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私の人生には常に孤独が付きまとっていた。
常に一人、誰もいない独りっきり。
けれど構わないこれは私が望んだこと、私ができる唯一の贖罪なのだから・・・。
ある時母に言われた、
『お前は要らない』と
『お前がいたらあの子のことを思い出すからお前のせいで死んだ杏のことを』
母は泣きながら語る。
私はその時悲しくて何も言えなかった、いらないと言われたからではない、涙を流す母の姿を見るのが何よりも悲しく私は言葉を失ったのだ。
殴られた、蹴られた、踏みにじられた、母の暴力は日に日にその激しさを増していく。
ひどいときは歯が折れたこともあった、でも仕方がないことだこれは当然の報い、こんなことで私の罪が消えるならそれで良かった。
杏、私の妹。
十二年前のあの日までいた私のただ一人の妹だった。
仲は良かったのは覚えている。
一緒に遊び、同じものを見て育ってきた。
これからも一緒だと思っていた。
この時間は永遠なんだと。
それは本当に純粋な願い・・・。
けれどその願いはいとも簡単に打ち砕かれたほかでもない私自身の手によって。
ほんのおふざけのつもりだった。
ただ少し驚かしてやろうと思っただけ、本当にそれだけだったのに・・・。
階段で杏を押した。
もちろん落とす気なんてさらさらない、すぐに引き上げるつもりだった。
けれど当時五歳だった私の非力な腕力では杏を引き上げることは叶わず、結果として杏は首の骨を折って死んでしまった。
事件は事故として扱われたがあれは事故なんかじゃない、私が押した、私が殺してしまった。
たった一人の妹だっのに、誰よりも大切な存在だったのに私が、私がこの手で殺してしまった・・。
だから、これが事故であっていいはずがない。
私がのうのうと生きてていいわけがないんだ!!
今、新しく心から願う、
『誰か私を裁いて』と
だから、母が私に手をあげてくれた時はうれしかった、願いが通じたと、これでやっと私も救われるんだと思った。
なのにあの日母は、私に包丁を持たせそのまま自らの胸を貫いた。
あふれる赤い血液、胸を貫く感触。
十二年たった今でもこれらのことは鮮明に思い出すことができる。
ああ、つまりはこおゆうことだったんだ。
母が私に与えたかったのは暴力による苦痛なんかじゃなくて、人殺しという十字架を一生背負いながら生きていくという地獄。
誰も助けてくれない永遠の孤独に私を落としたかったんだ、その命と引き換えに。
そして母の死は私に教えてくれた、みんなが死んだのは私のせいだと、私なんかが救いなんてもとめちゃいけないことを。
だから、誰ともかかわらないように生きてきただって私は孤独じゃないといけないんだから。
それでいいと思ってた、それが正しいと。
そう、彼に出会うまで。




