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encounter  作者: RIO
29/59

2-12

私が大西君への思いをつのらせている間にいったい何があったのだろうか?

「やだ!!!」

理紗ちゃんの今まで聞いたことのないほど大きな声が耳に入ってきた。

「どうしたの!?」

あまりのことにこちらも大きな声がでてしまった。

見ると理紗ちゃんがあきらかに不満そうな顔で大西君のことを睨んでいる。

さっきまで互いに笑っていたのにいったい何があったというのだろうか?

「いや、それがさぁ」

ハハと苦笑しながら理由を話し出す大西君。

「ほら、もう暗いだろ?理紗ちゃんもいるし今日はここいらで帰っ続きは明日にしようって言ったら理紗ちゃんがさぁ」

「リサ、まだ大丈夫だもん!!」

大西君を睨みながら異議を唱える理紗ちゃん、なるほどそうゆうことか。

確かにこの状況で理紗ちゃんが帰るとは言う訳ないよね。

でも大西君の言うようにいつでも理紗ちゃんを連れまわすわけにもいかないし・・・。

う~ん、大西君はどう見ても説得は苦手そうね。

しょうがない、ここは私が・・・。

「ねぇ理紗ちゃん。理紗ちゃんがリルのことを心配する気持ちはお姉ちゃん達も分かっているつもりだよ。でもね理紗ちゃんがリルのことを心配するように理紗ちゃんのことを心配している人たちがいることも忘れないで」

その言葉に『あっ』っという表情になる理紗ちゃん。

その表情に少し微笑んでしまう。

「うん。周りの心配をすることはとても大切なこと、でもそれと同じくらい自分のことも大切にしなくちゃね。でも、それに気づけたなら大丈夫よ。そんな理紗ちゃんのことはちゃんと神様が見ているから」

「カミサマ?」

「そう、神様。神様は凄いんだよ、なんだってできる魔法の力を持っているんだから。そして神様は優しい子が大好きなの。だからこんなに優しい理紗ちゃんのことをほっとくはずがないよ!だからリルのこともきっと大丈夫」

言っていて心が揺れる。

「ホント?ホントにホント?」

理紗ちゃんの純粋な瞳、そのまなざしを見るたびに目を背けたくなる。

だって今、私が言ったことは何一つとして根拠がないんだから。

だけど・・・チラっと大西君の方を見る彼の優しい顔、その表情に少しだけ勇気を貰った気がした。

大丈夫、今ならきちんと言える。

「うん、約束する。絶対に見つけるからリルわ」

それで伝わったのだろうか?

理紗ちゃんは再び笑顔をみせてくれた。


約束は交わされた、もう私には責任がある。

けどなんでだろう?

不思議と嫌じゃない。

ホントおかしな話、この短期間に一体どういった心境の変化だろう。

でもこんな気持ちも悪くないかも、なんでかな今はそんな風に思えるんだ。

こんな私でもそんなこと思ってもいいのかな?

ねぇ、杏。




その後、理紗ちゃんを家まで送った私たちは再び町まで戻りリル探したのだが手がかりは一向に掴めないまま気づけば時刻は十時を回っていた。


「なぁ、志堂さんもそろそろ帰った方がよくねぇ?」

ちょうど町の中心に位置する時計塔の周りを探し終えたところで大西君がそう言ってきた。

彼がこんなことを言ってくるのは分かっていた。

けれど・・・

「大丈夫だよ、このくらいの時間ならまだ・・・」

「けどいつまでも女の子が夜の街にいるっていうのはどうにも・・・、それに志堂さんの家族だって」

「大丈夫、私一人暮らしだから」

「そうゆうことじゃ・・・」

大西君が困った表情をする。

この顔を見るのは今日でもう何回目だろうか?

意外と心配性なのかも。


「わかるよ大西君の言いたいことわ」

「だったら」

「けどもう少しだけ探させて!私どうしても見つけてあげたいのリルを!・・・約束したから」

「・・・・・」

無言で私を見る大西君。

な、なんかちょっと怖いな。

けどそんな時間も数秒、大西君は『ハァー』っと大きなため息をついたかと思うと、

「しょーがねぇーな、じゃあ、志堂さんはなるべく早く帰るようにしてくれよな。母さんには飯は自分で何とかしてくれって連絡しねーと」

なんてことを言い出した。

「えっ?大西君も手伝ってくれるの?」

「あたりまえ。そもそも志堂さんを巻き込んだのはオレだしそのオレが先に帰るわけにはいかないだろ?それに夜食の準備が終わったらまた探しに来ようと思ってたし」

「・・・・」

「どうかした?」

不思議そうにこちらを見る大西君。

けどそれはこちらも同じだ。

どうして彼はこんなに人のために動けるのだろう?

それがとても不思議に思えてそのことを聞こうとしたけど、

「なんでもないよ」

聞けなかった。

それを聞いても私には理解できない、そんな気がしたから。

そうして私たちはまた歩いていく夜の街をまさか三十分後にあんな事件がおきるとは知らずに。




ことの始まりは空から落ちてきた一滴の水だった。

ポツリと額にあたる冷たい感覚、それがなんなのかはすぐに分かった。

「雨?」

「えっ!」

私の言葉に大西君も空を見る。

「あっちゃ~、とうとう降ってきやがったか。まずいな志堂さん傘かなんか持ってる?」

その期待を裏切るように首を横に振る私。

「そっか、このままじゃまずいしどこか雨宿りできるところを探そう」

「うん!」

同時に走り出す私たち、雨は一秒ごとに強さを増していく。

このままじゃすぐにびしょ濡れだ。

っと、目の前に何か知らないけど大きな建物がある、あそこまで行けば。

「大西君、あそこの建物!あそこで雨宿りをしましょ!」

「えっ!?あそこ?でもあそこは・・・」

どうしたのだろう?

なんだかすごく動揺していていつもの彼らしくない。

でもあそこを逃したらびしょ濡れは決定。

悪いけど今は大西君の意見を聞いている暇はない。

「いいから早く!」

ガッと大西君の腕をつかむとそのまま一目散に建物の中に入る。

「ふー間一髪、あと少しでびしょ濡れだったね」

息を少し弾ませながら後ろの大西君に振り返る。

するとどうだろうか、なぜだかわからないが大西君は辺りをキョロキョロしながら凄く気まずそうな顔をしている。

「ど、どうしたの大西君!?」

そのただならない様子につい声をかけてしまったのが運のつき、私はこの数秒後に知らなくていい事実を知る羽目になるのだ。

「どうしたのって、志堂さんここどこだかわかってる?」

「?」

「ここ、ラブホなんだけど」

しゅんかん全ての思考回路がフリーズした。

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