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「水希?」
そうだ水希、彼女の名だ。
オレが何よりも守りたいと思っていた少女の名、血だらけになりながらそれでも『大丈夫だよ』と笑っていた少女、あの子はいったいドウナッタ?
「うぁーあーーーーーーーーー!!水希!そうだ水希!!あいつはどうしたんだよ!無事なのか!無事なんだよな!!オイ!どうなんだよ!!!」
ベッドから飛び起き純に掴みかかる。
先っきまであった痛みは嘘のように消えている。
いや水希のことを聞き体が痛みの事を忘れてしまっているようだった。
純に掴みかかる手は今にもその首を締め上げてしまいそうな勢いだったが、理性が飛んでしまった今のオレにこの凶行を止めることなどできるはずもなく馬鹿みたいに
「水希はどうした!言えよ!!」
と叫び散らすしかない状態に陥っていた。
そんなオレに対し掴まれている純は
「落ち着けと言ったはずだぞ大西」
そうあくまで冷静だった。
「水希が無事かどうかも分かんねーのに冷静になれだって?はっ!無理に決まってんだろーが!!いいさ純が言う気が無いのなら自分で探す!」
そうはき捨てベッドを後にしようとするオレを純は止めながら、
「まあ待てそう急ぐな何も話さんとは言ってないだろうが。安心しろ命に別状は無いそうだ」
と言ってくれた。
それを聞いた瞬間何故か涙がこぼれた。
「本当か?本当に本当か!!」
まるで子供のように純に何度も詰め寄る。
「この状況でオレが嘘を言うように見えるのか?安心しろ本当だよ。ただし大西も見ただろうがあの怪我だしばらくは会えない。その辺は理解できるよな大西」
純のその言葉にオレは力なく
「ああ」
と答えた。
それからはしばし沈黙が続き重い空気が流れた。
純が何故黙っているのかは分からなかったが、オレとしては水希の安否が確認できたのは良かったが会わせられないということは傷が重かったのだろう。
・・・何をいまさらそんな事オレが一番良く知っているじゃないかじかに見たのだから。
「クソ」
出たのはそんな小さな言葉だった。
悔しくて、腹が立つ。
水希の近くにいながら彼女を助けるどころか逆に助けられあろう事か怪我までさせてしまった自分に!
そして水希の事を聞き動揺してしまったとはいえ純に暴力を加えてしまった愚かな自分に!!
ガンと一発ベッドを殴りつける。
「大西そう自分を責めるな。お前は何も悪くないのだから」
肩に手を置き純はそう言ってくれたが駄目だどうしても自分が許せない。
そんなオレの様子を見て今は一人にした方が良いと判断したのか純は
「まあ、今は色々と思うことがあるだろうが、自分のことも大切にしろよ大西」
と言い部屋を出て行った。
純が帰り一人になってからはよけい色んなことが渦巻いていった。
町のこと、水希のこと、そして自分のこと。
純は自分を大切にしろと言っていたが果たしてこんなオレにそれだけの価値があるのだろうか?
答えはでない。
そんなことを考えている内に時刻は零時を回っていた。
真夜中、それも病院という独特な場所にいるせいか気分は余計沈んでいく。
気分転換に夜風にでも当たろうかと窓のほうを見て気づいた。
誰かがいた。
窓際の使われていないベッド、そこに誰かが座っている。
幸い月明かりのおかげで顔はすぐに見て取れた。
女の子だった。
髪は背中まであり歳はオレと同じくらいに見える女の子がそこにいた。
その光景に心が揺れる。
相手が何者かも分からずもしかしたら幽霊かもしれないと思える状況なのに恐怖はいっさいなかった。
そう、恐怖なんて感情が吹き飛ぶほど月明かりを纏うその女の子の姿は美しかった。
言葉も無くただ彼女を見つめているオレにその子は
「やっと会えた、大西学」
と夜の静寂を壊さぬよう、透き通るほど美しい声で語る。
「君は誰?」
「私?私はセナよろしく」
月光の下こうしてオレはセナと出会った。
更新遅くてすみません
第1章も大詰めまできました
ん~長かった。
もし今までの話で分かりにくかった所や質問などがありましたらどんどん送ってください、出来るだけ答えていきたいと思います。




