2-16
「私は、・・・大西君みたいなちゃんとした理由なんてないよ。私はあの子が泣く姿を見たくなかっただけで。・・・ただ、それだけで」
「うん?どうゆうこと?」
「嫌なの、昔っから人が泣く姿を見るのが。私のせいで誰かが不幸になるなんて・・・」
「?別に志堂さんは関係ないだろ。考えすぎだって。・・・けどさ、今言ったのが本当ならもう答えはでてるじゃん!」
「えっ?」
「あの子を泣かしたくない。それが答えだろ?ならそれでいいじゃん!」
「で、でも!私・・あっ!」
ついつい異を唱えようとする私の口を大西君は私の頭を撫でることにより塞いでしまう。
大きくて男らしいゴツゴツした手。
こんな風に頭を撫でられたのはいつ以来だろうか、不器用だけど気持ちいい。
「まったく、そんな風に深く考えるなよ。難しいことじゃないさ。迷った時は自分の正しいと思うことをする。それでいいじゃん。少なくとも理紗ちゃんを助けようと思うことは間違っちゃいねーさ。ならそれでいいじゃんか。なぁ、志堂さん」
そう言いまた笑う大西君はやっぱり少し眩しくて心が揺れる。
何でだろう?
何で君はこんなに優しいの?
心が乱れる、けれどさっきまでの感覚とはまるで違う、なにか心地いい。
何なんだろうコレ?
「大西君、あの・・・」
フラフラと彼の方へと歩み寄る。
何故だか分からないけど今は酷く彼のそばに居たい。
そう思う自分がいる。
もっと近くでその存在を感じたい。
そんな感情に流されそうになる。
もしかして、私は彼のことが?
「おっ、雨もうやんだみてーだな」
そんな考さえも大西君の発言で横槍を入れられさえぎられてしまう。
むっ、なんて空気の読めない雨なんだろうか。
それとも神様のイジワル?
なによ、人がせっかく、せっかく・・・。
そこまで考えた時点で急な気恥ずかしさを覚えてしまい赤面しそうになる顔を叩くことで誤魔化す。
なんとも傍からみると奇怪な行動だろうか。
「あの、志堂さん。本当に大丈夫か?」
「えっ、あっ、うん!もう全然平気!!な、なんともないよ。・・・それよりゴメンね。変に気を使わしちゃって」
「別に、オレが話したくて話したことだからさ。志堂さんこそ変な気を使わないでくれよ」
「う、うん」
「よっしゃ!じゃこの話もここまで。暗くなるのはもうよそうぜ。それよか、雨もやんだし時間も時間だそろそろ帰ろうぜ」
「でも、リルのこと」
「たしかに心配だけど、もう十二時を回ってる。さすがに帰った方が良いだろ」
「それはそうだけど・・・・」
「それに帰りながらもちゃんと探すし、明日だってある。だから今日はここまでにしとこう。最近ここいらも物騒だしな」
恐らく大西君が言っているのは例のペット失踪事件の事だろう、確かにそんな異常な事態がこの町では起きている。
危険は意外と身近にあるものなのかもしれない。
「うん」
正直思うところはまだあったけど彼の言うことは正論だし、これ以上迷惑をかけるのも悪いとも思ったのでここはひとまず言う通りにし私たちはいったん帰ることにしたのであった。
恐らく次回で過去編終わります。
2章もそろそろ終盤なので頑張っていきます。




