1-10
「神矢?純のことか?いや、見てないけど」
良く判らない質問だったが正直に首を振る。
っていうか今日家から一歩も出ていないオレが見ている訳ないんだが、
「なんだってお前らそんなこと聞くだよ。純の居場所が知りたいんならケータイにでも連絡すりゃいいだろうが」
「それがつながるらなくて・・・」
なら圏外なんだろう。別にありえない話でもない、気にすることなんてないはずなんだが、・・・この二人の顔を見る限り何かがあったとしか思えない。
「なあ、いいかげん何があったか教えてくれよ。そんなんじゃ、いつまでたってもらちがあかない」
「そうだね、確かにその通りだ。じゃあ学にも思い出してほしんだけど。これは僕の記憶違いかも知れないから」
「明!それは」
「白井さんが言いたいことも分かるけどこういったことはやっぱり知らせておかなきゃいけないと思うんだ」
なぜか声を荒げる由美を明はそう黙らせる。
「なんだよ急にそんなにオレに聞かれるとまずいことなのか」
「いや、そういった訳じゃないよ。ただ学これを聞いてもどうか冷静にね」
「ふん、オレはいつだって冷静だってーの。んでオレに思い出してほしい事ってなんだよ」
「・・・学、昨日の帰り道に純の言った事覚えてる?」
「純の言ったこと?」
はて?純は何か言っただろうか。オレはあまり記憶力のいいほうじゃないのであまり記憶がはっきりとしない。
「悪い思い出せない。なにか言ったのか純のヤツ」
「うん、僕の記憶が正しければ町に行くって言ってた」
「へェー町に・・・え、町?」
おい、待てよ。町ってたしか・・・
「確か今、爆破事件があったって」
その思考にたどり着くなりオレは二人を押しのけ家を駆け出した。
こうなる事は分かりきっていた。こんな話を聞いたらアイツのことだ何も考えず町へ向かうだろう。
だからこそ学ぶには純がどこに行ったかは言わないようにと明にも言っておいたのに。
「明!!何で学ぶに言ったのよ!学の性格を考えればどうなるかアンタだって分かるでしょう!!」
私は敵意むき出しの目で明を睨みつける。
「それはさっきも言っただろうけどいくら学が考えずに行動するかもしれないからといって、仲間の安否は教えるべきだと思うんだ」
「その結果、学が怪我をしても?」
「うん」と、頷く明を私を知らずに殴っていた。
「アンタはそれでいいかもしれないけど、それでアイツが傷を負ったらどうするつもりよ!!!」
「何も。その結果を選ぶのは学自身さ、僕はあくまで本当の事を言っただけだからね」
いつものように笑みを浮かべ答える明の顔を再び殴る。
「アンタそれ本気?」
「うん。ごめんね、僕はこうゆう人間だから。白井さんの気がすむのならいくらでも殴っていいよ。だけど今はそれより学を追ったほうがいいんじゃないかな。僕だって学に怪我をさせたい訳じゃないしね」
どこまで本気なのか分からないその言葉。
そんな態度に虫唾が走る。
常に笑顔の仮面をかぶり、悪意無く近ずき、それでいて自分の心は誰にも見せない。
学は気づいていないようだが、それが彼、月神明という人間だった。
隠していたけどそんな彼が純粋に嫌いだった。




