2-20
-2日目-
セナと別れ、自宅についた頃には時刻はすでに零時を回っていた。
鍵が掛かっているといことは母さんはまだ帰ってきていないようだ。
あの人は習慣的に戸締りをしないからな。
「ふー」
今日1日の疲れを預けるかのようにソファーへと腰を下ろす。
朝から由美の奴に付き合わされたせいもありやけに疲れた、座っているだけで強い眠気に意識を奪われそうになる。
そういえば、セナの奴ちゃんと家に帰ったかな?
家まで送るって言ったのにアイツ断りやがって。
セナは注意力が甘いと思う、あれだけの美人なんだもう少し意識を持った方が良いのだと思うのだけど・・・。
まあ、そんなことオレが言っても仕方がないか。
にしても、あの時のセナの眼は何だったのだろう、あの時計塔を見つめる彼女はまるで何か獲物を見つけた蛇のようでひどく恐ろしく思えた。
そんなにもあの時計塔が珍しかったのだろうか?
それとも何か他に理由が?
あるとしたら何だ?
ピ―ンポーン
響くチャイム音、その音によって思考の海より現実へと引き戻される。
こんな時間に誰だろうか?
母さんならわざわざチャイムなんて鳴らすわけないし。
ピーンポーン
なお鳴り続けるチャイム。
うるさいな、一度鳴らせば分かるっていうのに!
そんな不快な思いをしつつドアを開く。
「はい、どなた・・・」
「どーも、久しぶりだね。学くん」
一瞬、眩暈にも似た錯覚を覚える。
前身の力が抜けるようなそんな気持ちの悪い感覚。
「なんで・・・なんで、アンタがここにいるんだ橋本!!」
「ふふ、相変わらず元気ですね、学くん。でも年上にはもう少し敬意を払った方が良いですよ」
「誰がお前なんか!それより答えろなぜここにお前がいるんだ」
「なぜも何も隣に引っ越してきたんですよ。これからは隣人同士仲良くしましょう大西学くん」
こちらへとさし延ばされる手、敵意などない友好のあいさつ、それを前にして学はただ、その場で立ちすくむしかなかった。
橋本計冶の襲来、それはまるで今までの終わりを告げるプロローグのようであった。




