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朝からいろいろあったせいか午前中の授業はまったく身にはいらなかった。
教師の言葉はまるでどこぞの国の言葉に聞こえ、さっぱり解らない。
いつもならそのことで由美に注意されるのだが今日はそれはないようだ、なぜなら、話すどころかこちらを見ようともしないのだから。
(やっぱり朝のアレまだ怒っているよな・・・)
由美の怒りのせいか、それともオレの罪悪感からか、今日の教室の空気はやけに重く感じられる。
まるで手足に枷をはめられているようだ。
あまりの息苦しさに机に顔を伏せる。
「まったく見てられないね。そんなに落ち込むんなら何であんなこと言ったんだよ」
顔を上げると明が目の前に立っていた。
「うるせーな。アレは何ていうか言葉のあやだよ。なんかつい言っちまったんだよ」
「はぁー。学はいつも考えなしで行動するんだから、いくら白井さんでもあんな言い方されればそりゃ怒って、そのくらい学でも分ってただろ。もうちょっと言葉を選びなよ」
明はそう強くはないが鋭い言葉でオレを責めてくる。
むこうが正しいことを言ってるだけ反論できないオレとしては胸に針を刺されるように罪悪感がどんどん肥大化していく。
「お前にそんなこと言われなくたって自分が悪いくらい理解してるって」
とうとう明の責めに耐えられなくなり、そう呟いてしまった。
「そうさ、ちゃんと分っているさ、自分が悪いくらい、でもいつも口喧嘩してるだけあって、いざ本当に謝ろうと思ってもなかなか行きにくくてさ」
オレのその言葉を聴き明はクスと笑った。
「まったく学はいつも考えなしに動くくせにこんな時にかぎって変にかまえるんだから。なんてことないだろ、いつも学は自分の思うように動いてる、そして今は白井さんに対して悪いと思ってるんだろ、なら素直に謝ること、今更なにクヨクヨしてんのさ!」
ポンと明に背中を叩かれる。
なんでだろう?こんな何気ない行為なのにやけに心が軽くなった。
本当、人の心は妙にできている。
だけど今はその心に感謝すべきだろう、これでやっと決心がついた。
「そうだよな、なに今更クヨクヨしてんだオレは、まったく情けねぇ。こんな簡単なことを思い悩んでたなんて」
「まぁ学は変に心が弱い所があるからね、そう考えるとあそこで思い悩むのは学ぶらしいといえば学らしいか」
「お前オレを馬鹿にしてるのか?」
「さあ、どうでしょう」
(コイツやっぱり性格悪くねぇーか?)
明の笑顔がなんとなく邪悪な感じがする。
「白井さんに謝るんなら気おつけなよ、学は口下手なんだから変なこと言ってなぐられないように」
「へっ、そんときは骨でも拾ってくれよ」
「了解」
と笑顔で返事をする明
(コ、コイツ)
「ん?なに」
「いや、お前ってさ人の不幸とか喜ぶタイプだろ」
「え?そんなことないよ」と、ウソっぽい笑顔をみせる。
「本当かよ。まあいいや、じゃちょっくらしばかれてくるよ」
「フフ、気おつけて」
そうしてオレは由美のもとへ向かった。
感想ありがとうございました。
これを励みにこれからもがんばっていきたいと思います。




