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encounter  作者: RIO
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4-11

「何言ってるんだお前。そ、そんなわけ、そんなわけ、あるかー!!!いい加減なこと言うな!!!」

肩で息をするほど興奮しながら学は橋本を絶弾する。

そんな彼を見据える橋本は肩をすくめながらほくそ笑む。

「やれやれ、そう怒鳴らないでもらえるかな近所迷惑ですよ?ほらもしこれで誰かが不振がりでもしたら申し訳ないですがその人も巻き込むことになってしまいますからねぇ~」

「くっ!」

「まぁ、君が私のことを父親だと認めたくない気持ちも分かりますよぉ~けれど現実逃避はいただけませんねぇ~。真実から目をそらすなんて言う蛮行、私の息子として、いえ人間としてやってはならないことです。真実から目をそらすということは思考の放棄でもありますからね、人間に与えられた唯一の力思考を放棄するなど人間を放棄するのに等しいことなんですよぉ~。いくら死すべき存在である君でそこまで自らを悲観することは無いんだよぉ~」

「ほざけー!!!!!!」

由美の羽交い絞めを無理やり振りほどき瞬速で橋本まで詰め寄る学。

その顔にはすでに理性はなく本能の命ずるがまま橋本へと襲い掛かり、そのとんだ理性のせいでいつもなら気付けたであろうソイツの存在に気付くことが出来なかった。

ガッと足を何者かに蹴られた学はバランスを崩し勢いよく橋本の目の前の床へと倒れ落ちた。

「くっ!なんだいった、うっ!!」

そしてその何者かはすばやく倒れた学に詰め寄り両手を背中に回し締め上げ両ひざへその全体重を乗せた。

「なんだ一体?」

直ぐに抜け出そうと試みるが手は完全に固められ動けず、足の方もまったく力が入らず立てない。

どうやらぬけだすことは無理のようだった。

誰なのか視認しようと試みるが角度的にそれも無理、完全に手詰まりの状態だ。

そんな学に相手は気軽く口を開いてきた。


「やぁ、学。また会えたね」

そうまるでいつものように。

「くそ!偶然にしちゃ出来すぎだとは思ってたけど、やっぱりお前もグルだったのかよ、明ぁ!!!」

そう、そこにいたのは間違いなく月神明本人だった。

学や由美からはその顔は確認することは出来ないが、いまさら彼の声を間違えることは無い。

明が現れたことに動揺しながらも何とか抜け出そうともがく学だったがその気力はあまりに無力であり逃げ出すどころか羽虫程度にうごめくのが精いっぱいだった。


「さて、これで落ち着いて話が出来ますねぇ~」

「うぁー!!!どうして?どうしてなんだよぉー明ぁ!!!どうしてこんなヤツに手をかすんだ?コイツが一体何をしようとしてるのか分かってんのかよ!?コイツは自分の実験のためにこの町を滅ぼそうとしてるんだぞ、みんなが住むこの町を!!お前はそれが分かってるのか!!!!」

泣き叫ぶかのような学の訴え。

自分の友人である明が進んでこんなことをするはずがない、明はきっと橋本に騙されている。

なにか変な誤解をしてうえでこんなことをしているんだと、ならその誤解を解けば明はすぐにでも自分たちの味方になってくれる。

それは今までの絆を信じたからこその訴えであり、その訴えは明の、

「うん、もちろん全部分かってるよ学。そんなことは僕からすればどうでもいいんだ」

あまりにも淡白な答えに一蹴されてしまう。

「えっ?」

「学、僕はね、どうでもいいんだよ。この町のことも実験のことも君の命も等しく興味なんてないんだ」

「興味がないって・・・」

学と由美の顔には絶望の色が浮かびそれに反して橋本の顔は歓喜に満ちていく。

「そうじゃないね。興味がないんじゃない、興味を持てないんだそう命令されているからね。人の命に興味を持つなって」

「なんだよそれ、そんなわけのわからないこと!!」

「訳の分からないことじゃないさ学」

そう言うと明は自らの胸をはだけて見せた。

「な、なんだよそれ?」

学の目は驚愕に見開く。

それは、彼、月神明の胸には強化ガラスが割れたときのような蜘蛛の巣状の亀裂が広がっていたからだった。

「オイ、明ぁ。なんだよそれ?なんなんだよー!!!!」

学は半狂乱になりながらもその傷を見ていた。

亀裂の奥からは真っ赤な肉が見えていた、赤くそれでいて肉と呼ぶにはやけに固形じみた生を感じない体内。

学は以前由美が部長を務める美術部で見た彫刻を思い出していた、誰かのミスで床に落とされ割れた彫刻、その断面は一切の柔らかさも感じない荒々しい無機物そのものだった。

明の体内はそれにひどく酷似していた。

傷の方も変だった。

その痛々しい傷からも一切血が流れることは無くそれでいて傷が治りかけているという感じでもない、傷ついた時のままといった感じだ。

そもそもあんな傷、普通ならあり得ない一体どうしたらあんなことになるのだろうか?

「学、白井さん。僕はね君たちとは違うんだよ。人間じゃない、うんうん、それどころか生物ですらないただのモノ。主の手足となる操り人形、それが僕なんだよ」

明はそう自傷気味に語った。

「なんなんだ明。人形ってどうゆう意味なんだよ?まさかお前、橋本に弱みでも握られてるんじゃ」

「おっと、それは違いますよ学くん。大体弱みに付け込むなんてそんな卑劣なこと私にはとてもとても」

「くっ、よく言う」

「なら、操られてるのよ!アンタが明を操って、学を襲わせたんだ!!それなら今までの明の行動だっておかしくない。ねぇ、そうなんでしょ!」

割って入ってきた由美はそれ以外の答えなど認めないと言わんばかりの迫力で橋本に迫る。

それは明を思ってではなく、学をこれ以上傷つけさせない為からくる必死さだった。

だがそんな彼女をみて橋本は再び嘲り笑う。

「君は、学くんの恋人ですかねぇー。ふふ、いやぁーなかなか愉快な想像をするお嬢さんだ。学くんもこんなこと一緒なら毎日が楽しかったでしょう。ああ、これが思春期ならではの妄想力ってやつですかねぇ~。いやぁ~若いというのは実にいいものですねぇ~。ですが、あいにくながら私は何の変哲もないただの人間、超能力者ならいざ知らずそんな誰かを操るなんて私には不可能なんですよ」

自分の意見を真っ向から否定されたうえ妄想の産物だと論破された由美は恥ずかしさから真っ赤になる。

そんな由美の後方にいたセナが今度は橋本と相対する。

「なら、もし彼が人間じゃなかったらどうなんだ?」

「ほう?あなたは確かセナさんと申しましたっけ?それはどうゆうことでしょうか?」

「彼は言ったな、自分は人形だと。つまりはそうゆうことなんだろ。あの言葉は比喩でも何でもない彼の真実。ソイツの正体は人間じゃないドールだ」

「ふふ、ビンゴ!!です」

橋本がよだれが垂れるほど口をゆがませる。

「ドール?なんだよそれ?セナ、お前なにかしってるのか?なんなんだよドールって?」

「ドールそれは人間たちが私達に対抗する手段の一つとして作り上げた自立型傀儡人形。お前たちのいうロボット、アレに自らの意思を与えたものと思えばいいさ、主の命令には絶対服従、それでいて自らの判断であらゆることに対応する作られた偽の命、都合のいい道具、それがドール」

「明がそのドールだっていうのかよ。ふ、ふざけんなそんなわけない。だって明は・・・だいたい!何でそんな人形がオレ達と一緒に生活してたんだよ!今までずっと一緒に学校に通って遊んで!おかしいだろそんなの!!!!」

「それが彼の任務だったからですよぉ~。君の監視が私が彼に命じた指令の一つだったんですよぉ~」

「なんでそんなことさせたの?」

先ほどより学の方へと近づいた由美がそれを悟らせまいと話を続けさせる。

「なぜ?そんなものは当然でしょ。学くんは私の子であり何より大切な研究対象です。どのように成長しているのかを知るのは当たり前のことじゃないですかぁ~。まぁ、ですが学くんは見ての通り私に敵意をむき出しにしていますしぃ~、私とてこれでもほかの実験で忙しい身、そんな私にとって彼のような忠実な道具は実に都合が良かったんですよ。これが理由ですかねぇ~。どうです実際大したものだったでしょう彼の振る舞いは、ここまで性能のいい道具はなかなかありませんよ。いや私もいいものを手に入れた」

「なんだよ道具って、結局全部テメーのせいじゃねーか。テメーがそんな命令しなけりゃ明は!!」

「学くん彼はどうあがこうが所詮道具だ。人に使われて初めて存在意義があるんですよ。私は彼に生まれた意味と役割を与えてあげたこれも彼を思ってのことなんですよ」

橋本はそう悪びれる様子もなくまるでおちょくるように無精ひげを撫でながら微笑み語る。

「うぁー!!橋本ぉー!!!!!」

「なんで?なんでアンタはこんなことが出来るの?」

興奮する学のすぐ後ろまで近づいた由美が問いかける。

「うん?また君かい?部外者なのによく質問するねぇ~。いや、部外者だからこそかな?まぁ、なんにしてもこんな状況で私に話しかけることが出来るなんて実に肝が据わっている。君、面白そうだねぇ~」

「うっ」

体はあくまで動かさず目だけを由美の方へと流す橋本、その目は彼女を人間として見ていなかった。

まるで幼子が虫を嬲り殺す時のような命をもてあそぶとても純粋でそれでいてとても冷たい目。

「どうして貴男はこんなひどいことを。人の命よ!それをこんな風に、学だって貴男の話が本当なら息子なんですよ。どうして自分の子にこんなことが出来るんですか?」

「あぁ、まぁ当然の質問なのかな?私にはよく分からないけれどね。答えは簡単だよ白井さん。私は人の命より自身の研究、自分の興味の方を優先してしまう人間なんですよ。そのためなら私はどんな非情なことも行える要はそれだけですよ。たいそうな理由なんてありません。私はそうゆう人間なんです」

そう橋本は億目もなく答えた。


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