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明の話を聞き町まで全力で走ったオレの心臓はもはや爆発しそうなほど高けていた。
だけどそんなことに構っている余裕もこんなとこで休んでいる暇も無い。
今は一刻も早くあの黒煙のもとへ。
そうして訪れた場所は別世界だった。
辺りは一面の赤。
別に世界が赤く塗りつぶされた訳ではなく、パトカーや救急車のランプでそう見えるだけなのだが、あまりの多さにこの場そのものが赤く染め上げられてしまっている。
あんなに青かった空は嘘のように町の中心部から立ち上がる黒煙により覆い尽くされ、光のさえぎられた地上は夜のように暗かった。
そしてあれほどまでに人々の笑い声に満ちていたこの場はいまやその逆の人々の呻き声や救助しようとする者たちの叫び声で埋め尽くされていた。
「なんだよこれ・・・・・・・」
ここにきて大西学の足は完全にすくんでしまった。
しかしそれも無理の無い話し、常人のものならまずこんな場所にこようなどとも思は無いであろう、こんなところにきても何もできないだろうし自分が怪我をしたらあまりにも馬鹿らしい。
その点かれがここにきてしまったのは単に彼が幼かったからだろうが、これだけの現状を見ながらなを立っていれたのは褒めるべきであろう。
そう、それはほどまでにこの場は地獄だったのだ。
たしかに戦場などと比べると微々たるものであったが、それでもこの平和な日本という国から考えれば間違いなく今この地は地獄絵図であった。
自身の許容量を大きく超えたこの光景に大西学はもはや呆然と立ち尽くするしかなかった。
そう思考の停止した彼に一つの言葉が投げかけられた。
「なんだ、少しは期待したけど所詮その程度か」
「え?」
美しくされど強い意志の感じるその声の主はいつのまにやら目の前にいた。
流れるような腰まである黒髪、滑るそうな滑らかな肌、この季節には少し寒かろうと思う長袖のシャツみズボン、そして声と同じように強い意志の感じる少しつりあがった目はつまらなげそうに、こちらを見ていた。
「あんたはいったい・・・」
分かる、なぜか分かる。この女は人じゃない、それ以上のなにかだ。
こんなもの見たことが無い。
だから関わるな、関わればお前はひどい目にあう。
なぜか頭がそう警告してきた。
「私ィ?まぁ、通りすがりの一般人かな」
そんな戯言を軽口めいて言う女。
そんな分けない。
普通の人間がこの状況下でこんな風にいることができるはずが無い。
そんな人間いるはずが無い。
故にこいつは人じゃない。
だから、この女とは会うべきじゃなかった。
オレは唐突にそう思ってしまった。
遅くなりすみませんでした。
ここ最近いそがしくなかなか書く暇がありませんでした。
物語はまだ1章の半分といったところで先はまだまだながいですが、今後ともよろしくお願いします。




