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展開が遅くてすみません。一応6章まで考えていますので長い目でよろしくお願いします。
夏木がいなくなったことによって辺りには重い沈黙がしばらく流れる。
「・・・・・・・何よ、私に用って・・・」
意をけっし学に話しかける。
そうさ、どうせ謝るのは私なんだから、いつまでも黙っているわけにもいかないだろう。
そう思い話しかけたのだが次の瞬間、学からでた言葉は私としては予想外の言葉だった。
「・・・悪かったよ。朝のことは」
「えっ?」
「だから、朝のことはオレが悪かったよ、無神経なこと言って済まなかった」
学はそう綺麗に頭を下げてきた。
あまりのことに頭が混乱する。
(えっ、何この状況、私いま謝られてるの学に?・・・どうしようこんな時なんて言えば良かったんだっけ・・)
頭の中はどんどん白くなって何も考えれなくなる。対して学も言い馴れないことを言い恥ずかしいのか少し赤面している。
「毎朝起こしに来てくれていること本当に感謝してる。今度はもう由美の頼みを断ったりしない、だから虫がいいかもしれないけど、それで許してほしい」
学はさらに頭を低くする。
「うん、それはいいけど・・・」
いまだにこの光景を信じられない私は無意識にそう答えた。
「ほっ本当か?本当に許してくれるのか?」
「うん」
私が再びそう答えると学は、ほっとしたように笑い、ありがとうと、小さく言ってくれた。
そしてその後は、恥ずかしくなったのか一気に自分の席へ戻ってしまった。
私はそんな学をぼーっとしばらく眺めていた。
意外というかなんか拍子抜けだった。由美のことだからてっきり骨の二~三本は折れる勢いでぶん殴られるかと思っていたから、まさか二つ返事で許してもらえるとは。
だけどよくよく考えるとやっぱり変だ由美があんなにあっさりゆるしてくれるなんて。
何か良からぬことを企んでるんじゃないだろうか?・・・そう、疑ってしまう。
(あ~やっぱり、頼みを断らないなんて言わなければ良かったかな。)
今更ながらに後悔してしまう。
そんなことで、この後の授業もやはり、まったく身に入らず、午前中はあっというまに過ぎてしまった。
現在時刻は十二時半、生徒のほとんどは購買部へと姿を消し教室にはオレを含め十人ほどしか人は居ない。
うちの学校の購買部のパンは美味いらしくこの学校の生徒のほとんどが、その虜になっている。
ゆえにこの様に弁当派極端に少ない訳である。
まあ、オレのように料理が好きだから弁当にしているなんてヤツは他には居ないだろう。
そんなどうでもいい考えをめぐらせながら弁当の蓋を開ける。
弁当の中には主食の白米、メインのロールキャベツ、そしてそれに続き金平ゴボウ、玉子焼き、鯖の塩焼き、煮ぐいと、自分でも納得する作品が続く。
まあ、調子に乗ってこんなに作るからその代償として朝は、あんなに惨めなことになったんだが、それも良しとしよう、料理は手を抜くもんじゃないしな。
「学の弁当、相変わらず美味しそうだね」
「ああ、高校生でここまで作れる奴もそうはいないだろう」
と、明と純がオレの弁当を見ながらそんな感想を述べる。
この二人も数少ない弁当派だ、その縁か昼食はいつも一緒に食べている。
「そんなことねーよ。これくらい料理がちょっとできるヤツだったら当たり前だって。お前らだって二人とも一人暮らしなんだからこれくらいできるだろ」
「いやー、できてもしてもなかなかここまで作ろうとは思わないよ。ねえ、神矢」
「まったくだ、普通ロールキャベツなんぞ作らんぞ」
うんうんと首を振る二人。
「ったく、そんなんだから料理の腕が成長しねーんだよ!常に何か新もんに挑戦しないでどうすんだよ」
(自分で言って少し暑苦しい気もするが事実そのとうりだと思う。それは料理に限らず全てにおいて言えることだと思う)
「ふーん、じゃあ学はちゃんと自分と向き合って白井さんと仲直りできたの?」
明の言葉でいままで熱かった熱が一気に冷める。
「え?」「『え?』じゃなくて、結局どうなったのさ?白井さんに謝りに行ったとこまでは見たけど、許してもらえたの?」
「それは別に明にいうことじゃ・・・」
「あっ、そんな事言う?あれだけ後押ししてあげたのに」
「むっ、なんだ大西と白井はまたケンカしたのか?まったく高校生にもなってなにをやっているのか」
・・・やばい、純まで参加してきやがった。あんな恥ずかしいこと誰が報告できるかよ!!
「うっ、うるせーな。別にいいだろそんなことは!それより早く食おうぜ。ほら、旨みが落ちちまうから」
(あ~何を言ってるんだオレは。自分でも何を言ってんだか)
そんなオレの様子を純は呆れた顔で、明はクスクス笑いながら見ていた。




