2-19
ふと誰かに呼ばれた気がして空を見る。
さっきまで雨雲に覆われていた空はいつの間にか晴れ、月がのぞいている。
そのツキアカリの下彼女はオレを見ていた。
「なんだ、またこんな時間にうろついているのか大西」
「そうゆうお前こそ、女一人でこんな時間に危ないだろうが。なにか用でもあったのか、セナ?」
「ああ、お前に会いに来た」
だろうなと思う。
あの日、病院であって以来セナはことあるごとにオレに会いに来ている。
別にこれといった要件もなく単なる世間話をする程度ものだが、いったい目的はなんなんだろうか。
よっ、と言いながら今までいた非常階段からこちらに飛び降りてくるセナ、音もなく地上に着地し、怪我もないようだが見ているコッチはハラハラしてしまう。
「お前危ないだろうが!」
「怪我なんてないさ着地できる確信があったからな」
「だとしても!見ているコッチは心臓に悪いんだよ」
「ふ~ん、そう」
「・・・・」
「なんだ今度は急に黙り込んで、もしかして怒っているのか?」
「そんなんじゃねーよ」
ただ、人の心配を理解できないコイツは今まで誰かに心配してもらったことは無かったのだろうかと、そんなことを考えてしまっただけ。
「それより、こんな時間になんだってんだ!何かオレに用でもあったのか?」
「別に、ただ何となく」
セナの答えはやはり予想通りのモノだった。
「勘弁してくれよ。これでもオレも暇っていう訳じゃないんだぜ、話をするだけなら昼間でもいいだろ?」
「しかたないだろ、私昼は嫌いなんだ」
「なんで?」
「たぶんあの子がそうだから」
「だれだよ、あの子って」
「・・・・」
無言、答えたくないってことか。
コイツはどうやら都合が悪くなると黙る癖があるようだ、そうまでして言いたくないことなんだろうか?
「なあ、セナ」
オレが話を変えようとしたその時、陽気なメロディーが辺りを包んだ。
「なんだ?この音楽」
「ああ、セナは知らないのか。コレはこの町の中央にある時計塔の音だよ、ホラ」
そう言ってここからもかすかに見える時計塔を指差す。
「アレガ時計塔・・・」
「ああ、こんなへんぴな町にあるにしてはなかなかのもんだろ」
「そうだな確かにアレはスゴイ」
「!!」
そう言ったセナの顔は何故か今まで見たことのないくらい冷たい顔で微笑んでいた。




