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夢のご飯のお供パーティー

 また1週間が経った。先週の笹川さんの赤面が忘れられない。

 何とかもう一度話ができないだろうか。


 その日は午前中から笹川さんの様子をそわそわしながら見ていた。そして彼女がお昼に立ったのと同時に俺も席を立った。



 

「あの……笹川さん!」

「は、はい!」

 無理やり笹川さんを呼び止めてしまった。

「あの……先週なんだけど、定食屋で目が合った時に少し気まずそうな顔をしていたから気になって……。」

「あ……ああ、すみません。えっと、食べてるところ見られたかなって恥ずかしくなっちゃって……。」

「い、いえ、最後にチラッとしか見ていないです!」

「そ……うなんですね!すみません!」

「はい、大丈夫ですよ!」

「あ〜良かった、私、てっきり、ご飯を3杯おかわりしたところを見られたかと思っt……。」

 俺と笹川さんは同時に、あっ、という表情になった。

 笹川さんは顔を真っ赤にしてしまった。



 定食屋に着くまでの道で、笹川さんは色々なことを話してくれた。

 本当は大食いだけど以前の彼氏に指摘されてから小食を装うようになったこと。火曜日以外のランチは小食のふりをして女子社員と食べているけれど、火曜日だけは他の社員の目が届きにくい離れた定食屋で思う存分からあげ定食を食べるのが好きなこと。


「すみません、食事量がコンプレックスで、それで見られたと思って恥ずかしくなっちゃって、勝手に自爆して……お恥ずかしいです。」

 笹川さんの謝る姿は何とも健気だった。

「いいえ……!というか、こちらこそ謝らなければなりません。」

「どうしてですか?」

「実は俺、笹川さんの食べているところ、きちんと見ちゃっていました。」

「……え!?」

「実は3週間前も見ちゃっていました。その時の笹川さんの食べ方が何か気持ちよくて、俺は気に入っていました。……でも女性の食事をじいっと見るなんてマナー違反ですよね、すみません。」

「いや、それ、は、だいじょう、ぶ、ですけ、ど……。」

 笹川さんが苦笑いしていた。


 俺がきもいと思われることで、笹川さんの罪悪感を減らせたのならばこれでいいんだ。


 こんな会話をしていたら定食屋に着いてしまった。


 さて、今日は笹川さんはどのくらい食べるのだろうか。自分の好きなだけ食べてほしいが、大食いに罪悪感を抱くのもやめてほしい。どうすればいいだろうか……?



 その時、俺の頭にある考えがひらめいた。


「あの、笹川さん。これはただの提案なんですけど、」

「はい?」

「ご飯のお供パーティ、しませんか?」


 この定食屋ではプラス0〜30円ほどでたくさんご飯のお供(漬物、牛しぐれ、明太子、ツナ缶、生卵、鮭フレーク、とろろ、納豆、いくら、ねぎ、のり、などなど。)をつけることができる。


「ここのご飯のお供を、2人でいっぱい頼んで、シェアしませんか?」

 笹川さんの顔が輝いた。

「やってみたいです……!」



 そして、からあげ定食2つと、ご飯のお供をたっぷり注文した。

「すごい、からあげ・とろろ・明太子ご飯、やみつきになる……!」

「あまり食べたことなかったんですけど、牛しぐれ、最高ですね!ねぎ・生卵との相性も抜群!」

「鮭フレークといくらで親子丼作りました!当たり前だけど、すごく美味しい!」

「ツナ缶も載せてみませんか!?」


 背徳感にまみれた至福のひと時だった。

 最後に全部のせして食べた。味がケンカするかと思いきや、素晴らしく美味しくなった。


「ふ~……さすがに少したべすぎましたかね……。」

「でもすっごく美味しかったですね!」

「ですね!」

そう言うと2人で笑いあった。美味しいものをお腹いっぱい食べる。それだけでものすごく幸せな気持ちになれる。

 それとも、共犯者がいたからこそ、こんなに幸せな気持ちになれたのだろうか?


「あの……よろしければ来週の火曜も、ご一緒させていただけませんか?」

俺は少し勇気を出して誘ってみた。

「ええ!喜んで!」

笹川さんは満面の笑みで答えてくれた。




ちなみに、この日の午後、俺は糖質の取りすぎで眠くなってぼんやりしていた。

それに対して笹川さんはきびきびと働いていた。


※閲覧ありがとうございます!


以前の投稿へのアクセスもどうかよろしくお願いいたします!


「学歴だけは負けない俺が魔法の世界に転生すると」(とりあえず完結済)

https://ncode.syosetu.com/n7190ic/


「毎朝、新宿~四ッ谷間で乗り合わせる君へ」(短編)

https://ncode.syosetu.com/n1567ic/



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