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「たく、結局最後までついてきたなお前は」
後ろを振り向きながらオレの二歩後方を歩く海堂に話しかける。
「別にいいじゃねーか、デートって訳でもなかったんだろ?だったらみんないっしょの方が楽しくていいじゃん」
笑いながらそんなお気楽な言葉を返ってくる。
「まあ、それはそうなんだが・・・・」
さっきから由美が一言も喋らないのがどうも気になる。
やっぱり怒ってるのか?
だとしてもそれは海堂のヤツが勝手についてきたためだ、どうかその怒りをオレに向けるのだけはよしてくれよ。
そんな由美の態度にビクビクしながらしばらく歩いていると突如リーンゴーン、リーンゴーンと大気を揺らすほどの鐘音があたりに響きわたった。
「うん?なんだもう五時か」
海堂の見る方角。
町のちょうど真ん中に位置する場所にその音源はあった。
時計だ。
いや、時計塔というべきか。
何とも随分とこの町と不釣り合いなものを作ったものだ。
そんな異質な時計塔の針は見ると五時を指していた。
「おっと、もうこんな時間か。由美悪いけどそろそろオレ帰るわ」
そうだ、早くしないと水希の見舞いに行けなくなっちまう。
由美には悪いがこれ以上付き合うことはできない。
そんな態度がでたのか由美は、
「水希のところにいくの?」
と、妙にやさしくけれどなぜか少し悲しげにオレをみた。
「あっ、ああ。早いところ行かないと面会時間が過ぎちまうからな」
「そうか。うん、いいわ。じゃ学は水希のところに行ってあげて、荷物持ちは海堂にさせるから」
「えっ!?」
悲鳴にも似た声をあげる海堂。
こいつも運がないな。
「えっ、本当にいいのか?」
「いいわよ、水希待ってるんでしょ?なら、早くいってあげないと」
ポンと背中を押してくれる由美。
「なんか悪いな、んじゃ行ってくるわ」
去り際海堂の声がした気がさたけどここは無視しよう。
スマン海堂。
学は行ってしまった水希のもとへ。
自分で行かしといてなんだがやっぱりいい気分ではない。
「本当、バカみたい」
そんな自傷じみた言葉が漏れる。
「あーあ、行っちまった。良いのかアレで?」
海堂は気づいてる私の気持ちに。
初めは学に告げ口しないか不安に思っていたがどうやらそれはいらぬ心配だったようだ、なにしろ海堂は告げ口どころか私にアドバイスをしてきたのだから。
そんな行為はうっとうしいと思う反面うれしくもあった。
「よかったと思うたぶん。少なくともあの時は。それに学、感情で動くタイプだし私がとめてても結果は同じだったと思う。そんなのみじめでしょ?それよりごめん付き合わせちゃって。気づいてたんでしょ私の視線に」
「ああ、大西は気づいてなかったみたいだけどな。あんなすがる様な目で見られたら誰だって気づきもんさ」
「だよね」
言ってつい笑みがでてしまう。
やっぱり相談できるヤツがいるというのはいいもんだな少しでも気が楽になる。
「私もう少しここにいるけど海堂はどうする?」
これ以上暗い気持ちになってもしょうがないし、せっかく町に来たんだ、たのしまきゃ損だ。
「オレはそろそろ帰るよ、学のかわりの荷物持ちは嫌だし、やりたいこともあるんでね」
本当はもう少し付き合って貰いたかったのだがさすがに悪いと思い帰ってもらうことにする。
空はすでに暗く辺りは街灯がつきはじめている。
夜の深みが増すのと比例するように人も増えてくる。
こんなにも人がいるのに私は独りその矛盾がなぜか少し切なかった。




