ラクリマの村を歩く 3
はたまた移動して今度は魔法具店前。
なんか雰囲気が薄暗いし中から紫っぽい光が漏れ出している。
雰囲気いいな。
ガチャ
扉を開く。
俺は中に入り、店内を見る。
中にはTHE 薬品 THE 魔法媒体といったものが並んでいる。
ついさっきの加工屋と比べ、こっちは正真正銘見たことのない光景だった。
いいや、正確に言うとこういう雰囲気は見たことはある。
なぜなら俺はこっち系のゲームをプレイしたことがあるからな。
しかし現物で薬品の臭いや肌で感じる雰囲気は初めてである。
だからなんかソワソワしてしまう。
「おや?いらっしゃいませ」
「何がご入用ですか?」
ふむ、店主さんは案外(見た目は)普通の人だった。
ただ、目は紅色で、髪は薄ピンク色、どこか顔色が悪そうに見える。
口角は薄い三日月型でニヤついている。性別は男。
俺は持ってきたネクロマンサーの杖を取り出す。
「この杖について教えてほしいんだけど」
「おお、これはネクロマンサーの杖」
「久しぶりに見たなぁ」
「前にも見たこ」
「この湾曲具合、実に素晴らしい。」
「──これが────で───実に」
あぁなんか自分の世界に入ってしまっている。オタク気質とかコレクター気質に近い。
オタクくん特有の早口がはじまっていしまった。
「あ、あの...」
「む?おおすまない、完全にこの杖に夢中になってしまっていた。」
「この杖って魔術師の戦闘なんかに使えたりするんですか?」
「ふむ、今のままでは、無理だな」
「あぁやっぱそうなのか」
モンスターが使っていたものを人が使えるはずもない。
「そう。今のままでは、な。」
店主の男は意味有りげにつぶやいた。
「この杖を人が制御しきれるよう改造を施してやれば不可能じゃない。」
「ただしかしそれには時間が必要だ。」
「そいつをそのまま使ったらどうなるで?」
俺は疑問をこぼす。
「フッ、魔力を杖に吸いつくされ、朽ち果てる。」
なんでこいつこんな恐ろしいことをカッコつけていってんだ。
やっぱ異世界は倫理観死んでんだな。
「こいつを使えるようにするためには丸一日時間がいる。」
「さっきも言った通り、改造を施すんだ。」
丸一日かぁ。
「やっぱ値段は張りますよね」
「値段ねぇ。金貨1枚でどうだ?」
……え。
なんかやけに安い。そんなもんなのか?
「この杖をたんの...ゲフンゲフン」
「珍しいものには価値があるからなぁ。」
いやいや本音隠しきれてねえよ。
この男、丸一日とか言っておきながら、半日くらい頬ずりしかしてないんじゃないのか?
「...そぉんな目で私を見つめないでくれるかね?」
「値段が安いわけはただ素晴らしいものを堪能したいということ以外にもあるとも。」
「君の血をもらおうか。」
「───っ…?」
キモい趣味の重ね掛けだろうか。
「おいっいま失礼な事考えただろ。」
「こうみえて私は吸血鬼。夜を主に活動している種族だ。」
「あんた吸血鬼だったのか!?」
たしかにこの世界ならいかねない。いても不思議だとは思いはしない。
「そうだとも。今は数が減ってあまり見かけないがね。」
続けて吸血種は言う。
「だから代価は血をいただくとしよう。」
「安心しろ。吸い殺したり、眷属にしたりせん。」
目がギラギラしている...
少し抵抗がある。
「二言はないだろうな?」
「吸血鬼はこすい人種族なんかと違って契約を重んじるからな。」
「二言はない。」
「血をもらわなかったらいくらなんだ?」
「まあざっと金貨6000枚はくだらないな。」
「上乗せしまくってんじゃねぇええ!!」
「エェシテナイ、シテナイヨ?」
「こいつ...」
あからさまに嘘付いてるなぁ。
というかそんなに腹減ってんのかよ。
「まあいい。はやく終わらせてくれ。」
「ではいただこう」
俺は左手の袖をまくり上げる。
「えぇ首が良いぃ」
「文句言うな」
カプッ
「いっ...」
思っているほど別に痛みは感じない。吸血鬼の唾液には麻酔や、感覚麻痺の効果でもあるんだろうか。
「んっ...んっ...」
「プハ」
「なかなか美味である。」
舌をチラリとのぞかせて言う。
「では、もう少しもらうぞ。」
「ああっ。」
「んっ...んっ...」
「プハッ...ん。もったいない...」
吸血種は舌を使い俺の傷口を撫でた。
すると、刺さった傷がふさがった。
「これは...」
「回復魔法さ。」
誰が好きでいきなり吸血鬼×人のBLなんて見せられているんだろうか。
「しっかり頂いた。血液と金貨一枚。」
血を吸い取られ、若干貧血気味でふらつきながら俺は立つ。
脳に血が回ってねえ気がする。
「ならば明日また来たまえ。」
「...わかった。」
一気に二話投稿




