩で歩いて村から20分。
「これかぁ...」
地図に示された場所に行くと、石でできた地下への階段があった。
俺はフロスと一緒に階段を降り始める。すると
ぎゅっ
フロスが俺に抱きついた。
「どうした。」
「...くらい...こわい....。」
おい嘘だろ。
「いやいや俺に抱きついても、お前のほうが強いんだから。」
「...」
何も返さない。
なんで自分より弱いやつに抱きつくんですかね。
…盾?
「フロス、離して...?」
「や。」
「離さないと奥においてくよ」
と意地の悪い事をいうと、
むぎゅぅぅうう
「...むぅ」
さらに抱きつく力が強まり
尻尾も腹にシュルシュルと巻き付いた。
逆効果だったらしい。
「わかったわかった置いてかないしちゃんといるから。」
すると尻尾と腕が離れた。
「俺達、『仲間』だもんな。」
…
………
「は?」
「仲間だもんな。」といった五秒後、階段の先に扉があった。
しかしその扉は固く閉ざされて開かない。
「ダンジョンはじまんねぇじゃん。」
すると突然フロスが上方へ腕を振りかざし、
───ブォッ
ドガアアアァァァァ!!
思いっきり扉に向けて振り抜いた。
しかしその拳は扉に届くことはなく、なにか薄い光の膜、しかしとてつもなく硬いであろう
所謂「結界」のようなものによってフロスの拳は阻まれた。
「...かたい。」
こんなのを張るってことはおそらく中にはなにかがあることは確定。
「どうやら何か条件があるらしいな。」
となると入るには何かをする、もしくは何かになる必要がありそうだ。
俺がそんな考察をしていると、文字が結界の表面に浮かび上がってきた。
「四つの柱を」
「亀は北、龍は東、虎は西、鳥は南に向かわん。」
「?なんだ?これ。」
俺とフロスは二人して首を傾げる。
周りを見渡すが、そのような動物は見られない。
おまけに柱というのは全くなんのことか理解できない。
「動物を連れてこいってことか?」
生憎だがペットの趣味はないし、そんな虎とか龍とか物騒な動物は飼わな...
俺はふと横を見る。
フロスはキョトンとしてこちらを見る。
「...?」
龍。
龍いるじゃん。
「フロス、その、こっち向いて。」
俺は東方向を地図から割り出し、東を指さした。
「わかった。」
フロスはそっちを向く。
……
しかし結界は何も起こらず。
「うぅん。ダメ押しじゃだめだよな。」
だってだめって入ってるしね。「だめ」押し。
あのさ、羽村宗助くん。
ところどころクソみたいなギャグを挟んでくるのやめようか。
…すまない。
「なんだ?あの掲示板は嘘だったのか?」
俺とフロスは降りてきた階段を登っている。
「...うそ...かも。」
フロスさえ言い出した。
「しかし集会所の掲示板に詐欺だとかイタズラってあるのかな。」
うーんと俺は頭を悩ませる。
そして入り方だとかを試行錯誤しているうちに光が見えてきた。
最初の入口である。
結局何も得ず。か。
だーれにもないしょでだんじょん。




