表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

鈍過ぎる婚約者を持つと大変です

作者: 下菊みこと

「君さぁ、いい加減にしなよ。ストーカーだよ、ストーカー」


「だって王太子殿下のお顔がいいんだもん!いつまででも見ていたい!」


「その内不敬罪とか言われかねないと思うけど」


「はうっ」


「自覚はあるようだね」


公爵家の嫡男フレデリクは、王太子殿下(女性)の熱烈なファンである婚約者エリアーヌに呆れた目を向けた。が、エリアーヌは気にも留めない。


「王太子殿下はそこらの男より男らしくて、でも時折見せる女性らしさがまた魅力的なの!」


「はいはい」


「文武両道で、剣や武術や教養でも男にも負けない!見た目も良い!男装の麗人最高!それなのに花を愛で、可愛いものが好きで、とっても良い!まさに理想の〝王子様〟!」


「わかったわかった」


フレデリクは熱く思いを語るエリアーヌを軽くあしらう。


「もう、なによー!ちゃんと聞いてよ!」


「好きな女が他の人にきゃーきゃー言ってるの、聞きたくない」


「…え?好きな女?…誰!?」


フレデリクはエリアーヌの鈍さにとうとうキレた。


「…お前、本当にバカだよね」


「え?フレデリク、なにしてるの?」


「好きな女を押し倒してるの」


いわゆる床ドン状態である。


「好きな女を…え!?」


「お前本当にバカ。鈍過ぎ。バカ」


「え?え!え、ごめん!」


「素直かよ。…え?変な意味でのごめんじゃないよね?鈍過ぎてごめんなさいだよね?僕を捨てる気じゃないよね?」


「違う違う違う、鈍過ぎてごめん!婚約も続けるし結婚するから変な誤解しないで!」


お互いだいぶ困惑する二人。


「えーっと、いつから好きになってくれてたの?」


「そんなの覚えてない」


「え」


「気が付いたらいつも隣にお前がいて、気が付いたらいつのまにかお前が好きだった。もしかしたら、会った時から好きなのかもな」


フレデリクの真っ直ぐな言葉にエリアーヌは不覚にもときめいた。


「なによ、そんな急に…しかもなんか、かっこいいじゃない」


「そう?お前のかっこいいの基準、おかしいよな」


「そんなことないもん!けどさ」


「ん?」


「私、フレデリクが婚約者で良かった」


調子の良いことを言うエリアーヌに、フレデリクは顔を真っ赤にして目をそらす。


「…こういう時ばかり可愛いこと言いやがって」


「えへへ。大好きだよ、フレデリク」


「僕だってエリアーヌを愛してるよ、バーカ」


この二人が将来おしどり夫婦として有名になるのは、今はまだ誰も知らない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] いやぁぁっ、なんかとてつもなくかわいい・・・ みことさんの短編は、凄くザクっとくるものと ほわほわあまいものとが アトランダムにやってくるなぁしてると勝手に思っておりまして、 今回のは予想…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ