2-18
懐かしい夢から目が覚め、初めに見えたのは白い天井。
最初、ここがどこなのか分からなかったけどすぐに自分があの爆発事件で入院している身であることを思い出す。
「うっ」
よほど長い間寝てたのだろう、体が重くダルイ。
気を抜けばまた眠ってしまいそうになる。
けど別にいいか、こんなところに居たら出来ることなんて数えるほどしかないんだから。
「はぁー」
「なんだ、ため息なんかして。らしくないな」
正直なところ、驚きはなかったんじゃないかと思う。
なんとなくそんな気がしてたんだ、彼がそばに居てくれてるような。
「おはよう、水希」
「うん、おはよう学君」
それは自分でもビックリするくらい自然な挨拶だった。
「来てたなら起こしてくれれば良かったのに。暇だったんじゃない?」
「別に。来たのは十分くらい前だし、さすがにケガ人を起こす気にはなれなかったしな。問題ないよ」
「そっちになくてもこっちにはあるっていうか・・・」
そもそも女の子の寝顔を見るのはどうなんだろう?
「うん?なんか言った」
「なんでもないよ」
学君はたんぶんこうゆう気持ち分からないと思う。
なんか鈍そうだし。
「そうか。まあ、でも元気そうでよかったよ。退院はいつごろになりそうなんだ?」
「うーん、どうだろう?頭の傷の方は出血の割には大したことなくて傷の方も残らなかったんだけど、コッチの方がどうもね・・・・」
視線の先にあるのは自分の足。
今だギブスでカチカチに固められ吊るされている。
その光景を見るたびにコレが自分の足だという事が少し信じられない。
「・・・ゴメン。あの時オレがあんな軽率な事をしなければ、コンなことには」
「そこまで。やめてよ、コレは学君のせいじゃない。それにあそこで何もしない学君なんてありえないでしょ。だからそんな苦しそうな顔しないで。正直なところそんな風にされる方がコッチとしては迷惑だから」
「ちっ、人が珍しく反省してるのによくもここまでズケズケ言うな。あーあ、そうですか。ならこのことに関してわもう謝んねーからな」
「うん、その方が私も楽でいいよ」
うん、その方が良い。
変に気遣いされて今の関係が壊れてしまう方がよっぽど嫌だから。
そんなことを水希が思う中、学は
「でもよ、けがの心配くらいはさせてくれよな」
と、決して聞こえないように呟いたのであった。
「えっ、なに?」
「なんでもない!!」
一段と大きな声をだし席から立ち上がる学。
「帰るの?」
「ああ、そろそろ母さんが帰ってくるからな。飯、作らないとウルセーんだよ」
「そっか、じゃあまた明日だね」
「ああ、また明日な!」
それは別れのあいさつではなく、明日会うための約束。
明日もちゃんとくる、そう言い大西学は部屋を出て行った。
何気ないことだけどそんな些細なことが今の志堂水希にとっては何よりの幸せだった。
そう、一年前のあの日から水希の幸せは学とともにあったのだから。
こんな風に学君が毎日来てくれるならこの生活も悪い気はしない。
そんな馬鹿なことを考えてしまう自分に水希はつい笑みを零してしまう。
「幸せだな私」
何気ない独り言、それに
「それは良かったじゃん」
なんてありえない返答が帰ってきた。
「っ!?」
未知なる者の存在に驚く水希だったが、彼女の思考はそこで途絶える。
急速に目の前が暗くなる。
変な薬でもかがされたのだろうか?
薄れゆく意識の中彼女は思う、この声どこかで聞いたことがあると・・・。




