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けっきょく由美が現れたのはさらに15分たった後だった。
遅刻の理由は寝癖がなかなか直らなかったからだそうだ。
随分身勝手な言い分だがこんなことはもう毎度のことなので怒りも覚えない。
「で、朝っぱらから呼び出した上こんなに長時間オレを待たしたお前の用事ってなんだよ。それなりの用なんだろうな?」
「なによ怒ってんの?ちゃんと謝ったじゃん」
小さい男ねと由美は呟く。
さすがにその態度には少しカチンとくる。
これだけ待った代償がそんな態度ではこちらとしてはまったく割りに合わない。
「むっ。別に怒ってねぇーよ!ただこんなに朝早くから理由も教えられず呼び出されたんだ、そりゃワケを気にするなって方が無理な話だぜ」
本心からの言葉、それでようやく由美も理解したのか、
「そっか、私まだ用件言ってなかったっけ?」
と、なんともアホな答えを返してくれた。
『言ってなかったっけ』ってそおゆうことはまず一番初めに伝えるだろうが普通。
そのあまりのアホらしさに芽生えつつあった怒りの感情も一瞬の内に消えうせる。
「ハァー、言ってねぇーよ。まったく、マジそおゆうのカンベンしてくれよな。あんな急に電話されたらなにか一大事かもと思うだろうが」
「うっ、確かに今回は私が悪かったかも。・・・ごめん」
少し俯いて謝る由美の姿は普段あんまり見れないだけあって、新鮮な感じがした。
(普段からこんなんだったらコイツも可愛いのにな)
そんな感想がすこしもれる。
(っと、いかんいかん、オレは水希が好きなのにこの程度で心を揺らされてどうする!!)
軽く足を殴り自分なりの渇をいれる。
「どうしたの学?自分の足殴ったりして」
「あっ、いや、外にいて体が冷えてるからな、少し温っためようかと・・」
「それで殴る?普通」
(うっ、たのむからそんな変人を見るような目はやめてくれ!!こっちもとっさの言い訳がそれくらいしか思いつかなかったんだよ!)
「まあいいや、寒いっていうならどこか温まれる所行こうよ」
「へぇー、どこかいい場所知るってんの?」
「まあね」
(あいかわらず行動力のあるヤツ、由美といれば退屈なんていう言葉とは無縁だな)
由美のこおゆう性格には本当助かる時がある、まあ、たいがいは振り回されて疲れるだけだけど、嫌なことはその分忘れられる。
「なにしてんの?早く行くわよ」
よほど早くその良い場所とやらに行きたいのか由美はすでにオレの数歩先を歩いている。
その背中は早く来ないと追いて行くわよと告げてるようだ。
(本当にコイツは・・・)
つい笑みがこぼれる。
「ハイハイ、今行くよお姫様」
とにかくもう余計なことを考えるのはやめよう。
そんなこと考えてもしかたがないしオレらしくもない。
今日はとりあえずあのわがまま女の気が済むまで付き合ってやるとしよう。




