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目標まで三メートル程まで近づいたところで気配を消す。
せっかくここまでばれずに近づけたんだ、今見つかるのはなんとしても避けたい。
よし、あと二メートル。
ヤツはまだこちらに気づいていない。
良いぞ!そのまま、そのまま。
あと一メートル。
さて、どんな方法で脅かしてやろうか。
やっぱりここはケツを蹴り上げてあげるのが一番かな?
そんな想像をして心が浮立つ。
だが、やはり現実は漫画のように上手くいかない。
今まさにケツを蹴り上げようと足を振りかざしたところで空気の読めないコイツはこちらを向きやがった。
「ん?大西じゃねぇーか!なんだよ、こんな所で会うなんて奇遇じゃねぇーか」
ぐ!海堂のヤツこんなタイミングで振り返るなんて。
とにかく今はこの場をごまかさなければ。
とは言ってもばれていないから誤魔化す必要は無いんだけど。
「あ、ああ、ホント奇遇だな海堂。何か用事か?」
「まあな、何時ものネタ探しさ」
やれやれと首を振る海堂。
「ネタ探しって・・・ああ、そういえばお前って新聞部の部長だっけ?へー頑張ってんだな、休日にまでそんなことして」
まあ、そんなことの大変さは帰宅部のオレには判らんが・・・。
「んー。大変って言えば大変だが・・まっ、好きでやっていることだしな。なかなか楽しいぜ」
「ふーん、そんなもんかね」
「まあ、そんなもんさ。それに最近は気になる事件もあって、そっちの方も個人的に調べてるんだ。お前も知っているだろ例の殺人事件」
殺人事件?うーん、ここ最近話題になっているといえばやはりアレのことだろう。
「ああ、町のほうで騒ぎになっているヤツだろ。そりゃな。自分の身近なことだし、けっこう怖いぜ。なんでも被害者はみんな不審な死に方をしてるんだって?」
普段からニュースを見ないオレの持つ情報なんてこんなものだ。
どれもこれも小耳に挟んだ程度のもの。
だからこういった時の海堂は役に立つ。
だが時としてそれは知らなくて良い情報も知るハメとなる。
「不審なんてもんじゃねぇーよ!体の一部が無いんだよ。被害者の」
「体の一部が無い?それってバラバラって事か?」
「ちげーよ!バラバラじゃねぇ。言葉のまんま、人体の一部が持ち去られてるんだよ!犯人にな!!」
「!!」
「・・・たしか五日前におきた事件の時は眼球その前は胃だった。理由は分かんねぇーけどコイツはまともじゃねーよ。」
確かに世の中に悲惨な事件なんて山ほどある、だけどそれは自分らとはかかわりの無い場所で起き、終わっていくものだと思ってたのに。
「気をつけろよ大西。俺たちの町にそんな得体の知れないヤツがいることを忘れるな。間違っても出会うなよソイツに」
海堂の忠告、何故だかオレはその言葉にとても冷たいものを感じていた。




